後方支援者面で行けない宇宙世紀   作:乾燥海藻類

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第03話 「強襲作戦」

「テム博士、ガンダムはどうですか?」

 

俺が問うと、ガンダムを整備していたテム博士はメガネをクイッと押し上げてこちらを向いた。

 

「さすがに、テストパイロットを務めていただけあるな。扱いが上手い。武装も節約しているようだし、大きな問題はないよ。アムロ、あまりキツくせずともいい。あそびを作るんだ」

 

アムロは避難民として乗艦したが、その後テム博士の助手として働いている。忙しくしているようだが、表情はいきいきとしているように見えた。

格納庫にはガンダムが1機、ガンキャノンとガンタンクが2機ずつ、合計5機のMSがあった。

 

『手の空いている乗組員(クルー)は第2ブリッジのオペレーションルームに集合してくれ』

 

とそこで、艦内放送が格納庫に響き渡った。

 

「行きましょうか、テム博士」

「いや、私はいい。戦略は門外漢だ。整備をやっているよ。オムル君、格納庫の状況はキミが伝えてくれ」

「了解しました」

 

アムロに目を向けるが、彼も興味がなさそうだ。

何人かのスタッフとともにオペレーションルームに向かう。オペレーションルームに入ると、すでに会議は始まっていた。どうやら、補給を行うらしいシャアに対して、攻撃するか、無視してルナツーに向かうか、ということらしい。みんなの意見を募るところが、新米艦長らしい。いや、艦長代理だったか。

 

「来たか、ケンプ中尉。あなたの意見を聞きたい。捕虜を使う、とのことだが……」

「俺としては、ルナツーに直行する案に一票入れたい。避難民もそうだが、パオロ艦長の容態が気がかりだ。きちんとした設備があるところで治療を受けてもらいたい」

「……む」

 

ブライトが押し黙った。彼としては攻撃したいのだろう。血気盛んな若者だからな。だがパオロ艦長を引き合いに出されると、反論し辛いのだ。

 

「ルナツーで避難民を下ろし、補給を受けた後、シャアと交渉する」

「それってさあ、意味ないんじゃないのぉ。いくら赤い彗星ったって、大気圏突入の時に攻撃してきたりはしないっしょ」

 

おどけるように訊いてきたのはカイだ。彼はみんなが訊きたいけど訊きにくいことを平然と訊いてくる。無意識かもしれないが、彼のような役回りは集団では必要なのだ。

 

「普通ならやらないことをやる。シャアはそういう男だよ」

「よろしいかしら、中尉さん」

 

スッと手を挙げて前に出たのはセイラさんだ。いちいち挙動が優雅だな。育ちの良さかな?

 

「なにかな? レディ」

「セイラ・マスと申します。中尉さんのおっしゃることは理解できますが、それはすべて上手くいった場合のことでしょう? 交渉が上手くいって、シャアがおとなしく大気圏突入を見逃してくれるという」

「まあ、そうなりますね。セイラさん」

「なら交渉を上手く進めるためにも、ここでひと当てするというのも、よろしいんじゃなくて?」

 

意外だな。セイラさんってこんなに攻撃的だったか? だがまあ、言っていることには一理ある。

 

「確かに。まあ俺の意見は言いましたよ。決めるのはブライト中尉です」

 

そう言うと、みんなの視線がブライトに集まった。彼は咳払いをひとつすると、決を取ると言った。

その結果、補給艦への攻撃が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで俺たちは、シャアが補給を受けるであろう岩礁地帯にやってきたのだ。

俺のガンダムを正面に、右側にカイとジョブのガンキャノン、左側にリュウとハヤトの乗るガンタンクを配置する。3方向から攻撃を仕掛けるという作戦である。

 

「こちらガンダム。敵を目視で確認した。どうやらすでに補給活動に入っているようだ」

『了解。レーザー回線を傍受される恐れがあるので、交信はここまでとする。健闘を祈る!』

 

ブライトのやつかなり興奮してるな。まあシャアを倒すことは、歴史に名が残る偉業だからな。とはいえ、シャアを殺すわけにはいかないんだが。

しかし、ここまで来たからには覚悟を決めるしかない。相手がザクなら人間じゃないんだの精神で乗り切るしかないな。

 

……よし、そろそろ仕掛けるか。と思っていたところで、岩礁にビームのシャワーが降り注いだ。あれはビームキャノンだな。ガンキャノンが仕掛けたか。しかしパニくったような撃ち方だな。新兵丸出しじゃないか。って、これたぶんカイだな。初陣で舞い上がったかな?

たぶん無照準で乱射してるな。あんな撃ち方じゃあ、すぐにエネルギー切れを起こすぞ。

早めに終わらせるか。コンベアパイプから漏れたザクを狙う。

 

「そこっ!」

 

ビームライフルを2射。ふたつの光芒はザクを貫き、残骸へと変えた。パプア級のリアクターは、あのあたりか? 大体の見当を付けて引き金を引く。

狙いは当たったようで、パプア級は炎上を始めた。

 

ファルメルを撃つのはマズい。シャアはブリッジで指揮を執っているはずだから、下手に撃つと殺してしまう。たぶんノーマルスーツは着てないだろうし。

 

『うわぁぁっ!! 助けてくれぇ!!』

 

回線に飛び込んできたのはカイの悲鳴だ。見ればザクに襲われている。

スラスターを噴かしてガンキャノンへと向かう。その勢いのままザクに蹴りを叩き込んだ。

そして宙に浮いたザクに、ガンタンクの主砲が飛ぶ。ザクは爆散した。

とそこで、太陽を背にマゼランが割り込んできた。

 

『貴艦の艦名と所属を問う! 誰の許可を得て本空域でジオンと交戦するか!? 即答がなければ僚艦といえども撃沈する!』

 

さすが、ことなかれ主義はルナツーのお家芸だな。ファルメルが去って行く。ホワイトベースは沈黙したままのようだ。

 

『よろしい、抵抗の意思はないものと認める。ルナツー基地司令官、ワッケイン少将の名において、貴艦を拘引する!』

 

こうして俺たちは、ルナツー基地に入ることになった。

 

 

 

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