後方支援者面で行けない宇宙世紀   作:乾燥海藻類

7 / 17
第05話 「新たな仲間」

さて、ララァを回収できたのはよかったが、ひとつ問題があった。ララァは俺のことを知らないらしいのだ。前回(まえ)の記憶がないのは当然として、サイド7で俺にガンダムに乗れと言ったのは、彼女ではないようだ。

ならば、あの時俺にガンダムに乗れと言ったのは、どこのララァなのか。

 

あの少年と同じような、上位存在のララァなのかもしれない。

……自分でも何を言ってるのかわからなくなってきた。そもそも上位存在ってなんだよ。

まあとりあえずララァとアムロは確保できた。後はシャアを殺さずに上手いこと一年戦争を駆け抜ければハッピーエンディングに辿り着ける。

 

しかしなんで俺はこんなことをやっているのだろうか。

改めて考えてみても、やっぱりよくわからない。

あの空間で見た、シャア、アムロ、ララァが3人揃って一年戦争を終えるというのも、俺が予測した未来(ゴール)でしかない。

"黒幕"の正体だってまだわからないのだ。

 

本命は、あの少年だ。

浮世離れした少年で、神様とか宇宙の創造者とか、そういう存在なのかもしれない。彼が納得するエンディングでないと、砂上の楼閣を崩すように宇宙を崩壊させている……のかもしれない。

 

対抗はララァ。

超常の能力を持ちながら、それを意識しておらず、制御もできていない。いわゆるハルヒ的能力。だがララァにそんな設定あったかな? ニュータイプ能力の暴走だとすれば、本当にニュータイプが何でもありになってしまうが。

夏休みがループするように宇宙がループしているのかもしれない。

大穴でアムロかシャアってところか。

 

まあやってみるしかなかろう。行けるところまで行くさ。

ガンダムのことはテム博士に任せて、ジャブローに帰ってきてからはジョブ、カイ、ハヤトたちと一緒に戦闘シミュレーターに明け暮れていた。

どうやらカイもハヤトも軍人になることを選んだようだ。ふたりともサイド7で両親を亡くしており、ひとりで生きる道を軍人に見出したのだろう。

危険な職業だが、食いっぱぐれることはないからな。

そんな日々を送っていると、ホワイトベースに任務が与えられた。

 

「カラカスを攻める」

 

ブライトが神妙に告げる。

床に表示された南米の地図、かつてはベネズエラの首都だった街だ。そこはジオンのジャブロー攻撃軍の司令部がある場所だ。

 

「制圧する必要はない。いや、できるようならやってみるが、主目的は時間稼ぎだ」

「時間稼ぎって、何のためにですか?」

 

とハヤトが疑問を口にする。

だがブライトの答えは淡白なものだった。

 

「すまんが、それはまだ教えるわけにはいかないんだ」

「なんだよそれ。ブライトさんは俺たちに目的も教えてくれないわぁけ?」

 

頭の後ろで手を組みながら、不貞腐れたようにカイがこぼした。

 

「スパイを警戒しているのさ。そうだろう、ブライト艦長」

「……ケンプ大尉の言う通りだ」

「へっ、こん中にスパイがいるって? 俺たちも疑われたモンだ。なぁ、ハーヤト」

 

にやけながら、カイはハヤトの肩を掴んだ。ハヤトはちょっと嫌そうに体を離そうとしている。

 

「任務の直前になれば伝える。あと、聞いていると思うが、部隊も増強される。ケンプ大尉の下に2名追加だ。着任は3日後となる。データを送っておくので、各自端末で確認しておけ。では解散」

 

本日はそれで解散となった。

自室に戻り、送られたデータを確認する。

 

ひとり目はジャック・ベアード少尉。機体はRX-78GP00、ガンダム試作0号機? GPシリーズじゃねーか! 4年はえーよ! どうなってんだ?

いや、0号機ってことは、もしかしてGP計画ってこの頃から構想はあったのか?

まあいい、次だ次。

 

ふたり目はシイコ・ミカゲ少尉。機体はRX-78GP00Z、ガンダム試作0番機? こっちもGPシリーズじゃねーか! しかも0号機と0番機って紛らわしいな。コンセプトが違うからか? つか試作機ばっかりよこすなよ。ホワイトベースは実験部隊じゃねーぞ!

しかしこの短期間に2機もガンダムを開発するとは。テム・レイ、やはり天才か。

 

ジャック・ベアードは、たしか遊園地のアトラクションが出展のキャラだったかな? ジムに乗ってたような気がするんだけど、詳しくは覚えてないな。行ったこともないし。

シイコ・ミカゲは全く覚えがない。俺の知らない外伝系のキャラなのかもしれない。

ところでスレッガーさんは赴任してこないのだろうか?

 

「ガンダム部隊か」

 

ガンダム3機編成というのは確かに目立って囮としては役立つだろう。たぶん、それが狙いだろうな。

戦力の増強は嬉しいが、俺が隊長とはね。さて、上手くやれるかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後、ジャック少尉とシイコ少尉が着任した。

自己紹介がてらシミュレーターで対戦したのだが、うん。やっぱりこんなモンだよな。

 

「2対1で、3分持たないなんて……」

 

呆然とジャック少尉が言葉を漏らす。シイコ少尉は無言で眉をひそめていた。

 

「敗因は、なんでしょうか?」

 

と、シイコ少尉が訊いてくる。

 

「その前に訊きたいんだが、ふたりはMSの戦闘シミュレーターをどれくらいやった?」

 

さすがに実機に乗ったことはないだろう。今の連邦軍でMSに乗れるのはV作戦に関わったテストパイロットくらいだ。ジムの実戦配備はまだだが、シミュレーターに落とし込むことくらいはしているだろう。

ふたりとも戦闘機の経験はあるみたいだが。

 

「一応、200時間くらいです」

「私も、同じくらいです」

「そうか。敗因はふたつだ。セオリー通りの動きだったということと、連携を取ろうと意識するあまり、逆に隙ができてしまったということ。まあいきなり連携を取れというのも、無理な話だがな」

 

そんなことができるのはニュータイプくらいだろう。ジャック少尉はニュータイプっぽい顔つきをしてるけども。

 

「キミたちの乗るガンダムは、ジオンのザクとは比べものにならないくらいの高性能機だ。先ごろ配備されたグフと比べてもな。だが上手く扱えねば、たやすく落ちる。マシンガンで傷はつかなくても、バズーカやヒートホークの直撃を喰らえば、あっさりとな」

 

ビーム兵器の配備はもうちょっと先だ。

ふたりはまだ未熟だが、操縦にセンスは感じる。テストパイロットに選ばれるだけの力量はありそうだ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。