『B級最強(ただし縛り中)』 ―防衛任務では本気出す変わり者攻撃手―   作:天使

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3話

三門市西端──郊外に広がる倉庫群。

普段はトラックの行き交う物流の要だが、今は閑散としている。

その理由は空気を震わせるサイレンと、警告を繰り返す拡声器の声だ。

京也はトリガーケースを片手に、現場に到着した。

すでにC級部隊が避難誘導と簡易バリケードの設置に当たっている。

彼らの後方で、二人のB級隊員がネイバーと交戦していた。

 

黒い甲殻を纏った中型バムスターが二体。

前脚の鋭い鉤爪がコンクリートを削り、咆哮とともに跳躍する。

 

「また面倒なのが出てきたな」

京也は肩の通信端末を起動する。

《こちら氷室、現着。状況を》

『綾辻です。香取さんと二人で先行してますが、正直きついです!』

『あんた早く来なさいよ! 一体は押さえてるけど、もう一体が暴れてる!』

 

通信が切れた瞬間、倉庫の陰から香取葉子が飛び出してきた。

彼女の槍型トリガーがバムスターの足を絡め取るが、相手はそのまま体重で押し潰そうとする。

 

「避けろ!」

京也は駆け出し、腰のハンドガン型トリガーを構える。

弾丸がバムスターの脚関節に食い込み、動きが止まった隙に香取が距離を取った。

 

「遅い!」香取が叫ぶ。

「十分間に合ってるだろ」

軽口を返しつつ、京也は戦況を一瞥する。

もう一体は倉庫の屋根上、綾辻が必死に援護射撃を繰り返している。

弾幕で押しとどめているが、突破されるのは時間の問題だ。

 

「香取、左のやつは任せろ」

「アンタ一人でやる気? 無茶でしょ」

「無茶じゃない。俺のルール、一つ外すだけだ」

香取が眉をひそめる。

「ルール?」

「接近戦での二段攻撃禁止──これが俺の縛りのひとつだ」

そう言い終えると同時に、京也は腰の双月改を展開した。

 

重い金属音とともに二本の刃が両手に収まり、ブーストの光が走る。

普段の彼なら、一撃で間合いを離す単発戦法に徹する。

だが今回は違う。

 

一閃目──右斬り上げで甲殻を裂き、動きが止まった瞬間に、

二閃目──左からの水平斬りで装甲を切断。

甲殻が砕け、内部のコアが露出する。

そこへ旋刃弾を叩き込み、バムスターは粒子と化して消滅した。

 

「……二段、えぐいな」香取が呆気に取られて呟く。

「防衛任務だからな。必要ならやる」

 

だが休む間もなく、残った一体が綾辻の防衛ラインを突破。

その巨体が彼女に迫る。

「下がれ!」

京也は一気に距離を詰め、二段攻撃の構えを取る。

だが相手は素早く回避し、尾の一撃を繰り出した。

 

「っ──!」

咄嗟に旋刃弾を撃ち込み、尾を弾く。

そのまま香取が後方から槍を突き込み、甲殻に亀裂を入れる。

京也が再び二段攻撃で畳みかけ、綾辻が最後に狙撃を命中させた。

 

バムスターは崩れ落ち、やがて消滅した。

 

「……ふぅ」香取が大きく息を吐く。

「やっぱアンタ、縛り外すと化け物ね」

「そんな大層なもんじゃない」

「で、他にはどんなルールがあるの?」

「秘密だ。全部教えるほど、俺はおしゃべりじゃない」

綾辻が小さく笑った。

「でも……今日も助かった。ありがとう」

「礼はいい。それより、撤収だ」

 

京也は双月改を収納し、普段の眠そうな目に戻る。

だが、その瞳の奥にはまだ戦場の鋭さが残っていた。

縛りの理由も、数あるルールの全貌も、まだ誰も知らない──。

 

 

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