異聞ロマサガ2 〜無限ループを抜け出すための法〜   作:donguri3

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やりすぎた次男坊がお説教から抜け出す法

はい、俺です。ジェラール()です。

あまりにも上手く事が運びすぎて調子こきました。ちょっと反省してる。

 

***

 

皇帝レオンの居室にて。

薄暮の日差しだけでは暗いので天術を組み込まれた照明の光が揺らめく部屋で父親と息子2人が向かい合う様に座っていた。

 

「はあ…お前達は揃いも揃って…誰に似たというのだ?お祖父様か?」

イケおじを3Dプリントした様なイケおじのレオン父上がこれで何度目かというため息を吐く。こめかみが痛そうだ。まあ、主に俺のせいだが。

 

「先ず、ヴィクトールよ。…分かるな?留守を預かる身でありながらよりにもよって伝説の七英雄と一騎打ちに出ていく馬鹿があるか?冷静沈着なお前という後継者を得て我がアヴァロンも安泰だと思っていたのだがな。それがどうだ…猪武者、匹夫の勇とはまさにこの事だ。失望したぞ…」

 

眉が寄る。

 

「いや、肝が凍りついた。二度と無謀はするな。」

 

目線が真っ直ぐに兄上を射抜く。バツが悪そうに身じろぎした兄上だが、

すぐに自らの非を詫び謝罪した。

 

が、それを受けたレオン父上は意外にもやおら破顔した。

 

「だが。それにしても、、、だ。ヴィクトール、大したものだ!あのクジンシーを、ソーモンを支配する太古の七英雄を1人で撃破するとは!心配だから小言は言わせて貰ったが、私は出来すぎた息子を持って誇らしいぞ!」

 

バンバンと肩を叩く。あまりの勢いに背を屈めながらまんざらそうでもない兄上、、、でも。ふむ、良かったですな。

 

ただ、潔い兄上の事。手柄が自分だけの物ではない、等と言い出す。

「で、ですが父上。不思議なのです。ジェラールのあの不思議な玉の力か敵の技は簡単に破れたし、凄まじい達人の剣技を慣れ親しんだかの様に再現できたのです…だから、手柄はジェラールの方が大きいのでは。」

 

わー、兄上、余計なことを。ほら、来ますよ来ますよ…

 

ーじー……

 

父上がじっ、と見つめてくる。なんか全部見透かされそうな視線、さすが名君と誉高い皇帝陛下ですね。

この人、詰めてきたりはしないんだよね。

こちらか自発的にゲロるのを待ってらっしゃる。

俺みたいにオアイー⚪︎さんやらザグ⚪︎さんやらをどストレートに恫喝して新アイテム開発させる様な雑魚とは人としての格が違うよぉ…

 

ー仕方ない。ゲロるか。

 

「父上。私は…」

「ジェラールであるが、違う存在でもある、か。息子のことはよく知っている。昨日から始まった違う存在の方を教えて欲しい」

 

ー流石、史実ではソウルスティールすら見切った名君。俺の存在をピンポイントで見切ってらっしゃる。

 

「では。この”俺”ですが。ジェラール様、敢えて区別するために様をつけますが、ジェラール様の中に同居するもう一つの魂です。今は”俺”を全面に出していますが、普段はジェラール”様”と合議でジェラール様が納得されれば俺の意見が反映されます。」

 

ホントだよ?だから、女性皇帝の時とか、「アンタはシャットダウンしてて!」とか言われてプライベートな時間は意識無かったもん。

常時オープンだったのはコッペリアさんくらいだな。まあ、人形だし。

 

逆に要らん俺に地獄を見せたホーリーオーダー(女)さん、というかソフィア…やめよう忘れよう、BLは意識の中では特にゾーニングすべきと主張するよ、俺は。

 

「だから、俺の言動はジェラール様の意志でもあります。

今回は兄上…ヴィクトール様がクジンシーの手にかかる未来もあり得る事を共有し、危機を越えるために多少の無茶をさせて頂きました」

 

「クジンシーの襲撃を知っていた、と?」

 

いや、もう少し驚こうか。まるで答え合わせだけ淡々としてる感じ、

こりゃ、結論に辿り着いておられますね。

 

「ええ。何せ、これで100回目ですからね。重要な出来事は嫌でも覚えてます。」

 

お、数が多くてちょっと目を見開いたね。

 

「過去の生で帝国は、、、クジンシーとの戦いから七英雄全てと、アヴァロンから全土統一へと進んで行きました。皇位と共に記憶と業と俺を継承し、数千年、これは毎回バラツキがあるのですが、1500年から2500年の間に七英雄を打ち倒し全土統一を成し遂げています。」

 

「が、その度に、俺はこの時代のジェラール様の中に巻き戻されています。今回が100回目のループ、という事です。」

 

「…、なるほど。過去にはジェラールが皇帝になる、俺がクジンシーに倒され、父上も奴の必殺技を見切るために犠牲になる、そんな事があったのだな」

 

ースキルと共に記憶も継承されていたらしい。これは相手を見てよく選ばないといけないな。

 

「ええ。クジンシーのソウルスティール。実は奴は七英雄で最も小物ですが、厄介という事では一番厄介な使い手です。他の連中は極論、鍛えれば勝てますが、アイツのソウルスティールだけは命を直接刈り取る業。

人の身ではどれだけ鍛えても勝てません。」

 

「だから、見切りを与えてくれていたのか。奴の驚愕した顔、お前にも見せたかったよ。」

 

「ええ、ぜひ見たかったですね。そこだけは残念です。」

 

そんな兄弟のやり取りを父上は目を瞑って聞いていたのだが、ここで目を開いた。

 

「…不思議な事がある。聞いても良いか?」

「なんなりと」

 

「クジンシーを逃さずにトドメを刺す様にも出来たのではないか?」

 

鋭いな。確かにその通りなのだ。だが、敢えて中途半端に、ヴィクトール兄上の存命だけに対策を留めたのはワケがある。

 

「アレは…影なのです。現世において討ち果たしても、本体が力を蓄えてまた復活します。」

 

「その口ぶりだと、お前ならそんな事はさせないと言っている様に聞こえるが。」

 

「ソウルスティールを見切れる俺は使う事も出来るのです。そして、お叱りを受けましたが、封印の洞窟で使った業…」

 

「千手観音、か」

「千手観音!?なんだか名前から想像できてしまうな…」

 

「ええ、あの業は瞬く間に数千の拳を敵に叩き込みますが、そこにソウルスティールを纏えば、、、」

 

「影を入り口に本体の魂にアクセスして、根本から滅ぼせるという事か!」

 

「はい。影をさらしたのが奴の運の尽きです。」

 

今回のループでは敢えて七英雄からクジンシー、だけではないが、何人かご退場願いたいと思っている。

 

まあ、七英雄は異空間で七人肉団子になってますよ、なんて言ったら情報過多になるので今は言わないけど。

 

「……と、なると。危険ではないのか。お前は確かに数万年を生きた猛者かもしれんが、ジェラールは書生肌の小僧に過ぎん。見立てを誤る事はないのか。封印の地で走り出した時にも肝を冷やしたが、今回はその比ではないぞ…」

 

えっと、先の先まで読むのやめて貰えますかね?

撃退した事でクジンシーは警戒している→軍隊を送り込むと逃げる可能性がある→俺が潜入してクジンシーを暗殺→身体のスペックが足りなくて返り討ちに合うかも知れない、まで暗黙の了解でその先の話したよね、今?

 

「そこは秘策があります。」

 

そういうと、俺はテーブルの上の紅茶の入ったコップをひっくり返した。

「クイックタイム!」

 

「…時間を術で止められるのか!いつの年代の技術だ?」

「最低でも1000年後、悪ければ2500年後の技術ですね」

 

そう、七英雄と言えばクイックタイム(笑)

時間を止めて近づいてサクッと暗殺する予定である。

 

「範囲は」

「任意ですが、おおよそソーモン全体がいけます」

 

「…一応、ベアを護衛につけさせてくれ。あと、”ジェラール”」

 

「は。父上。ジェラールでございます。」

俺は表から裏に潜り、ジェラールに任せた。

 

「大丈夫か。不安はないか?」

「…不安しかないです、正直な所は。」

「この者に従う必要はないのだぞ、あくまでお前の人生と身体はお前のものなのだ。」

あれ?主導権の話、完全に理解されてるね。多少話したけど、そう、ジェラールが拒否したら俺は何も出来ず、変な話年代ジャンプを待つしかない。幸い、クジンシーは数百年後でも待っててくれるしね。

 

「はい。ですが、クジンシーの邪悪な存在を見逃す訳には参りません。私も皇族の一員、責務は果たしたく。」

「父として心配しておる。」

「大丈夫。勝ち筋はちゃんとある。ずっと、父上や兄上に憧れてた。でも、これを乗り越えたら私も一緒になれる気がするんだよ、お願い。」

 

「………分かった、認めよう。だが、約束してくれ、作戦がダメなら無理せずすぐに引き上げてくれ。お前の命を一番に考えて欲しい。約束できるか」

 

「うん、約束する」

 

「頼む。ああ、そうそう。」

 

あと、その者にはジェラールの身体で雄叫びを上げながら突進する癖はやめる様に言ってくれ、品位に欠ける。

 

ー耳に痛いな。でも、体術レベル99達成した興奮ではっちゃけただけなので許して欲しい。

 

ともかく、こうしてクジンシー攻略計画が定まったのであった。

 

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