ライスシャワーを特盛雑穀米にしてしまったTS転生系ウマ娘トレーナーの話   作:雅媛

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第四章 中等部1年 夏 運命変わる夏合宿
1 夏合宿の始まり


 夏合宿といっても、そこまで大きく違うことをするわけではない。

 いつもと違ってトレーニングを一日中やることができる、というだけに過ぎない。

 

 

「と言っても暑いし、時間もいっぱいあるからお昼ご飯食べた後夕方までは基本は水泳にして暑さ対策もするからね」

 

「はーい」

 

「現状は3グループに分けます。まずはライスちゃんとミホノさん、ニシノさん、シンボリさんは能力向上を目指します。特にシンボリさんは少し絞って瞬発力あげたいから厳しめに行くよ」

 

「はい」

 

「了解しました」

 

「わかりました」

 

「了解だ」

 

「次にラブリイさんとサンダーさんは、体力づくりをしていきます。基本的なスタミナをあげたほうがもっと走れるようになるからね」

 

「はい、わかりました」

 

「了解した」

 

「最後にサンエイさんは体づくりだね。まだ華奢だからもう一回り増やして体を丈夫にしてもらうよ」

 

「え……」

 

「ふむ……ひとまずみんな、トレーニングメニューを作ったから二人一組で頑張ってきて。ライスちゃんはシンボリさんと、ミホノさんはニシノさんとお願い。サンエイさんはボクとペアで。では、午前中頑張っていこう」

 

 

 そうして解散し、ボクはサンエイサンキューさんと二人トレーナー室に残った。

 

 ラブリイさんがわざわざ級に連れてきた理由。

 サンエイサンキューさんの現状の体調と精神状況。

 必死に前世知識さんから引っ張り出した情報。

 

 それらをもとに彼女の現状は仮説が立っている。

 とはいえ仮説だ。状況は本人から聞くべきだろう。

 

 

「あ、あの、私たちもトレーニングに行かないと」

 

「そうだね」

 

 

 ボクはテーブルにアフタヌーンティーセットを広げ始めた。

 ケーキスタンドとティーカップ、ティーポットはお母さまに買ってもらったものだ。

 ライスちゃんと楽しむために買ったものだが、現状使っておらず今回が初使用になる。

 

 料理は寮の食堂でもらってきたボリュームたっぷりのものだ。

 ちょっとアフタヌーンティというにはがっつり系のものが多いが勘弁してもらおう。

 

 

「サンエイさんの午前中のトレーニングは、この料理を全部食べることですよ」

 

「ふざけてます?」

 

「真剣なんだなこれが。食べることもトレーニングの一つ。この程度食べきれなくて練習なんて乗り切れないよ」

 

 

 量があると言っても普通のウマ娘一食分程度。ボクやライスちゃんが日ごろ食べている量に比べれば半分以下だ。

 ボクがゆずらない気配を察したのかしぶしぶといった様子でサンエイさんがアフタヌーンティセットの前に座り食べ始める。

 

 

「それでさ、サンエイさんのお話も聞きたいし」

 

「私の話ですか?」

 

「おうち関係でトラブルあるでしょう」

 

「……それを聞いてどうしてくれるんですか。貴女が何かできないでしょう」

 

「貴女が本気で助けてほしいなら、できないことはないかな。これでも貸しは多い方なんだ」

 

 

 助けられるなら何でもたすける、なんて考えるほど傲慢ではない。

 今はかなり吹っ掛けたが手札自体はそう少ないわけではないのだ。

 

 トロットサンダーさん関係で学園への貸しはまだ残っていると考えている。今ならボクが手を引いてもボクは困らないが学園は窮地に立たされるだろう。いろいろ引き出すことはできなくない。

 ライスちゃんの関係者であるお父さま、お母さまに泣きつけば助けてくれるだろう。その貸しはさらに莫大になるが、助けてくれないとは考えにくい。

 クリフジさんあたりに直談判するという最終手段もある。初代ウマ娘協会会長の権力は実質的に絶大だ。代わりに何をさせられるかという怖さもあるが、リスクとコストさえ考えなければその効果は絶大だ。

 後はそれこそ連れてきたラブリイさんやニシノさん、シンボリさんあたりから家の方にお願いしてもいい。夏合宿ぐらいじゃ足りなくて大きな貸しになりそうだが、善良なみんなのことだ、ちゃんと動いてくれるだろう。

 

 だがそれも目の前の彼女が本気で助けてほしいと思っている場合だけだ。

 助けて気まぐれで元の木阿弥になられても困るのだ。

 

 ライスちゃんはその点も素晴らしかった。

 最初のころはネガティブなことも言っていたが、今はもう強気なポジティブウマ娘になっている。時々変にこじらすのとボクへの圧が強い以外はもう問題はないだろう。

 もともとみんなを不幸にするというある種の世界操作みたいなことを考えてしまう傲慢さを持っていたライスちゃんだ。方向性をずらすのはそう難しくなかったのもあるが、何より本人が変わりたい、と思っていた。

 ご両親に評価されたのはそのあたりだと思っている。

 

 おそらくサンエイサンキューさんを助けるということは、多くのものを捨てる必要がある。推測が正しければそれは家族に他ならない。

 情を捨てられるか、彼女の覚悟が試されていた。




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