ライスシャワーを特盛雑穀米にしてしまったTS転生系ウマ娘トレーナーの話   作:雅媛

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3 コネは使ってなんぼというけれど

 学園に報告することはした。

 とはいえ学園は家の方に牽制をしてくれることは期待できるが、後ろ盾は別途用意する必要がある。

 

 クリのおうちに頼むのはボクが実質クリ家所属と同義であり、トレーナー契約をすることも考えないといけないことまで考えると悪手だ。完全に引き抜きになってしまう。

 そうすると、お願いするのは別の家だ。ボクの伝手で一番名前が強いところに頼むことにした。

 

 

「それで私のところに来たわけか」

 

「七冠ウマ娘にして元生徒会長の貴女程後ろ盾にふさわしい人はいませんからね」

 

 

 シンボリルドルフ

 URAの至宝ともいえる彼女にアイルトンシンボリさんを使って繋ぎを付けたのだ。

 現在大学生なので実務上大きく何かできるわけではないが、その発言力は絶大である。

 

 

「しかし彼女の家と張り合うとなると、後ろ盾になる程度ではうまみは少ないんだが」

 

「じゃあ何を求めますか?」

 

「トレーナーをこちらで決めさせてもらってもいいだろうか?」

 

「構いませんよ」

 

「じゃあ……えっ」

 

 

 ルドルフさんはハードな交渉をしようとしていたようだが、ボクはあっさり認める。

 確かにトレーナーからボクが外されたら、ボクの手元にメリットは何も残らなくなってしまう。

 伝手まで使って何がしたいんだという話になる。だからこそ交渉材料に持ってきたのだろうが、正直引き受けてくれるなら万々歳なのだ。できるならこれ以上担当増やしたくないし。

 ボクのあっけない対応にシンボリルドルフは警戒心を強めたようだ。

 

 

「それでキミの手元に何が残るというんだい?」

 

「まだ10歳に行かない幼女に打算を求めないでくださいよ」

 

「実年齢や見た目に騙されるほど私は愚かではないよ。天才トレーナー君」

 

 

 今、シンボリルドルフはいろいろ計算をしているだろう。家同士の紛争を招くことによる漁夫の利狙い、ほかの部分での利益を得る方法、家という巨大組織を背負うというのはそれだけ大変ということだろう。

 

 

「嘘は言っていませんよ。クラスメイトが泣いて助けを求めたんです。助けてあげるのがウマ娘の道というやつでしょう」

 

「……」

 

「嘘は言ってないんですがね」

 

 

 正直それ以上でもそれ以下でもないのだが、自分でも言っていて胡散臭すぎる。

 本音で語れば通じる? 余計うさん臭くなるばかりだろう。

 

 

「ルドルフ、私の顔に免じて信じてもらえないかしら」

 

「マルゼン、キミまで噛んでいるのか」

 

「そうじゃないけど、彼女のお父さまから頼まれてね。ふふ、ウツツ君からお願いされるなんて初めてで楽しくなっちゃうわ」

 

 

 状況を壊したのは今部屋に入ってきたマルゼンスキーさんだった。

 先日のパーティでご挨拶したが、クリ家の人というわけではない。だが、お父さまの妹に当たるらしく、姪であるライスちゃんのことを見に参加していたのだとか。さすが名家の血統という感じだ。

 

 ボクとライスちゃんのパーティでの宣言に大爆笑していた人で、ある程度気に入ってもらえたと思っていたがこんなピンポイントで助けてもらえると思っていなかった。まあおそらくお父さまの助けだろう。

 ここまで読んで根回しをしてくれたライスちゃんとお父様には今まで以上に頭が上がらなくなってしまう。

 

 

「キミがそこまで言うならやぶさかではないが、話の裏までちゃんと説明はしてくれるよね」

 

「単純にヴィオラちゃんが愚かというだけよ。貴女が昔、本当にすべてのウマ娘に幸せを望んでいたころのように」

 

「……なるほど」

 

 

 なぜそれでルドルフさんが納得したかはわからなかったが、二人にしか通じない何かがあるのだろう。

 

 

「わかった。サンエイサンキュー君のことは私が後ろ盾になろう。だが二つある」

 

「なんでしょう」

 

「一つ目は彼女の担当を君が最後まですること」

 

「うー、わかりました」

 

 

 結局トレーナーは押し付けられてしまった。まあ全部シンボリで引き受けるよりはヘイト分散したほうがいいのは疑いないからしょうがないだろう。

 

 

「もう一つ、キミの理想は尊いが、いずれ限界は来るぞ」

 

「心に秘めておきましょう」

 

 

 ルドルフさんはきっとボクが考えられないほど多くを助けてきて、何度も裏切られてきたんだろうな、というのはなんとなく察した。

 その言葉の重さを感じながらボクは一礼して帰ることにした。




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