ライスシャワーを特盛雑穀米にしてしまったTS転生系ウマ娘トレーナーの話   作:雅媛

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3 それは夕方のことだった

 それは練習が終わった後の話だった。

 ミホノさんやニシノさんにもチョコは配ったが、ライスちゃんにまだチョコを渡していない、そんなときである。

 

 練習が終わると、サンキューさんは

 

 

「あとは二人でごゆっくり」

 

 

 と謎の言葉を残してさっさと帰ってしまった。

 何か用事があったのだろう。

 もしかして本命チョコを誰かに渡しに行ったのだろうか。

 そんなことをのんきに考えていたボクは、きっと他人から見たら間抜けの一言だったのだろう。

 

 今振り返れば、みんなこの状況を予見していた。

 傍目八目ではないかとも思いたいが、たぶんボクが抜けているだけだろう。

 

 トレーナー室で二人きり、そんななかライスちゃんが話はじめた。

 

 

「ヴィオラちゃん」

 

「なに? ライスちゃん」

 

「これ」

 

 

 ライスちゃんが取り出した大きな箱だった。

 

 

「バレンタイン?」

 

「そうだよ」

 

 

 受け取って箱を開けると中にはハート形の手作りチョコ。

 サンキューさんのよりも大きく、ちょっといびつな形をしたそれには

 

 I Love You

 

 とだけ書かれていた。

 

 明らかに本命チョコというやつだ。

 ライスちゃんが好きな人がいるはずなのになぜボクのところにこれが来たのだろうと混乱した。

 何かとんでもない勘違いをしている予感がした。

 

 そもそもライスちゃんが好きな人は年下で頼りがいのある人なはずだ。

 それがボクだなんて想定もしていなかった。だがライスちゃんより年下なのは当てはまっている。頼りがいはある気がしないからそんなわけないと思っていたが……

 

 

「ライスちゃんこれって……」

 

「ライスは、ヴィオラちゃんのことが好きだよってことだよ」

 

 

 笑顔でそういうライスちゃん。

 トレーナーとして好き、とか、友達として好き、とかそういう意味だろうか。

 それとも違う意味だろうか。

 

 必死にその意味を考える。

 重くとってそういう意味じゃないよ、と言われるのも恥ずかしいが、軽くとってそういう意味じゃないよ、と言われたときは恥ずかしいですまなそうだ。

 

 前者だった場合はまだ冗談で済むが、後者だった場合はライスちゃんのメンタルにも傷を負わせそうだ。

 

 命が掛かってますね。落ち着かないとまずいですよこれは。

 

 一回深呼吸をする。

 ここは格好つけたり恥ずかしがっている場合じゃないだろう。ライスちゃんに発言の意図をちゃんと意味を聞くべきだ。

 

 

「これ、本命チョコという意味でよろしいでしょうか?」

 

「そうだよ」

 

「……」

 

 つまりそういうことか。

 

 え、本当に? ライスちゃんがボクに告白してきたわけ!?

 

 そんなことを想定もしていなかったボクはひどく動揺した。




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