ライスシャワーを特盛雑穀米にしてしまったTS転生系ウマ娘トレーナーの話 作:雅媛
別の日、ライスちゃんに付き合ってほしいと言われて連れてこられた場所は何と教会であった。
海辺に立つ綺麗な教会。ライスちゃんって何か神様信じてるのかな、とか安易に考えていたボクは間抜けだっただろう。
控室に連れ込まれてあれよあれよという間にウエディングドレス的な真っ白なドレスを着させられて、何かがおかしいとやっと気づく。
ライスちゃんの方も、ウエディングドレスである。
「法律的な結婚はできなくても、結婚式はできるからね」
「さすがお母さま!!」
どうやら嵌められたようだ。
「いや、うちの妻とライスがすまないね」
「お父さま」
戸惑って控室にいるとお父さまに声をかけられる。
「ライスだけでなく妻もヴィオラちゃんのことをかなり気に入っているようでね。私もヴィオラちゃんのことは気に入っているが、その違いは分かるかな?」
「?」
「ふむ…… ウマ娘とヒトという種族の違いといったところか」
「よく知らないですね」
ボクの常識に、ウマ娘の生態というのは含まれていなかったりする。
自分がウマ娘なのにウマ娘とは何かというのはよくわかっていない。
周りにウマ娘がいなかったしねぇ。
「ヴィオラちゃんは、運命の相手、というのを感じているかな?」
「ライスちゃんにですか?」
「いや、ライスに限らず、そういった相手がいるという確信だ」
「……ないですね」
ロマンチックな信仰だろうかと思う。
そういう概念自体は否定しないが、ボクは信じていない。
「多くのウマ娘は運命の相手というのを確信しているらしい」
「……?」
「ごくまれにそうじゃないウマ娘もいるからあまり心配そうな顔をしなくていいよ」
「そうなんですか」
「妻もライスも、ほかのウマ娘に聞いても当然そういった相手がいることを確信していて、会えば一目でわかるのだとか。私にも理解しにくい話だがね」
「なるほど?」
ウマ娘の本能にそういったものがあるらしい。
ボクには全くわからないしおそらくそんな機能が搭載されていないが……
ラブリィさんとかミホノさんとかニシノさんとかシンボリさんとかにもそんな本能があるのだろうか。
「ライスはヴィオラちゃんが相手だと確信しているし、妻もそうらしい。なぜだかはわからないけどね」
「……」
「だから心配しなくても大丈夫だよ。少なくともライスは、何があろうとヴィオラちゃんを逃がすことはないさ。それがいいことなのかどうかは、私にもわからないけどね」
たぶんお父さまは、ボクの迷いを理解してそんな話をしてくれたのだろう。
本当に他人をよく見ているヒトである。
「どう感じるかはキミの自由だが、そのことだけはライスを信じてあげてくれ」
「わかりました」
ウマ娘という生き物もなかなか業が深い生き物だな、と思った。
結婚式はお父さまとお母さまだけが参列する状況で行われた。
ライスちゃんのテンションが高すぎて、何度もチューされたりしたが、おおむね楽しかったと言えるだろう。
「貴女は永遠の愛を誓いますか?」
「誓います!」
ウマ娘の牧師さんに聞かれたライスちゃんはそう答えた。
きっとその誓いに全く嘘はなく疑うこともないのだろう。
その姿がまぶしく、羨ましかった。
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