ライスシャワーを特盛雑穀米にしてしまったTS転生系ウマ娘トレーナーの話 作:雅媛
「えっとメジロリベーラさん、ですか」
「はい、よろしくお願いします」
ニンジンのたたき売りという謎の勧誘からうちのチームに加入希望をするという謎の経緯を経た彼女はメジロリベーラと名乗った。
ボクは首をかしげる。
「メジロの方なら、メジロのお付き合いあるトレーナーさんがいるのでは」
「まあそうなのですが……」
メジロに限らず、名家というのは大体お抱えのトレーナーや、そこまでいかなくても親しいトレーナーというものが存在する。
ライスちゃんのクリ家だってレースでは没落しかけているのにそういうトレーナーが何人かいるぐらいだ。今を時めくメジロ家にそういうトレーナーがいないわけがない。
そういったトレーナー以外と契約してはいけない理由もないが、わざわざ必死にトレーナーを探す必要もない。にもかかわらずこんな時期にボクたちに声をかけてきたのはなぜだろうか。
「ルドルフさんから困ったらヴィオラさんに声をかけろと教えていただいたので」
「シンボリルドルフさん案件ですか」
その名前が出てくるとは思わなかった。
確かにサンエイサンキューさんのことでデカい貸しがある以上、ルドルフさんから手伝えと言われたら助けるのはやぶさかではない。
だが、メジロ家の彼女にルドルフさんが手をとは貸すどういうことだろうか。
「何かお困りで?」
「ええ、すごく…… ヴィオラトレーナー、私が走れるようにしてくれませんか?」
「どういう意味です?」
「残念ながらあまり私は才能に恵まれておらず、脚も弱いので…… ヴィオラトレーナーならどうにかしていただけないかと思いまして」
「いや、無理だよ」
普通に答える。
トレーナーとしてのボクの腕がどれくらいかと言われると、おそらくそういい方ではない。
怪我をしないように体づくりするのは得意だが、能力アップという面だと正直もっとうまいトレーナーがいっぱいいる。
ライスちゃんやサンキューさんの前評判がいいのは二人とも才能あふれるウマ娘だからだ。だが、目の前の彼女、リベーラさんはそうではなさそうに見える。
「どうしてですか!?」
「脚が弱いのはどうにかしてあげられるかもしれない。体づくりは得意だからね。でも能力をあげるという面ではボクは正直上手い方じゃないよ。マックイーンさんのトレーナーさんの奈瀬さんとか、ルドルフさんのトレーナーの東条さんとかに比べたら全然だね」
あのあたりの超がつく一流トレーナーと比べたら明確に落ちるだろうボクの実力では、才能に乏しい彼女をどうにかしてあげることはできないだろう。
そもそも才能を乗り越えるほどのトレーニングというのは過酷でありその分リスクがある。怪我にビビるボクにはできないやり方だ。いい悪いではなく好みの話である。
「本当にそういう方法をやりたいならルドルフさん経由で東條トレーナーに頼んだ方がいいと思うな」
「……少し考えます」
そう言って彼女は去っていった。