ライスシャワーを特盛雑穀米にしてしまったTS転生系ウマ娘トレーナーの話 作:雅媛
「引き受けないんだね」
「責任持てないよあれは」
彼女が何を背負っているかを正確に知ることはできないが、よほどの何かを背負っているように思えた。
なんせルドルフさんが出てくるレベルだ。
だがこちらはただの最年少ウマ娘トレーナーというだけであり、人生経験なんかを考えればトレーナーとしての腕は平均より低いぐらいだろう。
運よく才能がある2人を担当できているだけでしかないだろう。まあその運がトレーナーとして一番大事という話もあるが、残念ながらリベーラさんを活躍させるイメージはボクにはつかめなかった。
「ちょっと出かけてくるけど一緒に行きます?」
「どこに?」
「ルドルフさん所。義理があるし報告しないと」
「私行きます」
ひとまずルドルフさんの紹介なのだから確認したほうがいいだろう。
サンキューさんが一緒に来てくれることになった。
現在はURAの職員として働いているルドルフさんと会うのは縁があるならそう難しい話ではない。東京レース場近くにあるURA本部でアポがあれば基本的に会えるのだ。
リベーラさんの話で、と言って連絡をとったらすぐに面会ができた。
「ということでメジロリベーラさんがボクのところに来たのですが」
「ふむ、早速か」
「走れるようにしてほしいと言われたけどさすがに無理そうなので断ったんです」
「今を時めく天才少女トレーナーにも難しいか?」
「無茶言わんでください。東條トレーナーに頼んだ方がまだ可能性ありますよ。厳しいでしょうけど」
努力で才能を覆せるのがウマ娘レースだが、それには精神力と健康とどちらも必要だ。少なくとも脚部不安を抱えているリベーラさんでは難しいだろう。
実行すればかなり分が悪い賭けになるだろうことは想像できた。
「そもそもルドルフさんとリベーラさんってどういう関係なんですか?」
「……」
「?」
「娘だ」
「娘!?」
ルドルフさん、今いくつだ。
ウマ娘って見た目の年あんまり取らないから年齢がわからないんだよなぁ……
というか相手は誰なんだ。メジロってことはメジロの誰かか?
「ラモーヌと私の娘なんだ」
「Oh……」
最大限の厄ネタの匂いがした。
この二人が結婚したとか付き合ってるとかそういううわさは聞いたことがない。
なんせ史上初の無敗三冠ウマ娘と史上初のティアラ三冠ウマ娘だ。世俗に疎いボクですら知っていて当然だろうことだ。
おそらく私生児というやつなのだろう。
「とはいえそんなの忘れて自由に生きてくれればと思ってはいるのだが……」
「本人はすごく気負ってると思いますよ」
正直言って9割9分9厘無理をして自滅するタイプだ。
後の1厘は奇跡的に上手くいってそれなりに活躍できる程度だろう。
あまりに分が悪すぎる賭けだ。
「ボクとしては引き受けるのは難しいんですが」
「そこをどうにかしてもらえないか?」
「なぜボクなんです? トレーナーの腕としては正直平凡だと思いますけど」
「いや、キミの体づくりを私は非常に評価している。彼女の健康に気を使いつつ、うまい具合にしてもらえないだろうか」
面倒なミッションを押し付けられた形だ。
まあボクの方もサンキューさんのことでかなり面倒を押し付けてるんだからお互い様だ。
「貸し借りチャラですよ」
「無論だ」
まあ、できる範囲で頑張ってみますか。