転生淫魔による立身出世と楽園都市建設計画   作:アスタロット

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ソドムとゴモラはその悉くが焼き尽くされた。
しかし、その都市が神の怒りによって滅びる事はないだろう。
その都市を彼女が治めているから。



プロローグ

 

そこは我々の世界と似て非なる所。

我々が住む世界とは、物理定数が異なる世界。

そこでは人間や動物に加えて、魔族や魔物が存在している世界。

科学の進歩がない代わりに、魔術が発展した世界。

 

そんな世界に、一つの国家が存在した。

人間と魔族の国家に挟まれるように存在する、小さな国。

城壁で囲まれた都市を中心に、その周辺を農村部で構成された独立国家。

その姿は、まさに都市国家であった。

 

大国に挟まれた立地を活かして、表向き商業や外交の要所として人間や魔族からも活用される緩衝国家。

 

しかし、そこへ行った者の何人かは帰ってくることはなかった。

 

ある人間の男はこう言った。

「この国は男にとって楽園だ、これを知った男は他で満足できなくなる。ここでの男に対する最大の刑罰は何だと思う?楽園(ここ)を追放される事だ」

 

人々はそこを”楽園都市”と呼んだ。

 

一方そこから帰ってきた人々の中には、畏れを込めてその場所をこう呼ぶ者もいた。

 

“淫魔が治める堕落の都市”であると。

 

 

 

“都市国家アラウィショイ”

 

そこにある宿屋の一階で、酒を酌み交わす男が二人。

その男共は、筋骨隆々の偉丈夫で腕に覚えのある者同士だ。

 

「なぁ戦友、こいつぁ噂なんだけどよォ」

 

「なんだァ、相棒。藪から棒に」

 

「あの一等級の娼館…”木の根”があるだろ」

 

「あぁ、”木の根”か…一ヶ月分の稼ぎをはたいても小一時間しか遊べねえっつう。それがどうしたってんだ?」

 

「出るらしいぜ」

 

「何だよ、バケモンか?高級店でバケモンはカンベン願いたいぜ」

 

「女王サマだよ」

 

「はぁ?」

 

「だから女王サマっつてんだろ、あほんだら」

 

「女王サマって、アレか?最近流行りの”えすえむプレイ”ってヤツで野郎の相手してくれるドギツい娼婦の事か?」

 

「いやいや、違う。マジもんの女王サマよ。ここの王サマが淫魔の女…サキュバスって話は有名だろ?」

 

「ああ、聞いた事はあるけどよ…冗談か何かだろ」

 

「それがよォ…俺のダチが一度、女王サマを見る機会があってな。マジもんのサキュバスで、しかも大層な別嬪だったっつう話だ。んで、その後でよぉ、ソイツがひとヤマ当てて、そこの店を使ったんだわ」

 

「はぁん?さては出てきた女が、その女王サマだったってオチか?」

 

「最後まで言わせろや、あほんだら」

 

「んな訳あるかい。なんなら、俺が今から行って見てきてやるよ」

 

「お前ェそんな金ねぇだろが」

 

「実はなぁ、それがあるんだなァ、これが。こないだの探索クエストで掘り出しモンを手に入れてな。どうも俺には使い道がねぇから、必要そうな金持ちに売ってやったんだ。したら、それがとんでもねェ大金になってよォ」

 

「なんでぇ、つまんねぇなあ」

 

「ここのメシ代は奢ってやるよ。とりあえず、今から行ってくらァ」

 

「おいおい。行って金払ったって、女王サマが出てくるとは限らんぞ、オイ。ダチだってその後、大枚叩いて何回か行ったがサッパリだっつてたぞ」

 

「今の俺は”持って”んだ。だから来るぜ、間違いねェ」

 

「そうかい、なら幸運を祈るぜ」

 

 

「やべぇ、やべぇ、やべぇよ相棒!!」

 

「ァンダ?俺ァもう寝るぜ、戦友。まさかバケモンが出てきたとかカァ?俺ァしらねぇぞ、行ったお前ェの自己責任だ」

 

「そんなんいいって!たぶん女王サマだよ、アレ!確実に女王サマかは分からなかったけどよォ」

 

「そういやお前ェ…女王サマの顔知らねェままで行ったんだったな。やっぱアホンダラだわ」

 

「るせぇ!んな事どうでも良いわ!それよりよォ、出たんだよ!マジもんのサキュバスがよォ!すっっっっげぇ良かったわ!今までの女は何だったんだ、って言うくらいよォ」

 

「おいおい、まじかよ」

 

「おうよ!まさに男を知り尽くしてるって感じよ!んで、アンタこの国の女王サマか?って聞いたら”そう”なんだとよ」

 

「へぇ、まさか本当だったとはなァ」

 

「なんでぇ、相棒は疑ってたんかい」

 

「ダチの話とは言え、さすがに女王サマが出てくるとはなぁ…ありえんだろ」

 

「あったんだなぁ、コレが。普通サキュバスとヤッたら文字通り、野郎は死ぬまで搾り取られるがよォ…女王サマは違ったね。塩梅が完璧だったわ」

 

「なんで女王サマが身体売ってんだよ。俺はソレが気になってしょうがねえ」

 

「おう、女王サマ曰く”メシ”らしいぜ」

 

「いやいや…女王サマにもなれば、幾らでも好きな野郎共を喰えるだろ。俺らみたいな冒険者やら下民風情を相手にしなくったって」

 

「それが、女王サマなんつってたかなァ…たしか…あ、そうだ…”ケンコーショクも良いけど、たまにはギュウドンとかハンバーガーを食べたくなるのと同じかもしれないわねぇ”だってさ。言ってる事よく分からねぇけど、そんな感じで女王サマは不定期に店に出てるらしいぜ」

 

「女王サマのメシか…その相手っつうと、余程の男…つまりは英雄だな。その、ケンコーショクとかギュウドンとかハンバーガーってヤツらは」

 

「そんな名前の英雄、聞いた事ないぜ」

 

「もしかしたら、魔族国の英雄かもな。ヤツらは一人一人の力に優れるって聞くしな」

 

「ほう、なら俺は女王サマの食事相手として相応しい冒険者ってワケか。ふふん、俄然ヤル気が出てきたな。なんなら、霊山ビーモンにいる龍すらも狩れる気がするぜ」

 

「いや俺らは人間だから、そもそも魔族領の聖地には入れんだろうに」

 

「例えばの話だよ。そんくらい自信が付いたって事よ」

 

「そうかい、そりゃ良かったな。なら、次は新大陸に遠征すっか。聖戦跡地の荒野を抜けた先だったか…そこの魔物はベラボウに強いって噂だぜ。そこでひと山当てれば、また女王サマと遊べるかもな」

 

「おうよ!ここら辺の魔物も粗方安定してきたしな。魔族領に行くよりは稼げるに違いねェ。よっしゃ、さっそく遠征の準備するか、相棒」

 

「だな。ギルドにも新大陸遠征の申請しとくか」

 

 

TIPS:戦友の男&相棒の男

冒険者の二人組。

ソロでもクエストをこなすが、基本的に二人で仕事をする。

言動はやや粗野だが、その実力は折り紙つき。

都市国家アラウィショイを拠点として活動している。

楽園都市を追放されたくない、という理由で荒々しい性格が丸くなったとのこと。

片割れの男は、娼館”木の根”における女王ガチャにのめり込み、散財するお得意様になる。

尚、ガチャの結果女王サマを引けなくても最高のサービスは保証してくれる。

 

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