かつての我が生まれ故郷では、刀剣類の所持について政治により厳しい取り締まりが為されていた。
太閤殿下の刀狩りから始まり、明治の廃刀令以降は本格的に刀の所持が禁止され、次第に規制が強化されていく。
これにらついては、安定した統治の関係上仕方なく賛同したけど。
しかし、この世界には特別此れと言った刀剣類の規制が無い。
ここでは魔物という名の害獣が野原を彷徨いていたり、山間部には賊がいるので地域間の移動には危険が伴う。
街の外に出る時は武装するのが、ごく当たり前という訳だ。
遠慮なく刀を所持できるのは、いち武人として見れば有り難い話だがね。
久しぶりに市井で、堂々と帯刀できた時のことは忘れられない。
昔を思い出して懐かしさのあまり、感極まってちょっと泣いてしまったのは秘密だぞ。
当然、街中で抜刀して無闇矢鱈に振り回す事はないが。
郊外において害獣や盗賊相手ならば、いくらでも試し斬りしても自由なのは素晴らしい。
しかも組合の任務を通して”そいつら”を、処せば報酬も貰える。
正直この淫魔という特殊な身体に生まれ変わらなければ、冒険者活動に専念していたところだ。
それもこれも、淫魔の正体を隠匿しているから可能なのだがね。
そんな人外の身体故か、淫魔になってからたまに、闘争に芽生える時がある。
そんな時は無性に技を奮いたくなる。
なのでそういった時は、冒険者として護衛や討伐などの任務を受ける。
ワクビスの冒険者組合に在籍している手前、任務を一切受けないというのもあまり好ましくないだろうし。
そこで適当な依頼がないか、任務を探しに組合へ寄ったところ、勇者のルティオンに出会した。
彼は私の上得意様。
あと、将来彼には教会組織とやらのパイプ役になってもらうつもりだ。
宗教組織は敵対より、利用するに限る。
規模が大きければ尚更ね。
「やあ、ダキ。珍しいね、今日は冒険者活動かい?」
目線がルティオンと交わると、向こうから近づいて話しかけてきた。
冒険者スタイル時の私はだいたい”誰も話しかけんな”オーラ出してんのによくやるよ。
その図々しさが勇者らしい、とも言えるが。
「ふん…まあ、そんな所だ。それよりも…おいルティオン、なんで最近店に来ない」
突っ慳貪に応えつつ、ここ最近店の予約欄に彼の名前がない事をたずねる。
ずっと通ってたのに、ここ最近の彼はご無沙汰だ。
正直なところ、もっと、何回も、私のお店に来て欲しい。
彼の精力は上質で美味だから。
あと回数を重ねる度に、えっちが上手になってる。
ついこの間まで童貞だったのに…
勇者の才能、性行為においても恐るべし。
「と、突然なんだい…行くも行かないも俺の自由だろ、客なんだから」
仰ることはご尤もだが、私は君に来て欲しい。
というか、早く彼とヤリたい。
何なら店に連れ込んで無理矢理にブチ犯したい。
「あれだけ通い詰めていたのに、ここ暫くは来てないじゃあないか。これでもお前のことを心配しているんだぞ、私は」
一応、相手を心配している体裁で来店に誘導する。
彼が店に来なくなったのは、短期間に精力を搾り取り過ぎた原因もあるかもしれない。
ならば、しばらくは禁欲してもらった方が良いかも。
それはそれで嫌だけど仕方ない。
「心配してくれてるのは嬉しいけど…その…じ、実は金欠なんだ」
ルティオンが神妙な顔をして打ち明けたことは、単なる資金不足だった。
「き、金欠?ぷっ…ぷふふっ…勇者ともあろうお方が金欠とは、ふふっ…面目丸潰れだなあ、くふふっ」
勇者様なら幾らでも持ってるだろうに。
どれだけ給料が少ないんだ。
もしかして教会って財力無いのか。
「だから、その金欠は”君”のせい、だよ」
「え?………えーっと…あ」
「君に使い過ぎたから、お金が無いんだ」
そう言えば彼、とても金払いが良い。
オプションはバンバン追加するし、延長も限界までする。
一日の予約分を全て買われて、恋人いちゃいちゃプレイをした事もある程だ。
聖女堕としを想定してやったとはいえ、あれは中々にハードだった、お互いに。
そりゃ、そんな使い方をすれば金なんて尽きるか。
何だか悪いことしたな。
「あっ…あぁー…その、まぁなんだ………あっ!ちょっと建物の裏に行くぞ」
仕方ない、サービスしてやるか。
この格好では滅多にしないんだけど。
「えっ、ちょっ…なになになに!?」
「黙ってついてこい。ホラ、行くぞ」
私は強引にルティオンの手を引き、組合の外に連れ出した。
そして建屋の裏手に周った。
そこは日陰で薄暗く、私たち以外に人の気配もない。
「で、人気の無い裏手に来てどんな用なんだい?」
ルティオンを壁際に立たせた。
彼の正面で、私は膝立ちになる。
私の目線が、勇者の下腹部あたりまで下がる。
クンクンッ…
におう、臭うぞ。
ヤバい、唾液が止まらない。
美味そうなものを目の前にすると、条件反射でこうなるのは淫魔でも同じか。
「ふふっ、気が向いた。タダで抜いてやる…特別だぞ?」
「いいの?」
「誰にも言うなよ」
「えっ…ほんとに…あっ…アーッ!!
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「ふぅ、これで少しは発散できただろう…けぷっ」
ご馳走様でした。
ルティオンは足腰に力が入らないのか、座り込んだまま立つことができない。
下半身がモロ出しのままだと誰かに見つかった時に可哀想なので、下は履かせてやった。
「う…うぐ…」
「まったく、私でイチモツをおっ勃たせるのは悪く無い気分だが、次からは店だけにしてくれよ」
「腰が抜けて立てない…ちょ、ちょっと手を貸してくれる?」
腰が抜けるほど気持ち良かったのなら幸いだ。
単に搾り取るだけの行為は本意ではないからな。
「断る。しばらくはそこで大人しくしているんだな」
「そんなぁ…急に冷たくならなくても」
「サービスは御仕舞いだ」
「うぅ…しかし、君にまだこんな隠し種があるなんて」
「ふふっ、また店に来たくなったか?」
「これで行かないようなら、きっとその人間はほとんど性欲が無いだろうね」
キスをしてやりたいが、私の口は絶賛彼のアレ臭いので控える。
代わりに彼の耳元で、吐息を込めて優しく囁く。
「ふふ、まあそうだろうな。なら…しっかり稼いで、また来るんだろうな?帰って聖女をしこたまブチ犯して自分好みに調教するんだろ?で、そのために私と鍛錬するんだろ?女を堕とすための鍛錬を」
私の息漏れ声に反応して、ルティオンの背筋がビクビクと痙攣している。
「うぐうっ…や、やめてくれ…また…」
彼の下に目を遣る。
またズボンにテントを張ってる。
耳元囁きサービスが過ぎたか。
「仕方ないなあルティオンは…なら二回目も、サービスしてやる」
座り込んだルティオンの前に土下座するように頭を下げて、私は”おかわり”をご馳走になった。
ふむ…なんだか、ルティオン君が私に依存する前に、私が彼の精力に依存しているような気がする。
いや、気のせいだよね。
そうだ。
ルティオン君のためにも、試しに会員でランク制度を導入してみようかなあ。
彼なら簡単にゴールド会員の要件を満たせそうだし。
特典はオプション追加料金無し、とかどうだろう。
時間関係は他のお客様に影響が出るし、管理が難しくなる。
予約関連で優遇してあげても良いけど。
ワンオペの現状、オプション追加無料なら簡単そうだ。
そろそろ人手が足りなくなって来たな。
店も手狭だし、人も欲しい。
ちょっと動くか。