転生淫魔による立身出世と楽園都市建設計画   作:アスタロット

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目覚め

 

サキュバス、あるいはサクブス。

美女の姿で現れ、男性の精力を奪っていくとされる超常的存在。

女型の下級悪魔、女淫魔。

 

地球とは異なる世界。

魔物が跋扈するその地でも淫魔は存在した。

魔族も存在するその世界において、人々はサキュバスを魔物として扱った。

それはサキュバスが、人に害をなすからに他ならない。

生命力を奪い、その果てにヒトを捕食する様はまさに獣。

人語を介す淫魔もいるが、その殆どが人を誘惑するための手段。

はなからコミュニケーションが破綻している。

獣が意思の疎通などできるはずもないのだ。

ゆえに淫魔は多くの場合、討伐対象となっていた。

 

だが彼、あるいは彼女と呼ぶべきだろうか。

そのサキュバスは別だった。

彼女は、地球で生きたある男の魂の受け皿となった。

 

よって今宵、一つの例外が誕生した。

 

 

 

 

“朝、目が覚めたら、メッチャ犯されていました”

 

名作の一文を借りるとしたら、これ以上の言葉は見つからないだろう。

小汚い野郎達に輪されている、最悪の光景だ。

 

それに、ここは俺の部屋じゃあない。

木材剥き出しのボロ小屋。

 

この野郎共もどこから湧いたんだ。

クッセェし、すっげぇ気色悪い。

 

俺は男だ、そして断じて同性愛者じゃない!

(男の娘風俗には行ったことあるけど)

だから野郎に襲われる謂れはないのに。

 

「※※※!!※※※ー!!」

 

あとコイツら何言ってるか全然分からないし。

どこの国だよ。

あー…意識が朦朧としてきた。

 

「※!?※※!!※※※!」

 

なんだぁ?日本語喋れよ。

日本語喋れないなら死ねよ。

 

そう思った瞬間、あんまりな状況に頭がショートしたのか俺は気を失った。

 

 

「んっんん…もう朝かぁ…くっそ…仕事だりぃ…起きたくなぁい…あと、五分…ぁー、ゃっぱ…五時間………っはぁ!!!?」

 

意識を取り戻した。

どれくらい時間が経っただろう。

いつの間にか野郎共は消えて、ヤツらの所持品らしき物が残るだけだった。

 

「どこだ…ここは……ってか、んん!?」

 

なんだか声が高い。

 

「あーあーあー…アメンホテプすごいな、あいうえおー…」

 

ソングバードなボイスが喉から出る。

あらまぁ、可愛らし。

というか俺、素っ裸やん。

そのうえ血まみれ。

床は一面血だらけでスプラッター、ここで何があったし。

野郎共の仲間割れか?

まぁ同士討ちで死んでくれたなら嬉しいが。

 

あ、首から下に毛が無いなぁ。

スネ毛も無いしツルッツル。

ムダ毛処理の必要ないじゃん、最高。

お胸にも立派な山嶺が二つも揺らいでいるし、まん丸の山頂部はキレイなピンク色。

俺の身体エロすぎだろ。

 

一方で、肝心の我が愛息は行方不明。

あまり憶えていない、お父さん、お母さん、あなた方の長男は立派な娘になりました。

これからは理想的なお嫁さんを目指します。

 

「角に尻尾…なんだこりゃあ、俺はバケモノ女になった憶えなんてないぞ。ってか俺は誰だ?記憶が朧げだ」

 

極め付けは側頭部から角が、ケツから尻尾が生えてる、ときたもんだ。

くそ、どうしてこうなったんだ、イマイチ思い出せねえ。

心残りというか、何かを為そうとしていた事は確かなんだが。

 

“私が当選したアカツキには!まず、日本のアダルトコンテンツから憎きモザイクを撤去します!!”

 

「うっ、頭が痛い」

 

“みなさんの清き一票を!性なる一票を!”

 

「うぉ…なんだかよく分からんが、大義を成そうとしていたような…」

 

なんとなく記憶が戻ってきた気がする。

やはり俺は何かを成そうとしていたようだ。

 

それは良いとして、今は状況を確認せねば。

あと出来れば身を清めたい。

身体中が血とアレな液体塗れだし、クッセェ。

 

「あ、物騒なモノ発見」

 

抜き身のデッカいナイフ。

 

「この刃物よく研がれてるな……うぉっ、今の俺こんなんかぁ」

 

ピカピカの刀身に、美女の顔が映り込む。

美女?というかカワイイ系だな。

汁まみれだけど。

 

「身体洗いてぇ…風呂場とか洗面所とか、何でもいい。もう便所とかでもいいから、ねぇかな」

 

とりあえずボロ小屋を出る事にした。

で、部屋を出たらまた部屋だった。

小屋じゃなくて、割と大きな建物らしい。

人っこ一人いないけど。

 

それはそうと何人もいた野郎共、アイツらどこにいった?

生活の跡は感じるんだけど。

 

「腹は減ってないんだよなぁ。何も食ってないはずなのに、むしろスゲェ満腹感。とりあえず身体洗ったら、どうしようかな。誰もいないし、服と金目のモノ頂戴するか」

 

 

 

 

その山賊は戦争で放棄された砦を根城としていた。

構成員も多く、その地域で特に恐れられていた悪名高い賊である。

そんな彼らは、どこからか手に入れてきた極上の女を皆で味わっていた。

 

次々と女を抱く男達。

全ての男に順番が回るまで、一体どれくらいの時間が要るのだろう。

 

いつしか女は言葉を発しなくなった。

それでも女は、男達のギラつく欲望に晒された。

男達は鬼気迫る表情で、女に精を注いだ。

まるで己が生命を捧げるように。

そんなある時。

 

「※※※、※※※ー!!」

 

女は突如、理解不能な言葉を発した。

それと同時に、彼女に変化が訪れる。

 

頭から角が、臀部からは黒く長い尻尾が伸びてきた。

 

「おい!やべぇぞ!そいつ魔物だ!!さっさと殺せ!!」

 

「オイオイッ!人間が魔物になるなんて聞いた事ねぇぞ!!くっそ!オイ!テメェ腰振るのやめてソイツ殺せ!!!」

 

そばにいた賊の数人が叫ぶも、彼らにとっては全てが遅かった。

 

彼女を抱いている最中の男は、急激に精力を搾り取られ乾涸びた。

その傍にいた一人の賊共は、地面に叩き付けられ頭を潰された。

その横で酒を煽っていた男は、顎を開き裂かれた。

逃げようとした賊は、背後から心臓を抉られた。

ヤリ部屋にいた男達が、瞬く間に殺された。

 

異変に気がついた賊が部屋に入った瞬間、首を捻じ切られた。

 

彼女は部屋から出て、子虫を潰すように男共を殺して回った。

 

返り血が見えない暗がりでは男を誘惑し、音を立てずに殺す。

たむろしている賊達は、まとめて捻り潰した。

 

結果、砦にいる全ての賊が殺された。

 

女は建物の内部や周辺から、生者の気配が消えたことを感じた。

すると、女に生えた尾の先端が蛇の口のように開かれた。

その尾でもって、死体を丸呑みにしたのだ。

大の男を丸呑みした女の腹部が、臨月の如き様相を呈した。

しかし、それも瞬く間に元の大きさに戻った。

男は彼女の胎内で消化された。

 

女は賊共の屍を、一つずつ、ゆっくりと、丹念に捕食していった。

結果、賊の悉くは、彼女に食われた。

女は元いたヤリ部屋へ戻って、満足げな表情で倒れ込んだ。

 

 

そのしばらく後、賊に対する討伐隊が街から派遣された。

彼らは、賊の根城である旧砦に突入して驚くことになる。

そこは誰一人として居ない、もぬけの殻だった。

しかも夥しい量の血跡が、そこかしこにある。

にも関わらず、死体が何一つ残っていないのだ。

調べるに、何者かが最近まで生活していた痕跡はあったが。

魔物の襲撃として判断するにしては、建物の損傷がほぼ無かった。

 

後日、討伐隊は賊の仲違いによる自滅として処理したが、その残党も発見出来なかった。

 

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