ならばその肉体が限りなく不浄ならば、その精神はどうなるのだろう。
立川荼吉夫
日本の政治家、宗教家、武術家
立川荼吉夫(たちかわ たきお)は二十一世紀の終盤に設立された日本の政党である性政党の初代党首にして、宗教法人シン立川流の教祖、またシン立川流武術の開祖。
国政選挙に立候補した際の主な政権公約は以下のとおり。
全ての性的コンテンツにおけるモザイク処理の撤廃
青少年健全育成条例を制限する事による有害図書の撤廃
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の改正による、性産業の大幅な規制緩和
性産業に対する、補助金の制定
性産業従事者への税制優遇
未届け状態の売春行為に対する厳罰化
一夫多妻制の許可
未婚男女の強制婚姻と出産の義務化
出産、育児における多額の援助
性感染症治療、対策への予算増加
など、数多くの公約を掲げた『性政党』を立ち上げる。
衝撃的な政策に、多くの批判が集まる中、シン立川流の信者達による選挙活動や、少子化が深刻化した社会的背景も相まって支持を急激に拡大。
マンガ、アニメ、ゲームにも精通。
性産業、サブカルチャーをはじめとする創作界隈や、幅広い年齢層の男性からカルト的な人気を誇る。
一時、野党との連携により政権を奪うも過激派テロリストの凶弾により倒れ死亡。
立川の死後も、性政党の躍進により少子化問題が改善したことにより、宗教組織内での一層の英雄化が進んだ。
ワキペディアより抜粋
♢
思い出した。
全部とはいかないが、だいたいは思い出した。
前世だと”私”だったか。
もう政治家でも何でもないし、一人称なんか何でも良いだろうけど。
ルーティンは直した方がいいな。
“俺”ではなく”私”で行こう。
私は日本で、志半ばで倒れた。
理想を実現しようと思った矢先だった。
それはとても悔しい思いだった。
しかし、私の同志は数多くいる。
きっと大義を成したに違いないだろう。
それよりも問題は今だ。
なぜこんな身体で生まれ変わったのか、摩訶不思議である。
しかし、これも何か縁あっての事かもしれないと考える事にした。
ヒントも無しに原因を考えても、何も進展しないからな。
そういえば、先ほどの兄妹を喰った結果色々と判明した。
余程の力がある兄妹だったのだろう。
彼らのエネルギーにより、伏せられていた私の記憶が呼び覚まされた。
まず、あの建物にいた輩達は私が全て喰った。
やはり、彼らは盗賊の集団だった。
喰ったというか、殺害した後に尻尾から吸収したと言うのが当てはまる。
吸生してから喰えばよかったのに、なんでそうしなかったのは分からん。
たがその結果、理解できなかった彼らの言語が分かるようになった。
おそらく、彼らの能力もある程度吸収できたからだろう。
ゆえに、兄妹の言葉も理解できたわけだ。
今更ではあるが、盗賊達の記憶も一部流れ込んできた。
“食事”についても多くがわかった。
サキュバスの必須栄養素が、性に関わる体液にあるものだと考えていた。
それは間違いではない。
実際に、兄の体液だけでなく、妹の体液でも栄養が補給できた。
サキュバスの体液や体臭に他者を強制的に発情させる能力があるのは、本当に都合が良くてありがたい。
しかも慣れたので、オンオフのコントロールが可能になった。
おっと、話を戻そうか。
体液について分かったのは、それだけではない。
実は人間が絶頂する際に、下腹部にある丹田(たんでん)の門のようなものが開く。
丹田とはいわば、生命が生み出すエネルギーの中心みたいな箇所だ。
相手が絶頂する瞬間に結合部を介して、相手の生命力を吸い上げる事が可能なのだ。
これが男性相手だと、非常に効率が良い。
この絶頂時における、生命力を吸い上げる瞬間の快感が物凄い。
多幸感がハンパないのだ。
胎内から手足の末端まで幸福で満たされていくし、サウナで整った時のようなフワフワとした感覚にも包まれる。
しかし、女性相手だとそれが上手くいかない。
お互いにアワビを擦り合ってるだけで“吸い出す”事は難しいからね。
出来なくはないが、効率が悪い。
口でも可能か試しに吸引してみたが、どうやら生命力はアソコからでしか吸収できないらしい。
生存に必要な満腹感は得られたものの、いくら接種しても幸せには至れなかった。
だからサキュバスは男ばかりを相手にするのだろう。
一時の快楽を得るために。
これらを平易に表記するとサキュバスにとって大切なのは
経口接種のご飯<<<性の体液<<<<<生命力
といった感じだ。
しかしながら、生命力の吸い上げは相手の命を危険に晒す。
だが、これに関しては自分で制御できそうだ。
生命力を吸わずに体液だけ頂けば、相手の生命力も消費することが無いから安心。
私は腹が膨れて、相手は性欲が発散できる。
今私の貞操観念はゼロだから、食えるなら男女どっちでも良い。
まさにwin-winの関係だ。
たまには、幾ばくかの生命力を頂くかもしれないが。
多少なら些事だろう。
ちなみに喰った人間たちの知識によれば、動物的な思考をもつ他のサキュバス達はその調整ができないみたいだ。
全てではないが、そういった情報を読み取ることができた。
尻尾から他者を捕食する効能も理解できた。
これに関してはずばり、能力や記憶の強奪だろう。
実際に、兄妹を喰った前後では出力が段違いだ。
喰った賊共の能力は、一つを除いて微妙だった。
アイツら一人一人の能力は、あの兄妹と比べて低かったと思う。
言語能力を習得できたのは、賊共を喰ったおかげだろうけど。
人里が近くにある事も分かった。
何だかんだ頑張って歩いてきたんだなぁ、としみじみする。
さあ、意気揚々と里に入ろう。
そうした瞬間、ふと思い出す。
私、サキュバスだったわ。
そんなんが人里に現れれば、大騒ぎになる。
あたりまえだよなぁ!
まず、人里で人外はとても目立つ。
魔族と思ってくれれば大丈夫だと思うが。
俺の身体的特徴は、そうでは無いらしい。
角に加えて、尻尾と背中の翼を持つのは、魔族ではなく魔物判定のようだ。
(後日知った事だが魔族や人間の中にも、ごく稀に先祖帰りで翼や尻尾の形質が現れる事があるそうだ。もれなく忌み子として処理されるが)
そこでテレビの前の奥さんに、オススメのスキルを紹介。
今回ご紹介するのはこちら”隠匿”のスキル!
吸収した盗賊の一人が持っていた技術。
普段は気配を消したり、建物に忍び込んだりする時に便利なスキルだ。
実はこのスキル、それだけではない。
姿も上手いこと隠匿できる。
つまり、角と尻尾や翼を誤魔化せるのだ。
鏡が無いから角は確認できなかったが、尻尾と翼が見えなくなった。
これ凄く便利。
刃物などの凶器を隠匿して、不意打ちが可能なのだ。
あの盗賊はそれを使いこなしてなかったようだ。
愚か者共め、お前達のスキルを有効に使ってやるから私の胎内で感謝しろ。
さてと、問題は粗方解決できた。
そろそろ出発するかな。
衣服は、妹さんの装備を頂戴しよう。
「夢はこの世界で実現させてもらおうかな」
あ、この装備…アレな体液でガビガビだわ。
みずー!だれか水をくれー!!