リラクゼーションマッサージ店『木の花』はじめました。
冷やし中華はじめました的なノリだけど、開業に至るまで色々と頑張った!
開業資金については、全く問題なかった。
モンスター討伐で、ある程度の資金を蓄えられたから。
魔物達は私の気配を察して、逃げる事はなかった。
余程の飢餓状態に陥らなければ、私のヤバいオーラは漏れないらしい。
怒り喰らうイ〇ルジョーが来たと考えれば、誰もお近づきにはなりたくないだろ?
結果現地に赴いて、討伐対象が逃げるって事は無かった。
そして新人冒険者の身の丈には合わない討伐対象もいたが、私は関係なく突っ込んだ。
金になりそうな魔物は素材として持ち帰った。
稀なケースとして、有用な能力がありそうな魔物は尻尾から吸収した。
さすがにパーティーを組む時は、捕食を自重した。
ソロでやり過ぎると嫌われるし、止むを得ずだけどね。
結果、新進気鋭の冒険者として有名になりました。
冒険者仲間に対して、プライベートでは絶対に身体は許さぬ。
抱きたければ、開業した後に来い。
こういった経緯で、資金面は特に問題はなかった。
問題は店舗兼住居だ。
前世の社会ならいざ知らず、この世界じゃ女がやるマッサージ店なんてハナから”その手”の商売に決まってる。
街に開業の届けを出そうものなら、即刻NOが返ってくるに違いない。
だから頑張って根回しした。
ワクビスの行政は、王国から派遣された代官の男が行なっているらしい。
そいつの方針で花街は大幅に縮小したそうだ。
随分と清貧でおめでたい脳味噌だが、代官が男ならいくらでもやりようはある。
商人組合に掛け合って、代官と会食の場を設けてもらった。
私の肩書?
商人組合のコンサルタントをしている、聖職者っぽい格好の不思議なお姉さんだよ。
実際彼らには、ビジネスに関して幾らかアドバイスしてやったからな。
嘘ではない。
服については、大枚叩いて純白のカソックをオーダーメイドで作らせた。
祝福済みのブレスレットを装着した時は、着用部分がヒリヒリしたけどもう慣れた。
とにかく代官はそういった”お清楚系”がお好みらしい。
甘い言葉で惑わせて、見事に開業の許可を取り付けることが出来た。
フフン、この手の交渉はトップを墜とせば、あとは消化試合なのだよ。
鶴の一声、とも言うしね。
残るは立地なんだが、飲み屋街の一角を借りることが出来た。
昔は娼館があったりしたそうだが、解体されて今は普通の酒場である。
そのエリアにある、使われていない一つの不動産に目を付けた。
奥まった場所にあり、全く目立たない。
日当たりも悪く、常にジメジメしている。
最高だ、こんな場所を求めていた。
立地が良すぎると一見客も増えて、キャパオーバーを起こすからね。
一応、冒険者組合にはオープン記念のクーポンとスタンプカードを配布しておいた。
価格設定はピンキリ。
プレイに比例して料金が上がる。
基本的にはかなり高額な料金設定だ。
マッサージ→お手→お口→本番
の基本プレイに、追加料金でオプションあり。
といった感じでマッサージは安いが、お手々の”抜きプレイ”からグンと料金が高額になる。
看板にはマッサージと、大体の時間しか書いてないけどね。
不定休だけど、営業日は店舗前のカレンダーには明記しといた。
ちなみに、浴室のスペースは確保できた。
風呂の設備投資は近いうちに着手したい。
排水路とかも作らにゃならんし。
大量の水については何とかなりそうだ。
早く温浴施設にしたいなぁ。
♢
街の冒険者界隈では、ある一つの話題が持ちきりになっていた。
“冷血聖女のダキ”がイヤラシイ店を開いたと。
ダキは聖女ではないし、元々着ていたのは術者の装束だった。
しかしある日からダキは、真っ白なカソックを纏いはじめた。
その頃から彼女は他の冒険者から、皮肉を込めて聖女(笑)などと揶揄され始めた。
次に、魔物の討伐任務に同行した冒険者が見たのは、純白のカソックを返り血で染めながら淡々と魔物を斬るダキであった。
その戦闘スタイルから彼女は冷血女と呼ばれた。
彼らから見れば生意気で、気に食わない事この上ないだろう。
眉目秀麗な若い女が、自分たちよりも活躍しているのだから。
そして、彼女の肢体は街の男どもを魅了し、血湧き肉躍らせた。
彼女は街の荒くれどもから、強引に誘われる事も度々あったが絶対に身体を許さなかった。
金や力をチラつかせて彼女を誘っても、男達は歯牙にもかけられなかった。
それが男達の劣情を、一層に煽った。
“あのクールで強気な美女を抱きたい”
そう考える人間は、決して少なくなかった。
彼女が開いた店に初めて来た客は、噂を聞きつけて来た守衛の男二人だった。
彼らはダキの口を忘れられなかった。
それを聞いた彼女は心から喜び、順番に彼らへ愛を以て奉仕した。
次に来た客は、冒険者仲間の男だった。
彼は大いに驚愕した。
あの冷徹暴力女が、店ではしおらしく自身に奉仕してくれるのだ。
それは男が経験した事のない、極上の奉仕だった。
男は彼女からこの現象を”ギャップモエ”と聞いた。
男はこのギャップモエという体験談を、仲間に言いふらした。
程なくしてダキの店は繁盛店になった。
ダキは店の営業と並行して、冒険者として組合の依頼を遂行していた。
店が繁盛しているのなら、冒険者稼業を廃しても良いのにも関わらずだ。
組合に立ち寄った際には、以前にも増して他の冒険者から色目を使われた。
しかし当の彼女は知らん顔。
それが殊更、変態冒険者達の欲望をギラつかせたのは言うまでもない。