命の答えを得た少年のヒーローアカデミア 作:角煮
『ありがとう…本当に…』
『疲れたでしょう…?』
『今はゆっくり休んで…私はずっと、ここにいるから…』
…………
深い深い海の中に沈むような感覚から、急激な浮上感を感じて、目を覚ます。
「……?」
まず視界にあったのは先ほど目を閉じる前に見た青空と、膝を貸してくれた「彼女」ではなく、白い天井だった。
ひどく重く感じる体を起こすと自分が寝かされていたのは白いベットで、周囲を見回すと、病院ではなく保健室を思わせる部屋だった。しかし、通ってい月光館学園の保健室とは違う。疑問を口にしようと声を出そうとしたが、ひどく掠れた声が出た。
「…こ、こ、は」
「おや、目が覚めたかい?」
視界の端にあった扉が開き、小柄なご老人が入ってきながら「俺」に声をかけてきた。
「おまえさん、雄英の敷地内で倒れていたんだよ。生徒が見つけてね…雄英生でもないし、近隣の学生でもないからどうしようかと思ったんだが、かなり衰弱していたからとりあえず応急処置をここでしてたんだよ」
「私はリカバリーガール。お前さんの名前を、教えてくれないかい?」
◇◇◇
リカバリーガールと名乗った白衣を着た老人から、自身がここにいる理由を聞いて、疑問が浮かぶ。
自分は先程までアイギスとともに屋上で他の仲間を待っていたはずだ。
なぜ今、自分が別の学校の敷地内で倒れていたのかわからなかった。
そのことを掠れた声で、老人に説明すると難しい顔をしてこう言ってきた。
「月光館学園…この辺にそんな名前の学校はなかったはずだよ。それに今は1月だ」
その言葉に俺は言葉を失った。場所が違うことはなんとか納得するとしよう。しかし、日付まで違うのはどうしても納得ができない。
「あの」力か、とも思ったが、最後の戦いで「最後の敵」を封印した際に、「時間」の出来事とともに消えたはずであるし、何より時間まで遡る能力を持っているというのは今まで聞いたことがない。そもそも、そんな能力があるのなら、「時間」が発生するようになるあの出来事まで遡っていたはずだ。
「ん?季節が混乱しているのかね?それにあんたが身に着けている音楽プレイヤーも随分と年代物だね。2000年代前半の機械が動く状態で残っているのも随分と珍しいよ」
老人の言葉に更に思考が止まる。今なんと言った?今は2010年ではないのか?
思考がまとまらないまま、老人に今は西暦が何年なのかを聞く。すると老人は少し戸惑いながら答えてきた。
「何を言ってるんだい今は2XXX年だろう?」
◇◇◇
その後、少し落ち着くまで時間をもらい、落ち着いてから老人「リカバリーガール」に自分の最後の記憶の内容を伝える。
「うーん、それは少し信じがたいねえ。季節のズレは昏睡状態で数年間過ごしていたからと説明はなんとか着くが、西暦が何十年もずれているのは気になる。もしそれが本当ならあんたは私の同年代以上になる。個性事故ていうもんじゃないよ」
リカバリーガールが手を顎の下に持ってきて考えるような仕草をした後、自分から見た「
始まりは中国で全身が発光する赤児が生まれたというニュースから、世界各地で超常的な能力を有する人間が誕生するようになり、原因などがわからぬまま何十年も時間が過ぎ、世界的な混乱などもあったが、その能力を持つ特異体質の人間が、世界人口の約八割になったのが現在の世界の常識なのだという。
そして、そんな能力「個性」を悪用する人間「ヴィラン」を取り締まる人間「ヒーロー」が存在することも聞き、今現在いるこの学校はヒーローを育成するための高校の一つとのこと。
なんとなく、現在の情勢等を聞き、現在の状況を把握したところで、部屋の扉が開き、やけに大きい服を着た白い動物が入ってきた。
「リカバリーガール、彼は気がついたかいって…今ちょうど話をしていた感じかな?」
「根津校長、どうやら単純な個性事故の転移とかじゃなさそうだよ」
校長と呼ばれた動物はそのままリカバリーガールと話を初めてしまった。
なんとなく手持ち無沙汰になったため、もう一度自分自身の周りを見回しているとすぐ近くに簡素なテーブルがあることとそこに何かが置かれていることに気がついた。
そしてその上に乗っているものを見て驚きに目を開く。
3の番号と「S.E.E.S」と黒い文字で記載された、自身の赤い腕章と白いピストルのような、自身の力「ペルソナ」の召喚用の機械である「S.E.E.S.制式召喚器」であった。