また、高評価や感想などマジで嬉しいです。
このお話が返礼になれば幸いです。
やってきたぜ、バカになる時間がよぉ!
ナツメさんとの再会から一年が経った、ある夏の日。
普段はメジロのお屋敷で『
トレーナー業は、問題など起こりえるハズもなく。関係者の誰もが『これからのメジロの躍進』を確信してしまうほどには、あまりに優秀すぎて何も言うことが無い。
竜胆ナツメの名がメジロの栄えある歴史の一部として語られるのは、間違いないと言い切って良いでしょう。
私の画家としての活動は、再会以前とも特に変わりなく。ただ、痛みだけを感じる色褪せたココロはドコへやら……今は絵画そのものを楽しむために制作している。
私自身は特段自覚はないものの、見る人が見る分には『印象がガラリと変わった』とのことで。そうそう、それこそあの『熱狂的な評論家サマ』からも。
『素晴らしい、キミは希望の画家へと転向したのだろう! 元より秀でていた光の表現が、キミの内包する柔らかなぬくもりを見事に感じさせてくれる! 是非ともキミの希望をより明るくするための支援をさせていただきたい!』
……えぇ、そんなお手紙を頂いた際はナツメさんと共に名状しがたいため息が漏れたものです。
『なんか、良くも悪くも芸術に狂ってるヤツだな……そういうヘンなトコある方が大成する界隈なのか……?』
『必ずしもそういうワケではないかと……あと、その物言いは私にも当てはまることになりませんか? 一応、美術紙で特集が組まれる程度には評価されているのですが』
『え、アルダンはヘンでしょ。いくら顔が良いからってこんな
『――……落第生』
『うーん、俺はなんかまた乙女心を図り損ねたっぽい。ゴメンね』
『とりあえずで謝るナツメさんは好きではありませ~ん。次のお休みは私のご機嫌取りに決定で~す』
『それで許してくれるなら喜んで。どこ行くかはまた考えときま~す』
なんて、互いに『愛想を尽かすことがない』信頼故のひと幕もあったりして……
今の私たちには、温かく穏やかな日常が続いている。
そして恋人期間を経てつい最近、皆のありがたい祝福の中で結婚式を挙げた。新婚旅行はナツメさんの希望で、私の好みが大いに反映された計画に。
『アルダンの見たい場所を隣で一緒に見ていたい』という言葉に甘えて、訪れてみたかった海外の景勝地や史跡を、訪れたかった人と共に巡る予定。
ただ、
脆く儚かった身体を休めるために、専属契約前まで散々お世話になった保養所の方々から、結婚の祝電を頂いた際に『ご迷惑でなければ元気な姿を見たい』との言葉が添えられていた。
こちらこそ、ご迷惑でないのであれば今までのお礼も兼ねて今一度足を運んでおきたい。できれば、ナツメさんと一緒に。
そして『新婚旅行前に、ただゆっくりするだけのおでかけがあってもいいと思う!』と、彼は快諾してくれた。
それらを踏まえ、現在は実家。
「――ということなのです、ばあや」
「……なるほど、円満なようでばあやは嬉しくございます。そして、お嬢様はその小旅行での
「そうですっ! 今思えば、私はナツメさんに甘えてばかりで……ただでさえ背負い込みがちで無理をしがちな彼には
「お嬢様らしい思いやりでよろしいかと。ですが……どうして私めにそのお話を?」
「ばあやには幼少のみぎりより、数え切れぬほどの世話を焼いてもらいました。そう、私を休めるために、幾度となく気を揉んできてくれた……いわば『お休みのプロ』です!」
「……ふむ。そこまでは、ばあやの理解できる範疇にございます。では次に、その手に持つ『これでカンペキ☆ オトコを骨抜きにするお姉さんキャラのすすめ♡』という説得力も内容も薄そうな本は、ご説明願えますかな」
「ナツメさんを休めるだけであれば、私が離れて一人にして差し上げればよい話ですが……私は癒してあげたいと思います! そして両親に聞いたところ、ばあやは我が家に仕えていただく前……若かりし頃にオトナの魅力で数多の男性を手玉に取り、一キ当千のイケイケであったと!」
「何を聞いているのですか何を。ふぅ……やんちゃであった昔の話でございますし、流石に誇張が過ぎます」
「では、一キ当千というのは『百人斬りがよいところです』――やはり! その秘奥、是非とも聞かせてください! メジロの皆様相手であれば『姉っぽい』と言われるのですが、ナツメさん相手だとどうしても『同級生』……それどころかたまに『年下』のように扱われてしまって……あとは、彼を弟のように可愛がってみたいのもありますケド」
「ははぁ、それで
「――姉様にも伺ったのですが、腕を組んでこめかみに指を添え『……そう』とだけ。その後、珍しく頭痛薬を服用していたので体調が悪化してはいけないと思い、退散してきました」
「あのラモーヌお嬢様が、ほかならぬアルダンお嬢様に呆れている……さ、左様にございますか。仕方ありません……誠に、
「ばあや……ありがとう! そうだ、自室からペンとノートを持ってきますっ♪」
「……あぁそれから、その本は必要ありませんので片付けていただいて結構です」
「そうですか? 分かりました、では母の書棚の奥に戻しておきますね」
「oh……申し訳ありません、ばあやも頭痛薬を取って参ります……」
♢
アルダンの提案で海外への新婚旅行の前に、幼い頃から彼女がよくお世話になったという『メジロの保養所』へとやってきた。俺は初めて訪れる場所だな。
施設や環境を見るに、温泉旅館というよりは湯治宿だろうか。裏手に豊かな緑が広がり、近くには景色の良い高台もあるそうで。
出迎えてくれた保養所の方々は、軽い足取りで上機嫌に駆けるアルダンの姿に感涙していた。そうか、この場所を利用する時は『元気じゃない姿』の時しか無いもんな。
うんうん、心温まるいい光景だなぁ……あと可愛いなぁアルダン。
コットンリネンで通気性のいいボートネックブラウスの白と、セージグリーンのミモレ丈フレアスカート。そこにペールグレーのロングカーディガンも合わさって、自然な彩りと動くたびに風に揺れる透明感が……なんというか目に良い。
歩きたい場所がいくつかあるらしく、水色の長い髪は三つ編みにして崩れないようにさせていただきました。好きなんだよな、アルダンの髪をアミアミするの。
さて。ほとんど10年ぶりの交流を見守ったところで、数日世話になる俺も挨拶を済ませる。
「初めまして、竜胆ナツメです。これからしばらくお世話になります」
『竜胆様! 私共、どうしても一度お会いしたかったのです……現役中にメジロアルダン様が楽しそうにターフを駆けているのを見て、どれほど嬉しかったことか……! 改めてご結婚おめでとうございます、今回はご夫婦貸し切りで、こちらの人員も最低限にしておりますので、どうぞごゆっくりお過ごしください』
「こちらこそ、挙式に際して祝電をお送りくださりありがとうございます。今回はアルダンと一緒に、お心遣いに甘えさせていただきます」
「ではお部屋に荷物を置いて、最初は森林浴に参りましょう♪」
アルダンはいとも自然に俺の腕を取って、まるで慣れ親しんだ実家のように迷いなく歩き出す。
いいのか、案内してもらわなくて……あぁ大丈夫っぽい。保養所の方々は『本当にご壮健になられて……ほんでナツ×アル尊い……』と遠巻きに眺めるだけだった。
部屋にバッグを置いて身軽になった後、アルダンに連れられてやってきた裏手の森は、深すぎることもなくいい塩梅で管理の手が入っていた。安心して気を抜ける緑の中を、腕を引かれながらゆっくり歩いて木漏れ日を浴びる。
街中では何をしていても感じる暑さを忘れ、木々の隙間を抜けていく初夏の風が心地いい。
「昔から、静かに考え事をしたい時はこの場所にお世話になっていました」
「へぇ……確かにいいな。頭を整理するのに丁度いい環境だ」
「でしょう? そんな場所で、ナツメさんは今……何を考えていますか?」
「えー。いつも通り、アルダンのコトかなぁ」
「――……ふふ、本当にいつも通りですね。具体的には、私のなにを?」
「具体的……将来のコト。少し先の新婚旅行についてとか、アトリエの改装案とか、もっと先の――
「あ……あらあら、それは――いえ、コホン。先のことも大事ですけれど、もっと
そう言って、身体を押し付けるようにより強く腕を抱くアルダン。あ、やらかいっスねぇ~……いい匂いもする。
けどなんだろうな。彼女の口元は緩み、頬には朱が差しているが、なんというか――『頑張って余裕を取り戻そうとしている』ように感じた。
「今日は私が癒すのだから、流されない流されない……」
なんかモソモソ言ってるし。さては妙なコト企んでるな……別にいいけど。
「ナツメさん? 聞いていますか?」
「聞いてるよ、ちゃんと
「――……いえ。ナツメさんに
「なるほど、趣向を変えてってコト? じゃあ少し屈むな……はい」
身長差はだいたい15cmほど、屈まなくても届きはするだろうが……アルダンからしてくれるならちょっとでもやりやすく。
しかし、今日の彼女はどうにも気合が入ってる気がする。主導権を握りたがる感じ……どういう風の吹き回しなんかな。
宿についてから割とクイクイ引っ張っていくし、今もまさに自分からしたがるし――……あ、どうでもいいやァほんとお上手になりましたねイロイロと。流石に『努力する天才』とか言われてるだけあるっスわ。
うわーガマンガマン、アルダンからキスしたいってんンだからやり返そうとしないよ俺。『甘やかしたい』し『してあげたい』タイプの竜胆ナツメを落ち着けて~。
いやでも……ア゛ァ゛~、リードしたがってるアルダンも可愛いヤバい~~~。
それからどこへ行くにも、やはりアルダンは俺を引くようにして振る舞っていた。
昔から絵を描いていたという、見晴らしのいい高台にやってきた時も。
『実は、この場で簡単にスケッチできる道具を用意してもらっているんです。ナツメさんから見える世界を、私に見せてくれませんか? 勿論、必要であればお手伝いも――まあ、線がお上手……すぎますね。なるほど、教官業のために美術の技能は既に……むぅ、ここはお姉さんらしく教えたかったな~』
涼しげな風が流れる、水面の煌めきが綺麗な湖畔を訪れた時も。
『静かで涼しくて、ひと眠りできそうじゃないですか? さぁ、どうぞこちらのベンチに……はい、そのまま横になってお休みください。ふふ、懐かしいです……バレンタインの時に借りたお膝をお返しします♪ ナツメさんの髪は柔らかくて撫で心地がいいですね……え? よほど疲れてないと一日3時間以上は体質的に寝れない、日中の居眠りは難しい……うぅ、思い通りに甘やかせない……』
宿へと帰ってきて、ラクに過ごせる浴衣へ着替える時も。
『よしっと……さあナツメさんっ。よければ私が浴衣を着せてあげ……る必要ないですね。左右の合わせ方も、帯紐の結び方も、着こなしも
なんか、甘やかしたり世話を焼きたがってるな。申し訳ないことにあんま上手くいってないっぽいけど。
気を利かせて全部任せたら良かったか……? でもなぁ、正直俺は俺でムズがゆいと言うか……やっぱ俺自身が本質的に『捧げて尽くしたい』ヒトだから――逆に俺の中で『甘やかしたい』欲求が育ってんだよな。
ただ、今のアルダンはどうにか俺をヨシヨシしたいみたいだし……これもガマンしとこう。今日のところは、慣れないながらも甘える側に回っておいてあげないと。
本当は甘やかしたいけど……抱きしめて撫でくりまわして愛でに愛でまくりたいけど……今日くらいは。
頑張れ、耐えろ俺。
♢
無理、耐えれんかもしれん。
お楽しみの貸し切り風呂、景色とか効能とか泉質とかまったく集中できん。
ここでもしっかり腕を抱いて真横で浸かっているアルダン。ふにゃりと耳を垂れさせて堪能してるみたいだけど、タオル越しの肌の感触に意識が完全に持っていかれるんですわ。
「ここの温泉は久方ぶりですが……やはり心地良いですね~」
確かに心地良い、俺の左腕が特になッ!
「ふぅ〜……ここはぁ、筋肉痛や神経痛などを癒してぇ、疲労回復に効果がありながら肌ツヤも良くしてくれましてぇ……」
柔らかく蕩けた声で言葉を並べてくれる。
ぽよぽよ、ふにふに……柔らかくてマジ蕩けそう。なんか……現役時代よりさらに胸大きくなった? いやそんなまさかね……。
「……あら? ナツメさん、なんだかボーっとされてますね?」
「え……あぁ、うんそうかも。いやそうだな、身体が熱いわ! 一旦上がろう、アルダンはそのまま浸かって『では、お背中を流しますねっ』なんだって???」
しばらく煩悩と格闘していた意識に射しこんだ一筋の光明は、さらなる苦悩への誘いでした。
またあれよあれよと引っ張られていく。俺なら抵抗はできるよ、でもノリノリな妻に水を差すのは気が引けるじゃないですか! なんか世話焼きたがるアルダンに極力付き合ってやりたい、そのためには我欲に蓋をして鍵をかける。
ガマンだ、頑張れ頼む竜胆ナツメ! 楽しそうにしてるアルダンの笑顔を守れ……!
「はい座ってください♪ 強さはどれくらいがいいですか~?」
「思いっきり、皮膚剥がれるくらいで!」
「しませんよ? 照れ隠しはやめて観念してくださいね……ナツメさんは本当に締まったお身体をされていますから、少し強めにしちゃいま~す。あ、そうだ――振り向いては、
「はい、
「――ハァ、たまにワザとやっているのかと疑いたくなります」
乙女的な地雷を踏み抜いたらしく、若干拗ねながらもご丁寧に背中を流してくれる。『よいしょ、んっしょ』と漏れてくる声をできる限り無心で聞き流すよう努めつつ、
――
「――ふう、これでヨシです♪ では前の方は『自分でやりますっ!』――そうですか? では、コレをお貸ししますね……」
後ろから伸びてきた手から、
なぁ、アルダンさんよぉ! 背中流してご満悦な雰囲気でペタペタと湯舟の方へ戻ってるっぽいけど、怖くて俺もうソッチ見れねぇよ!
「……ナツメさーん、固まってどうされました? やっぱり――私が全部やってあげましょうか♡」
見なくても
まるで『お姉さん』みたいな、余裕のある主導権の握り方。『甘やかすこと』が上手くいって、大層気分が良いんだろう。
――あぁ、もう知らん。決めた、部屋戻ったら
♢
お風呂では、ようやくナツメさんを癒すことができました……『お姉さん』ぽい振る舞いも少しサマになっていた気がしますし、可愛らしい照れた様子も見れてイイ感じかと♪
このまま流れに乗って、お食事を『どうぞ♡』してあげたり、お布団で寝入るまで『よしよし♡』して、私としてはナツメさんを癒す小旅行として順調な滑り出し――
――と、思っていたのですが。
「あのぅ……ナツメさん?」
「どうした、アルダン」
「もうお休みの時間かと……添い寝は、暑苦しかったですか?」
「いや全然」
「では……なぜ起きてしまったのでしょう」
電気を消して、青白い月明りだけが微かに射しこむ部屋。もう日も変わろうかという時間に、隣り合ったお布団でナツメさんは唐突に身体を起こした。
てっきり私は、彼を抱きしめて頭を撫でていたのが暑くて起きてしまったのかと思った。ウマ娘の体温はヒトよりも高いので、引っ付きすぎてしまったかもしれないと。
けれど薄暗い和室で、私を見つめるナツメさんは『そうではない』と首を振る……なんだか、妙な予感のする微笑みで。
「なぁ――……
「そう、ですか? それは……よかったです」
「うん、ありがとう。でもそんな一日ももう終わりだ……今、
――今日一日は、俺の番だな」
ナツメさんが私を見下ろす――有無を言わせない、柔らかな圧力とでも言うべき灰色の瞳。
初日に私が存分に甘やかした、そして日が変わったなら今からは自分のターンであると、そう言った。
「……い、いえ。そのようなお気遣いを頂かなくとも、私はナツメさんがゆっくりできるならそれで良くてですね……!」
――ダメだよ、
ハッキリと、私の意思に被せるような言葉を選ぶ彼は、今までに見覚えのないような質感の笑みだった。
「とはいえ、もう遅い時間だ……今はただのマッサージに留めるか」
明るく、闊達で、陽の気を感じる星のような存在。その奥から滲み出て這い寄る、なんだかとても
もしかしたら、私は選択を間違えたのかもしれない。いつも私にたくさんのモノをくれる彼へのよかれと思った『甘やかし』は、逆に彼の中で眠る欲望をつっついてしまった。
……あとは、ほんの少しだけ煽情的なからかい方もしてしまいましたけどぉ……やり返すだなんて大人げないコトは、優しいナツメさんはしません……よね?
「懐かしいだろ? アルダンと契約してからしばらくやってあげてたよなァ、トレーニング終わりのマッサージ……さあ目を閉じて、リラックスしてくださいねお客さん――……眠れるかは知らねェけど」
ひぃん……え、笑顔が怖いですっ……。
「まずは身体の末端から~、リンパの流れは末端から心臓に向かって一方向だから――――足裏どうっスか、気持ちいいですか~――痛くしないよ、そんな緊張しないで――リラックスですって」
「温泉でふくらはぎもふっくらしっとりですね~――撫ですぎ? すんませ~ん、じゃあゆっくり揉んでくから――力抜いてくださいよ~?」
「レースから離れてもまだ張りのある、健康的な
「大丈夫、俺めっちゃ上手いっスから、浴衣越しでもちゃんと場所分かりますよ~。この場所はァ、鼠径リンパ節っつってェ、大事なトコなんで――丁寧にゆっくりやりますね~――はい? えー、ヤダなァ――焦らしてるとか」
「体温上がってきましたね~、血流が良くなっていいカンジっス――次? 次は――上半身かな♪ 手のひらからヒジ、腕……腋もやってェ、リンパの集まる鎖骨でおしまい――
――あぁ、その余裕のない
――そう、いい子だ」
♢
『おや、折り返しのご連絡ありがとうございます、アルダンお嬢様。もうすぐ正午ですが……ただいまお目覚めのご様子で。ご旅行中に申し訳なく思いましたが、おひとつ伝え忘れていたことがありまして――
――
「……………………ばあや」
『はい』
「もっと早く聞きたかったです」
『――おぉw 仲睦まじいようで、メジロは安泰でございましょうな』
「……電話終わった? なるほどねぇ、世話焼きたがったのはそういう文脈か」
「ナツメさん、まだ『正座を崩して良い』とは申し上げておりませんよ」
「ハイ、スイマセンデシタ」
「……まったく、ナツメさんの意外な獣性には困ったものですっ。ワザと焦らしてみたり、身悶える姿で愉悦に浸ったり……その、私に何から何まで言わせてみたり」
「はい、仰る通りデス……本当に反省してます、ゴメンねハムダン」
「反省を感じませんが!? ――まぁ、もう構いません。ナツメさんは『甘やかすことで癒される』という、難儀な方であると大変よく理解できました。これからは素直に寄りかからせていただきますので……暴走はほどほどになさってください」
「ほどほどならしていいっスか」
「――…………夫の嗜癖を受け止めるのも、妻の度量というだけですっ。決してその、『我欲を露わにする貴方もなかなかどうして』とか、そのような他意はございませんからっ」
「あぁ、なんというかお恥ずかしいトコロをお見せして……全部教えてくれるアルダンがあまりに可愛くてエグい興奮しました――ゴメンゴメンって! 布団に帰って行かないで、ほら出てきて着替えよ!? 大丈夫、俺しか見てないしマジで超可愛かったから、全然恥ずかしくないよ~!」
「わ、忘れてください……もうお嫁に行けませぇん……」
「いやもう俺が婿に来てんのよ! 俺、旦那! どこにも嫁に出さないからね!?」
改めて、ここまでのお付き合いありがとうございます。
次回の更新は未定です。もし投稿したら、また覗いていただけると幸いです。