それは、ある生物を倒す為に作られた。その生物は怪獣と呼ばれる強大な存在であり、それのデザインも自ずとその怪獣を模したものであった。
そして作られたそれは創造主の意に従い、怪獣を追い詰めた。しかし、とうとうそれは自らの存在意義を果たす事は出来なかった。その事に対して、一部始終を見ていた者達はこう言った。
「勝負を決めたのは結局、命だったな……」
「命……?」
「命あるものと、ないものの差よ」
それが本当に勝敗を決めたのかは分からない。しかし、それが怪獣に敗北したのはまごうこと無き事実であり、命なきそれが何も思うこと無く命がある者によって打倒されたことにより1つの物語は終幕を迎えた。
それからある世界の時間にして奇しくも20年後、『艦艇』の魂を身に宿す乙女達の戦いが幕を開けていた。そして――
◇ ◇ ◇
「…………ん?」
ここは何処だ?確か私は、幕張ベイエリアで“奴”と交戦し、修復不能のダメージを負った筈なのだが……。いや待て、何故私はこの様な意思を持っている?そんな機能なんてGフォースは付けていなかったのだが。
混乱する私は周囲を確認する。どうやらここは工場の様であるが、周りに何か人間を三頭身くらいにしたような生き物?がちょこまかと動き回っている。
「シュンコウデアリマス!」
何やら喋っている。どうやら日本語の様であるが……。私は更に辺りを確認する。
「彼女が、我が鎮守府の新しい艦娘か?何やら艤装が妙に見慣れないんだが……」
「はい、今データを照合しているのですが、現時点で彼女には既存の艦娘と一致するデータがありません。海外にも、です」
「つまり、未知の艦娘だと?異世界の存在というのを噂には聞いたことがあるが、まさか?」
「現状彼女に関する情報が無いに等しいので結論は出せませんね。先ずは彼女から話を聞かない事には……」
そんな会話を少し離れた所で、黒髪の三十歳程の白い軍服の様なものを着ている男性と黒長髪の眼鏡をかけたセーラー服の様なものを着ている女性がしている。勿論こちらを見ながらだ。
彼らは……、人間か?しかし縮尺がどうもおかしい。私のサイズを考えれば、彼らの大きさは100mクラスか、それか私が縮んでいなければ矛盾が発生するのだ。これは一体……?
それに艤装?私が知らない兵器でも開発されているのか?そう考えていると……
「あーっと……、聞こえるかい?」
私に話しかけて来たのはあの軍服の様なものを着ている男性だった。取り敢えず反応してみる。
「あぁ聞こえるとも。しかし妙だ。私は言語機能など備わっていない筈だが……」
すると、眼鏡の女性が意外そうな顔で、
「貴女はもしかして艦娘としての自覚が無いのですか?此処で建造されたという事は、貴女は艦娘で間違いない筈ですが……」
そう尋ねてくる。
「艦娘……?」
「そうだ。本当に分からないのかい?じゃあ軽ーく説明するが……」
軍服の男が言うには、世界は突如現れた深海棲艦という奴らに海を荒らされ、大混乱に陥っているとのこと。これら深海棲艦に対し人類は結束して戦ったものの、通常兵器が効かないため、人類は敗北を重ねることになったそうだ。そんな時、人類の切り札として現れたのが艦娘。
第二次世界大戦時の艦の魂を妖精さんの持つ神道の技術と人類の霊力で実体化した九十九神。この艦娘によって、何とか5分5分にまで持ち込み、今もそれが続いている。そんな説明を受けた私は、
「ちょっと待て、Gフォースやゴジラはどうなった!?未来の技術を得たGフォースが遅れを取るとは思えんし、何よりあの人類最大最強の脅威と言っても過言ではないゴジラは私が破壊された後どうなったのだ!?」
と軍服の男に詰め寄る。軍服の男は慌てた表情で、
「ゴジラ?Gフォース?何の話だ!?まるで意味が分からないぞ!」
というと隣の眼鏡の女性が、
「恐らく彼女の前世界での出来事でしょうね。それにしても……ゴジラですか。アニメや特撮映画なんかによく出てくる怪物ですね。あれが実際に現れていたら確かに恐ろしいでしょうね」
と笑いながら答える。しかし私は冗談抜きでかなり真剣に質問していたので冗談と思われていたらしい。
「まぁ取り敢えず名前は?君の名前は分かるだろう?艦娘としてこの世界に生まれ落ちた以上は誰しも自らの艦名を知っているのだから。まぁ例外はあるようだが……」
軍服の男は取り繕うように尋ねてくる。
「UX-02-93だ」
「はい?」
「UX-02-93と言っている」
私の答えに2人はキョトンとした顔になっていた。
「なあ大淀、それって……」
「形式番号でしょうね……、彼女の」
そう会話する2人。
「どうした?名前は言ったぞ」
「あー、いや……、形式番号じゃなくて他にも名前は無いのか?君の事情はよく知らないが、元が艦艇であった以上何らかの愛称とかあっただろう?」
「そうだな。私にもこういうコードネームはあった」
「それは?」
「メカゴジラ。だ」
◇ ◇ ◇
それから私は、工廠内で明石や夕張と名乗られた艦娘達から装備を調べられた。
「うわあ!なにこれ見たことない装備じゃない!」
「完全にメカゴジラ専用!?もっとじっくり調べたい!」
「なんか気恥ずかしいな……」
一通り装備を検められた後に工廠をでた後、目覚めてから最初に出会った人物である軍服の男改めこの鎮守府のまとめをしているという敷島と大淀という名の艦娘に再会した。
「いきなり悪かったね。取り敢えず艦娘として他に異常が無いか確かめさせてもらったよ」
「明石達の言うことには、私は取り敢えず装備が見たこともないこと以外は艦娘として正常だそうだ」
しかし姿見を見た時には驚いた。私は奴……ゴジラを模した武骨な格好をしていた筈なのだが姿見に映っていたのは銀髪の成人に達するかどうかといった容姿の乙女だった。これが艦娘になったということなのだろうか?
その後私は鎮守府の中を見学することとなった。どうやらこの鎮守府は提督である敷島を筆頭していて、規模は全国にある鎮守府の中でもそこそこだそうだ。私は入渠施設に案内される。敷島提督が、
「此処が艦娘の損傷を治すところだ。多分君も沢山世話になる筈だ」
という。大淀は私に近づき、
「貴女は艦娘ですから、普通の人間の様な身体ではありません。だから損傷してしまったら此処に入ることになるんです」
と補足する。その次は食堂に案内された。そこでは間宮を名乗る艦娘が、
「あら、新入りさんかしら?じゃあ折角だしアイスを食べてって!」
そう言ってアイスクリームを出して来た。私は敷島提督と大淀を見るが、
「それは君の分だと思うぞ」
「間宮さんのアイスは絶品です。是非召し上がってください」
と、言われたので私は生まれて初めてアイスクリームを口にすることにした。口に含むと途端に甘い味が広がっていく。なるほど美味しいな。私はそれを夢中になって食べ切ると間宮が
「お粗末さま!」
と言いながら笑った。
次に連れて行かれたのは艦娘達が寝泊まりする寮だった。寮の内外では今任務についていない艦娘達が思い思いに過ごしているという。
「メカゴジラ、君の部屋は4人部屋なんだ。と言っても今までは空き部屋同然で他の部屋の艦娘が気まぐれに使ってるんだがね」
そういうと敷島提督がその部屋まで連れていってくれた。扉をノックすると中からはいと返事が来たので扉を開ける。部屋に居たのは幼い容姿の茶髪の艦娘と銀髪の艦娘だった。
「あれ?新しい艦娘さんですか?私は陽炎型8番艦の雪風って言います!」
「私は暁型2番艦響だよ」
そう自己紹介する彼女達に私も、
「私は対G超兵器のメカゴジラだ。これから此処に世話になるらしい。よろしく頼む」
と言う。すると敷島提督が
「この部屋に新たに入る子だ。仲良くしてくれよ?」
と伝える。すると二人は目をキラキラさせながら
「わー!よろしくお願いしますね!メカゴジラさん!」
「これから宜しくメカゴジラ」
と歓迎された。取り敢えず此処でやっていけそうだと思った。敷島提督達から
「じゃあ後は頼んだ」
と言われると二人は承りました!と敬礼する。去り際に敷島提督が振り向いて
「明日は大淀と共に執務室まで来てくれ。色々書類も用意しないといけないしな」
と言い残して大淀と共に行ってしまった。すると入れ替わりにまた銀髪の艦娘が入ってきた。
「初めまして!私は陽炎型9番艦天津風っていうの。よろしくね!」
彼女は挨拶をする。私は先ほどの二人にしたように自己紹介する。
「よろしく」
彼女はよろしくと言いながら部屋を見渡す。
「ふーん。貴方がこの部屋の新入りなのね」
「あぁ。この部屋は今まで他の艦娘が思い思いに使ってたそうだが、本来の持ち主とか居ないのか?」
「そうね……、私達も含めて勝手に物を置いたりしてるけど、本格的に寝泊まりするのは貴女が初めてだと思うわ」
「そうか。なら良かった」
そんな話をしながらも夜が近くなっていく。夕食にしようかとなり、私は雪風・響・天津風に連れられて食堂に来ていた。今日は魚定食と肉定食のどちらか選べたので私は迷わず魚定食を選んだ。そういえば先程まであまり意識していなかったが腹が減ってくる感覚がある。これが腹が減るということか。
「いただきます!」
食事を頂こうとすると先程の3人が声を揃えて言ったのに倣って
「いただきます」
と言う。食事に手をつけ始めると皆美味しそうに食べる。
「魚もいいけどこのチキンステーキも結構美味しいんですよ」
「こっちの煮物は甘くて好きだよ」
「あ!煮物がもうほとんどない!?早く取らないと食べられないじゃない!」
そんな会話をしてくるのに私は微笑みながら
「あぁ。どれも美味しいな」
と言う。食事が終わり各々解散していくなか私は響と雪風に手を引かれながら寮に戻った。部屋に戻ると雪風から布団の押し入れの場所を教えられる。そして3人は順番に風呂に向かった後戻ってきて
「おやすみなさい!」
と言いながら就寝していく。私も布団を引き寝床についた。
◇ ◇ ◇
朝起きると窓からは日差しが入っており鳥のさえずりが聞こえて来る。朝食にしようと準備をして食堂に行くと昨日見たメンバーがいた。皆が食事を始める中敷島提督から
「今日君の訓練がある」
と言われる。
「そうか。なら期待に沿う働きをしなければな」
と答える。朝食を食べ終わった後は敷島提督と大淀に連れられ教導役の那珂にあった。
「メカゴジラちゃん?だよね?私は川内型軽巡洋艦3番艦の那珂ちゃんだよ~♪」
そんなテンションの高い挨拶に困惑しつつ
「よろしく頼む」
と応える。すると大淀が
「私からは砲雷撃戦や水上機運用の練度を上げる訓練をお願いします。那珂ちゃんは演習での訓練を行ってください」
と指示を出す。すると那珂は
「まっかせてよ♪」
といい私の腕を掴む。
「じゃあ早速練度あげていくからね♪」
というので仕方なく
「了解した。だが先程までの演習とやらについては私は砲雷撃戦を一度もしたことがないので基礎的なところからやっていきたいのだが」
そう答えた。
「あれえ?メガゴジラちゃんって艦艇じゃないの?」
「そういう括りになっていたがな、実を言うと海上に出たことが無いのだ」
「ええ~!?艦娘なのに~?」
あからさまに驚く那珂。しかし、私の言ったことは本当である。前の世界では私は陸地でしか戦っていないのだ。海の近くに来た事はあるが、海に浸かるという体験をする前に破壊されてしまった。このことを伝えると大淀が
「まぁとにかく取り敢えず演習用の艤装を使っての演習を行い、その後戦闘に関する講義を行いましょうか」
と提案する。というわけで那珂と一緒に演習場に向かうことになった。演習場には天龍や龍田が待機していた。
「よぉ!オレが天龍だ!お前が新人か?」
「そぉ。ウチの艦隊では珍しい陸上防衛を得意とする艦娘なんだってぇ」
「はじめまして。メカゴジラです」
お互いに自己紹介をする。那珂が
「メカゴジラちゃんの艤装も揃ったみたいだから早速始めよっか♪」
こうして私は初めて水上に出ることになった。結論から言うと、私は水上に立つことが出来た。だが、
「な、なんかお前浮いてないか?」
「ホバリングしているんだが……。その、ホバリングは普通でないのか?」
演習場の艦娘達は私がホバリングで水上に浮いていることに困惑していた。だが私も
「何故みんな浮かないんだ?」
と疑問を感じていた。その後は水上での航行のやり方などを教えてもらうが皆何故か私の動きに唖然としている。そのまま演習をするのだがこちらが一方的に勝利してしまう。そんな具合なので午後からの水上航行の訓練は行われなかった。
代わりに香取による座学の授業が行われた。最初こそ緊張していた私だが香取の説明は丁寧だったので理解がしやすくすぐに内容を覚えることができた。昼食を挟み午後は香取による講義が終わると訓練で疲れ果てた体を休めるために昼寝をしたり他の艦娘と遊んだりして過ごしていた。
今日の予定はこれで終わりなので部屋に帰ってゆったりとしていたらいつの間にか寝てしまった。気づけば朝になっており支度をしていつものメンバーと共に食堂へと行くとそこにいたのは昨日一緒に演習した天龍と龍田だった。
「よおメカゴジラ!お前はどんな訓練をしてきたんだ?俺達は今日は一日中座学なんだぜ~」
「メカゴジラさんはまだ来て日が浅いからまずは基本的なことから覚えましょうって大淀さんに言われたわよぉ~」
二人と話しているうちに朝食を食べ終えた私は、練度を上げる為に演習場に向かう。艦娘の練度というものは数値化されているそうで、建造されたばかりの私の練度はかなり低いそうだ。
そういう訳で演習で経験値を貯めて練度を上げるのが目的だ。演習場に着いた私はまず那珂とのペアで那珂の姉である川内と神通を相手に戦闘訓練を行うこととなった。そして結果は私達の勝利。
だが私は那珂たちの攻撃の応酬を目にして一つ気になる事があった。那珂が川内に向けて撃った砲弾が命中したはずなのに川内は無傷でいたのだ。私が首を傾げていると傍にいた神通が解説を入れてくれた。
「この演習用の弾丸は特殊でして。当たると炸裂しても怪我をしないようになっているんですよ」
なるほど納得である。そんなこんなで時間が過ぎていき最後の訓練を終えた。さてこの後はどうしようかなと考えていると、
「夜だ夜だ~!……んん?何か向かって来てるね」
と日が落ち宵闇に染まる海の彼方を見据える川内がそう言った。確かに暗いが、海の向こうから船の様な何かがこちらに向かって来ているようだ。
「おかしいですね……。他の艦隊がこんな時間にくるなんて聞いてません」
様子のおかしいこと察した神通は警戒状態になる。するとその時であった。突如としてピカピカと何かが光を放つ。
「全員散開!自由回避!」
私達はその通り回避行動をとる。すると直前まで私達が居た辺りに水柱が上がった。攻撃という訳だ!神通が探照灯で攻撃してきた何かを照らす。すると、黒い船の様な異形の生物が照らし出された。
「あれは!?」
「駆逐イ級が二隻!あれが深海棲艦だよ!偵察艦隊かな!?」
川内がそう言うと駆逐イ級達は私達に攻撃してくる。その攻撃を避けながら那珂が、
「那珂ちゃん達は今演習弾しか無いから逃げるよ♪」
そう言いながら練度の低い私を庇う為か、川内型艦娘達はイ級たちの気をそらそうと動く。その隙に退避を試みる。
逃げようとする私に敵艦の1隻が迫る。だがもう1隻は那珂ちゃんが気を逸らしてくれているため余裕はある。
「メカゴジラはまだ練度が低い。それに今の武装じゃ太刀打ちできない。今は逃げることに集中して!」
川内もこちらに呼びかける。すると逃げる私の眼前に巨大な影が立ち塞がる。それは戦艦ル級だった。ル級は私を見るなりニヤリと嗤いながら主砲を向けてくる。咄嗟に回避行動を取ると同時に背後の駆逐イ級たちが砲撃を行う。
ドーン!!バシャンッ ズガン!! 海面に叩きつけられた衝撃でバランスを崩してしまう。さらに追撃の魚雷が迫ってくる。
「くそっ!」
必死に足を動かして転ばないようにしながら回避を試みるが、足の一本に被弾してしまい爆発が起きる。
「メカゴジラ!大丈夫!?しっかり!」
那珂と川内が心配して駆け寄ってくるがル級が邪魔をして助けに来れないようだ。状況は悪い。しかし、それに反して私の心は平静に近かった。初めて接敵した深海棲艦だがこんなもの……、あのゴジラに比べれば……
「こんなものどうってことは無い」
私は目の前の敵艦に狙いを定めレーザーキャノンによる砲撃を行う。エネルギーを節約するために低出力で発射した光線はル級の頭を正確に捉えた。だが……
「装甲が厚いな」
ル級の顔が焦げこそしたが致命傷に至っておらず平然と攻撃を仕掛けてきた。このままではいずれやられる。ならば!と私は覚悟を決めて接近戦を挑むことにした。
「はあああっ!」
脚部のホバリング機構を起動させると勢いよく飛び上がりル級に蹴りかかる。
ドカンッ!! 甲高い金属音が鳴り響くと共に衝撃波が走る。流石のル級もたたらを踏んでいるがそれでもなお私に向けて主砲を向けた。だが私は止まらない。
そのまま突進するように接近しゼロ距離で主砲であるメガ・バスターを放つ。轟音が響き渡ると共にル級の身体に大きな穴が開く。ル級は苦悶の声を上げて海面に倒れ伏す。
「嘘でしょ……」
「単独であの巨体を吹っ飛ばすなんて……」
「那珂ちゃんビックリ♪」
3人が呆然とする中私は次の標的を狙う。駆逐イ級二隻は形勢不利と判断したのか撤退しようとしていたが、私はレーザーキャノンを強めの出力で駆逐イ級達に向けて発射した。深海棲艦の中でも装甲が最弱レベルで薄いイ級は当然耐えられずに沈んでいった。
「うわああああん怖かったよお~」
那珂ちゃんが泣きながら抱きついてくる。
「おいおい泣かないでよ。君強いなぁ……」
川内も少し驚いた様子だ。そして神通が口を開いた。
「凄かったです。あの大きさの敵を撃破できるなんて……」
「ああいう敵を倒すのが我々艦娘の役割なんだろう?だったらそれくらい出来ないと困るさ」
私は淡々と答える。だが内心では安堵の息を吐いていた。もし攻撃があと一歩遅ければ死んでいたかもしれないと思うと背筋が凍る思いだった。
「取り敢えず提督に報告しないとな。さっさと鎮守府に帰ろう」
そう言って私達は港へと引き返すことにした。帰り道は静寂に包まれていた。先ほどの戦いで疲れたのだろうか皆無言である。しばらくして鎮守府に到着すると既に日は昇りかけていたので急いで入渠することにした。
「いやぁ疲れたねぇ♪」
那珂ちゃんは伸びをしながら言う。私自身は特に怪我はしていないが念のため修理のために入渠した。そしてその日の午後には提督と秘書官の大淀の呼び出しを受けた。どうやら昨晩の件について詳しく聞きたいらしい。
「メカゴジラ。君が遭遇したあの駆逐艦と戦艦は間違いなく深海棲艦だ」
「はい。あの黒白の異形の船達が、我々の敵なのですね?」
「うむ。それで君は頭部の装備から光線を発射して深海棲艦を撃破したらしいが、そのエネルギーの詳細は分かっているか?」
「私も詳しくは知りません。が、私の前いた世界では私はその時代から更に200年以上先の未来の技術で作られたそうです」
「そうか。それも気になるところだが、なぜそれを俺達に話さなかったんだ?」
「そうですね、私は最初に装備を調べられた時にはもうご存知かと思ったのですが」
「あの時は気が動転していて聞き忘れていたよ。すまない」
「謝られることは有りません」
「兎に角君達が無事でよかった。そういえば、君の装備の補給はうちの鎮守府でちゃんと出来るのか?」
「先ほど資源を補給させてもらったのですが、私の燃費が戦艦や空母並に悪いようですが補給自体はできるようです」
「そうか。なら良かった。後は那珂達から詳しい話を聞くとして、取り敢えず今日はゆっくり休んでくれ」
「分かりました」
「それと大淀。今回の深海棲艦の出現については何か原因はあるのか?」
「いいえ。今回の深海棲艦の出現の理由に関しては全くわかりません。ですが最近妙に深海棲艦が活発になってきています。おそらく近いうちに何か起こりますね」
「そうか。ならばその時が来たら対策を考えよう」
そう言ってこの日の話は終わりだった。翌日からは訓練メニューを変えたようで私はひたすら演習を繰り返すことになったのだった。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。