(更新停止)【魔王学院17章×まどマギ】ネクロン姉妹は見滝原に転生して魔法少女になるようです 作:生徒会副長
マミは首を傾げてほむらに聞いた。
「暁美さん……。いま私を“巴さん”って……? それに、あなたにケーキをご馳走した覚えはないんだけど……」
「ほむら は嘘を言っていない」
確信を持ったような眼で、ともりはそう断言した。
そんなともり に目を向けながら、ほむらは言う。
「隠してきたこともその疑問に対する答えも、全て話すわ。本当は幾らか隠すか、ぼかすつもりだったのだけれど……。杏子とマミが外に行ってる間に、玄音ともり に全部バラされそうになったのよ。だからもう、諦めて全部話すわ」
その ともりが眼をぱちぱちさせてから淡々と言った。
「『視る』のは得意。ウソをついてたらすぐ分かる」
「ともり に隠し事をしようってたって無駄よ。さながらウソ発見器なんだから」
ゆうこ は自分のことのように、妹を自慢する。
一同は ほむら がどれほど重い話をするのかと身構える中、その ほむら が口を開いた。
「魔法少女が魔女化することに比べたら、大した話ではないわ。プライベートなことだし、思い出したくないようなこともあったから躊躇っただけ。私はただ……たった一人の、大切な友達を、助けたかっただけよ」
ほむら は、その友達の、ピンクの髪をした少女の顔を見つめていった。
「まどか。私はあなたを、キュゥべえとワルプルギスの夜から助けたくて……未来から来たの」
「あ、あたし……?」
そこから ほむらは話し始めた。同じ秋の1カ月間を何度も繰り返して──ループし続けている話を。
1周目の世界で まどか と出会い、まどかを看取り、まどか を守る自分になる為に契約し。
2周目の世界で まどか が魔女になる瞬間を目撃し。
3周目の世界で まどか と約束を交わした上でまどか を殺し。
マミと手を取り合い、さやかを慰め、杏子と共闘して……。
マミを銃殺して、さやかを爆殺して、杏子を焼殺して……。
砂の城を創っては悲劇の波に流され。
絵を描いては絶望の黒に塗り潰され。
賽の河原で石の塔を創ってはまどかに崩され。
迷路を彷徨ってはインキュベーターに出口を塞がれ……。
「そうやって……私はここまで来た」
壮絶なほむらの旅路を知り、皆がみな、目を潤ませていた。まず ともり と杏子、そしてマミが頭を下げた。
「ごめんなさい。無闇に詮索すべきではなかった……」
「あたしも……悪かった。全部吐けとか言っちまって……」
「私も……悪いことをしたわ。暁美さんに冷たく接したり、鹿目さんを勧誘したり……」
平静を装うかのように、冷めたコーヒーを飲みながら ほむら は言う。
「言った上で信じて貰えないなら言うだけ損なのだけれど……。信じてくれたならいいわ」
「ほむらちゃん……あたし なんかのために……」
か細い声で、まどかはそう呟いた。それに対しほむら は乾いた笑みを浮かべて言う。
「別にまどかは気にしなくていい。分かって欲しいとは思わない。『まどかを救いたい』というのが、私の最初の気持ち。今となっては、たった一つだけ、最後に残った道しるべ。どうか私に、あなたを守らせてほしい。それ以外には、何も要らないから……」
「要らない訳ないでしょ……」
涙ながらにそう口を挟んだのは、ゆうこ だった。
「ほむら。アンタのこと、誤解してたわ……。たった1人の友達を救う為に何度もやり直してきたあなたと、たった1人の妹を救う為に契約した私で、何がそんなに違うの……? 私は ともり と幸せに過ごしてるわ。あなただって……報われなきゃおかしいでしょ……?」
しかしほむらは静かに首を振る。
「私が報われるとしたら、まどかを魔法少女にせずに、ワルプルギスの夜を倒したとき。それ以上は、何も要らないわ。どうせ私は まどか と違う世界と時間を生きてきて……摂理の枠から外れてしまった。ワルプルギスの夜と相討ちになるなら、本望ね」
「まどか と……次の冬や春を迎えられなくても、いいっていうの……?」
そう ゆうこ に聞かれ、ほむら は一瞬眉を動かしたが、すぐ落ち着いた声で答えた。
「……えぇ。叶わない願いの方が多い、希望より絶望の方が強い世界で、願ったって祈ったって、きりが無いでしょう?」
「ほむらちゃん……。そんなの……あんまりだよ……」
まどか は 小刻みに震える。他の少女達も悔しげな表情を浮かべた。そんな中、ほむらは「でも……」と話を切り出した。
「……私の旅路には、奇跡が起きたわ。ゆうこ と ともり。貴女達よ」
そう言われた双子の姉妹は、目を丸くした。構わず ほむら は話す。
「今まで繰り返したループの中で、あなた達2人には会ったことがなかった。美樹さやかのことは救えなかったけれど、今日までマミが生存し、まどかが未契約で済んだのは、あなた達のお陰。何も返せるものが無いけれど、どうか……。あなた達、そしてここにいる皆の、力を借りたい」
ゆうこを含め、皆が頷く。──杏子を除いて。
「あたしはタダ働きなんてごめんだね。ほむら お前、前金だけ払って参戦報酬や討伐報酬は踏み倒す気か?」
「……それについては、杏子が損をしない方法を、一応考えてあるわ」
「いいや。それだけじゃ足りないね」
ニヤリと口角を上げて杏子は言った。
「祝勝会にかかる費用もろもろ、お前が奢れよな、ほむら」
「……善処は、するわ」
杏子の粋な言い回しに、各々は笑みを浮かべた。
──そこから少女達は、とても有意義な夜を過ごした。
祝勝会のこと。ワルプルギスの夜と戦う上での作戦。各々の役割や能力の確認──。
それらが終わると、朗らかな雰囲気の中、1回目のワルプルギスの夜討伐作戦会議は解散となった。
ただ──。
玄音ともりは、帰り道の星空を見つめながら、悲しげな眼をしていた。
(ワルプルギスの夜も魔女である以上、元々は魔法少女のはず。インキュベーターが危惧する宇宙の熱的死だって、解決できるならした方がいいはず……)
彼女は一つの疑問を抱く。
(ワルプルギスの夜という『悪』を倒して、インキュベーターという『悪』の企みを阻止するのが、本当の平和……? 優しい世界……?)
彼女が星空の深淵をどれだけ覗いても、答えは見つからなかった──。
──※──
翌日の夕方。まどか の家に、ともり が訪れていた。
てっきり ほむら の家で 作戦会議をまたするのだと思ってた まどか は、「二人で話がしたい」という ともり の提案に驚いていた。しかし断る理由もないし、まどか は作戦会議で有意義な意見など出せていないので、ともり の提案を受け入れた。
まどか の部屋を見渡して、ともり は呟く。
「可愛くて素敵な部屋」
「そうかなぁ……? 子どもっぽくないですか?」
「夢があっていいと思う」
ピンクを基調とした壁紙やベッドで彩られ、ぬいぐるみがたくさんある部屋である。
部屋の真ん中にある机に座って、ともり は話を切り出した。
「実は3人目の役者がいる」
まどか は 首を傾げた。ともり の姉である ゆうこ かと思ったが、彼女は魔女狩りと作戦会議に向かっているはずであった。
「それって……誰ですか?」
まどかの問いに答えたのは、窓から姿を見せた白い生物──。
「僕だよ」
「ヒッ……」
キュゥべえ。宇宙生物インキュベーター。さやか や ほむら、ゆうこ に苦渋と絶望を与えた張本人──というのが、まどか の理解だ。
キュゥべえは一切悪びれず、ともり に話しかけた。
「やぁ ともり。僕と契約してくれる気になったのかな?」
「……聞きたいことがある」
ともり は淡々と、インキュベーターに訊ねた。
「私達とインキュベーターは……和睦できない?」
「……。……えッ!!?」
まどか が 驚く声が、夕陽が差す部屋に響いた。
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あの吐き気を催す邪悪だの淫獣だの言われてるQBと和睦!?
まるで意味がわからんぞ!
こんなの、絶対おかしいよ