ホラゲーにハッピーエンドを作った男の末路   作:POTROT

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独白、或いはプロローグ

 ホラーゲームには大抵、ハッピーエンドがない。

 だからといって全部が全部バッドエンドってわけでもないが、百歩譲ったとしてもハッピーエンドとは言い難いって終わり方が多い印象を抱く。

 

 その事について、俺は何故だろうかと、常々疑問に思っていた。

 だって、ハッピーエンドの方が幸せだろう。

 ゲームをプレイしていたユーザー側からしても、頑張ったと思える。

 だからそっちの方が絶対にユーザーに好印象に決まっている。

 だというのに、どうして最後の最後で絶望に突き落としてしまうのだろう、と。

 そんな事を、少年だった俺は思わずにはいられなかった。

 

 だが、大人になってから視野が広がって、マーケティングという面で考えるということを覚えてからは、何故今までプレイして来たあれらが、あのような終わりだったかを理解出来た。

 

 売れるからだ。

 

 全部終わってめでたしめでたし、で本当に終わらせるよりは、後味の悪い具合に仕上げた方がユーザーの心にも深く残って、自社の次回作への意識も寄せやすい。

 

 そして何処の誰の話かは忘れたが、人間というのは安心を求める生き物だ。

 前作で死ぬほど意味深な終わり方をしたり、絶望のドン底に叩き落とされるような終わり方をすれば、その先に安心できる『救い』を……つまり、ハッピーエンドを求めてしまう。

 だから、あるかどうかもわからない救いを求めて、灯りに群がる蛾みたいに同社の作品にフラフラと飛び付いてしまうわけだ。いやはや、よく考えられている。

 

 それで……まぁ、俺がそうして蛾みたいに救いを求めてプレイしていたシリーズもののホラー作品があってな。『(ケガ)()』っていうヤツ。

 3作品目まで出ているものなのだが、これがまぁ救いが無い。

 いわゆる鬱ゲーと呼ばれる類のものだ。

 

 可愛らしいタッチの作風に興味を持った人間を、絶望マシマシの激重ストーリーで潰してゆくのである。

 

 一作目はまず、主人公の家庭がぐちゃぐちゃになった上、主人公の記憶が持ってかれる。その後の描写は全く無し。だが察しはつく。

 二作目は幸せな環境かと思えば、全部ラスボスの見せてた幻影。クリアしたところで、今作の主人公には何にも残ってないし、倒したラスボスだっていつか復活するから、主人公がやったのはただの徒労というおまけ付き。

 そんで三作目、こっちの主人公はまぁ、ちゃんと普通の家庭で生まれ育ったらしいが、最終的に人柱になってカミサマに成ることを強要される。勿論、人界とは離れ離れ。永久の時をカミサマとして、生者とも死者とも言えない、存在すら曖昧な状態で過ごし続けるのさ。

 

 そんで……何が可哀想って、この3人の主人公、全員小学校低学年から中学年の少女って事と、事件は全部主人公は悪くなくて、主人公の周囲っていうか、過去の人間というか、まぁ、そういう人たちのせいって事だ。

 とばっちりで様々な因果で生まれた全部の皺寄せを一身に引き受ける事になる。

 幾ら何でも、可哀想にも程があるというものだろう。

 

 それで……だからまぁ、なんだ。

 

(ケガ)()』を知っていた俺が、『(ケガ)()』に救いを、ハッピーエンドを求めていた俺が何の因果かその世界に転生して。

 そして、特別な力を持っていた。

 だから、俺はハッピーエンドを求めてしまって……それでまぁ、こうなってしまったわけだ。

 

 見ての通りだよ。

 もうがんじがらめだ。

 逃げられない。

 

 さて、それでは今から語るのは俺の話。

 ホラゲーにハッピーエンドを作った男の末路の話だ。

 

 ……ああ、最初に断っておくが、この話はハッピーエンドだ。

 彼女達は間違いなく今幸せだし、俺もまぁ、正直こんな状況になってるが不自由はしてないし、何なら幸せって言える。

 それ以外の人間も、幸せ……かはわからないが、少なくとも不幸せじゃない。

 いつも通りとも言い換える事ができるな。

 

 だから、安心して聞いてくれるといい。

 では、まず話すのは1人目、つまり1作目の主人公にあたる、『かな』と俺の出会いからだ──

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