サラリーマンは死にたくない   作:上条@そぉい!

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幻の4話目……ってボジョレーヌーボのキャッチフレーズみたくなってきた


備忘録その2

「お待たせしましたー」

 

 元気がいいんだが愛想がイマイチ。雑なところを感じさせながらもそれを嫌味に感じさせない、いい意味での雑さを感じる。そんな店に私は来ている。最近は色々と仕事ばかりで気が滅入ることが増えた。そんな自分を慰める為、旅行気分で郊外にまで足を運んだ。元々新エリー都の経営陣は郊外を視野に入れていない。今の技術と人では郊外までカバー出来ないから最初から放棄している、という訳だ。その建前も少し怪しいが。

 その為郊外に発生している共生ホロウの数は多く、いまだに増加していると聞く。ジリジリと人間の生活圏が脅かされていく郊外は、そのまま新エリー都の未来を暗示しているようにも見える。

 

 しかしまあ、人間というのはタフなもので、今も郊外に身を置いて生活する者は多い。スネに傷を持つ者や、生まれ育った地を離れられない者。多種多様だ。私もこうして噂を聞き訪れた、今日はインターノットにて評価をあげている『チートピア』という店に来た。目の前にあるチーズが溢れ皿に垂れたでかいハンバーガーなどジャンク感のあるメニューが特徴的だ。

 

「うん、うん」

 

 頷きながら咀嚼する。こういうのでいいんだ、こういうので。私がいた世界と違い、毎日が一瞬のこの世界では健康志向が叫ばれる事はなく、むしろ刹那を楽しむという傾向が強い。なのでこうしたカロリー爆弾のような料理が人気になる。口の中で溶けたチーズとトマトやレタスのフレッシュな食感、肉の肉肉しいこれでもかと主張してくる肉汁。うん、ハンバーガーだ。いかにもって感じのハンバーガー。普段の食事がもっぱら格安で原材料が怪しいゼリー飲料とかだから、こんな固形の食事が染みるほどに美味い。一口一口、頷きながら食べていく私の机に、横からコトリ、と何かが置かれた。

 

「サービスのニトロフューエルだよぉー!私の奢り!」

 

 炭酸が欲しいなぁと思っていた私の前に差し出されるサービスドリンクを一口。えも言えぬ刺激的な味が口の中に広がり、喉を通る時にはカッと熱くなる感覚。うん、これは━━

 

「これ酒━━」

 

 言い終わる前に机に顔を突っ伏しそのまま視界がブラックアウト。死ぬほど酒に弱いのだ私は。

 そうして、私が次に意識が目覚めた時、既に店に人は居らず、顔をあげた私の手元には可愛らしい文字の書き置きが。

 

━━そのまま寝ちゃったからそっとしといたよ!会計も済んでるし起きたら適当に帰っていいよー!

 

随分と雑と言うか、適当と言うべきか。言いたいことはあったが、酔い潰れていた私は現状を把握した。ヨロヨロと席を立ち出口のアンティーク調の木製扉を開ける。気分?言わせないでほしい。至急トイレに行きたい。なんならこの際袋でもいい。私の体の中で今にも出てきそうな暴れ具合の胃をどうにか収めなくては。

 そうして目に飛び込んできた光景は、幾人もの人が、どう見ても治安維持側の人間たちに囲まれている光景だった。

 

「……失礼しました」

 

 触らぬ神になんとやら。明らかなトラブルを前に首を突っ込もうとする馬鹿はいない。『あっ、いないものと考えてもらって良いっすよ』という意思表示の顔でそのまま横を通り過ぎようとする。そんな私の足元に劈くような銃声と共に着弾する弾丸。

 

「うわぁっ!?」

 

 その場で蹈鞴を踏み後ろへ仰反る私を、誰かが襟首を掴み引っ張る。そのままあれよこれよと流れで何故か車に乗せられていくのであった。

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