7騎で1騎のサーヴァント   作:悪平等な人外

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暗殺者の英雄譚

目が覚めた瞬間、平原にいた。

 

僕は周囲を見回した。

 

すると突然、尋常ではないほどの激しい痛みが頭を襲った。

 

「ぐっ…!」

 

頭に走った衝撃に、全身が一瞬硬直する。

 

叫びそうになった喉を、ぎりぎりの理性で封じ込めた。

 

息を吸うことすら忘れ、ただ痛みに耐える。

 

痛みの波が引いた瞬間、僕の意識の奥底に、まるで洪水のように記憶が流れ込んできた。

 

赤ん坊の頃、自分を捨てた見知らぬ人の顔。森での孤独な生活。平原での狩りの記憶。

 

過去の人生の断片が、鮮明に蘇る。

 

つー……いたた……そうだ。すっかり忘れてたよ。転生直後には、毎回この頭痛が来るんだった。

 

そういえば、前回もこうやって悶絶してたっけ。学ばないなぁ、僕。

 

まぁ、でも、今回は悲鳴を上げなかったし、前回よりは成長してるかな?

 

まずは状況を把握しよう。記憶の整理からだ。

 

……えーと、今回も特に人との関わりはないのか。

 

まぁ、特別に関わりのある人間はいらないけどさ。少しくらい関わりがあってもよくない?

 

今回も、人生で出会った人が僕を捨てた両親だけかぁ。

 

そして、今回は平原かぁ。まあ、生活の中心は森みたいだけど。

 

でも今回は、森の中だけでなく、平原や周囲の地形も結構覚えてるみたいだね。

 

あれ、そういえば、今思ったけど。赤子の頃からばっちり記憶があるって、可笑しくない?

 

前々回の僕なんて、保育園ぐらいの記憶でさえ曖昧だったのに……。

 

もしかして、僕、完全記憶持ってる?前回に学んだ学問とか全部覚えてるし……。

 

前回も、この体スゲー!ってしか考えてなかったし、記憶について意識したことなかったかも……。

 

それはさておき、記憶の整理を続けよう。

 

……どうやら、平原で狩りをしていた時、何度か行商人のような人物が通りかかったらしい。

 

彼らが来た方角、そして去っていった方角には、都市や村がある可能性が高い。

 

そのために、そこへ向かう準備を整えないとね。

 

ああ、そうだ。今世の名前を決めておかないと。

 

……いや、まてよ?まだ、ここがどこなのか、何の時代なのかも知らないし、つけるのは後にするか。

 

英雄化した後にその物語に関連ある名前にしないとおかしいしね。

 

名前は無理だから、せっかくだし、キャラづくりをしてみようかな?

 

前回は素のままだったし、 今回は無口系キャラでいこう。一人称は私にしようかな。

 

よし、キャラも決まった。さっそく準備に取りかかろう。

 

ーー数日後。

 

よし、だいたい一月分の食料と装備は整った。

 

それにしても、こうやって食料を集めてると記憶の有難さを実感するなぁ。

 

記憶が無かったら、何が食べれるのか、全く分からなそうだしね。

 

まぁ、それはおいといて、そろそろ、出発しようかな。

 

 

ーー十数日後。

 

あれから十数日経った。

 

行商人らしき人物が向かっていた方向に、走り続けると、やがて遠くに都市の姿が見えてきた。

 

城壁に囲まれ、インドっぽい巨大な建造物がそびえ立っている。

 

今度は、インド神話かな?でも、時系列が分からないや。

 

ラーマーヤナか、マハーバーラタのどっちかだと思うけど。

 

とりあえず、都市に入ろうかな。

 

その前に、門に入る人々の様子を見よう。入場に必要なものがあるかもしれないし。

 

とりあえず千里眼!、前回ではとてもお世話になっていました。今回もよろしくお願いします。

 

……あれ?……おかしいな。

 

千里眼は使えないし、なんか、変な線や点が見える。

 

もしかして……直死の魔眼?

 

いや、気のせいかもしれない。

 

確かに、前回は死を強く実感したけど。

 

……ちょっと、近くの木の線を、なぞってみようかな?

 

近くの木の線をなぞってみると、線をなぞった木は切断された。

 

うわ、マジもんだ。これ。

 

ってことは、今回の適性は、は剣か槍か暗殺者かな?

 

魔術師とか狂戦士って感じはしないし。

 

とりあえず、直死の魔眼は、後で検証するとして、千里眼も使えないし、肉眼で見える距離に近づこう。

 

ーー数十分後

 

よしよし、やっと着いた。

 

どれどれ……ふーん、特に入場料とかはないし、制限はなさそうだね。

 

知りたいことも知れたし、都市に入ろうかな。

 

ーー数日後。

 

都市に入ってから、数日が経った。

 

どうやらこの都市の名前は「ハスティナープラ」というらしい。

 

身分制度が存在しており、上から順にバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラと分かれているみたいだ。

 

……やっぱ、インドか。今さら気づいたけど、出自不明だから、このままじゃ、不可触民になっちゃうくね?

 

それは避けたい。

 

正直、身分が無くても構わないけど、しばらくは、だらけたいし、どっかの家庭に養ってもらおうかな?

 

それをするなら、どこかの家庭にうまく取り入らないと。

 

とはいえ、どうすればいいんだろう?

 

とりあえず、人のよさそうな家庭を探してみるか。

 

前の人生では、ギルの代理として人と接する機会が多かったこともあり、大抵の人物像は、顔を見ただけである程度判断できるようになった。

 

今が、それを生かす時だ。

 

っと、その前に名前を決めとかないとね。

 

入るときは偽名を使ったけど。決めといたほうがいいしね。

 

……うん、決めた。今世の名前は「シャシタマス」にしよう。

 

月と闇の融合を意味するその名は、すべてを飲み込む漆黒の髪と、月のように光輝く瞳を持つ僕にふさわしい。

 

それじゃぁ、探すか。

 

ーー数日後。

 

あれから数日経った。

 

良さげな人物を探していた僕は、丁度いい家庭を発見し、その人の家族となることになった。

 

引き取ってくれる家庭は3人家族で、義父となるアディラタ、義母となるラーダー。

 

そして、義兄のカルナである。そう、施しの英雄カルナ、その人である。

 

なんで、わかるのかって?だって、なんか黄金の鎧と耳輪をしてるんだよ?

 

さりげなく、家の中なのに脱がないの?って聞いてみたら。

 

「この鎧と耳輪は、我が肉体と一体化したもの。

 生まれながらにして授かったそれは、もはやオレの意志では外すことなど叶わぬ。」

 

ってさ。口調もまんまだし。カルナだって普通にわかったよ。

 

それにしても、これからどうしよっかなー。

 

マハーバーラタなんてあんまり知らないし。

 

前々世ではカルナが好きで、少しだけ読んだけど。

 

正直、マハーバーラタが長すぎて読む気失せたんだよなぁ。

 

カルナの話しか見てないし。

 

確か、ある程度成長したら、身分を偽って弟子入りするんだっけ?

 

それで呪いを受けるって話だったはず。

 

とりあえず、それまでのんびりしておこうかな。

 

ーー九年後

 

あれから九年経った。

 

僕は、義父夫婦とカルナと仲を深めた。

 

年齢が近いこともあり、僕たちは同年代らしい距離感で接している。

 

一緒に遊んだり、修行したり、冒険に出かけたりと、いろんなことをした。

 

最初は、僕の方から声をかけていたが、最近ではカルナから声をかけてくることも多い。

 

そして、僕の適性が分かった。どうやら暗殺者らしい。

 

ある日、カルナを誘ってかくれんぼをしていたら、目の前にいるのに、カルナが気づかないことがあったんだ。

 

驚いて、気を抜いたら、カルナにばれたんだ。前回では、こんなことできなかった。

 

それで、適性が暗殺者だとわかった。

 

そして、前回の記憶もあるし、弓も使えるだろ、と、弓を使ったらうまく扱えなかった。

 

記憶としてはどう動けばいいかわかるのに、体が追い付かなかった。

 

どうやら才能の引継ぎはできないみたいだ。

 

こんなことなら、才能の引継ぎも、記入しておけばよかったかなぁ。

 

それはともかく、直死の魔眼を検証したよ。

 

どうやら原作の直死の魔眼と、相違ないみたいだった。

 

できることや、できないことは、大体同じ感じかな。

 

まぁ、でも、原作と違って特に、死を見て感じることはないな。

 

精神を病んだりしたら嫌だし、ラッキーだな。

 

そんな日々を過ごしていた。

 

ある日、だらけていると、カルナが真剣な顔をして話しかけてきた。

 

「師ドローナの教えを受ける、共に来るか?。」

 

どうやら弟子入りをしに行くようだ。

 

これまで、カルナとともに過ごしてきたからか、大体の言葉の意味は分かるようになった。

 

まぁ、それでも間違えることはあるんだけどね。

 

とりあえず……一緒に行ってみるか。そう考えて、僕は返事をした。

 

「ん……わかった。」

 

ー数時間後。

 

ドローナのもとに赴き、弟子入りを願い出た僕たちは、幸運にもその申し出を受け入れられた。

 

こうして、僕とカルナはドローナの弟子として修行に励むこととなった。

 

ーー十数年後。

 

厳しい修練の日々を経て、僕とカルナはそれぞれの技を磨き、腕を上げていた。

 

僕は気配遮断の精度も上がり、今では、戦っている最中に気配を消すこともできるようになった。

 

そして、月と闇の魔力を使うことができるようになった。

 

ある日、ドローナに闇と月の神の気配がする、と言われた。

 

同じように神の力を持っている、カルナに聞いたりして、修行したら使えるようになった。

 

月の力は星の魔力と似ていて、闇の力は魔力を吸収したり、操ったりできるようだ。

 

まだまだ、発展途上の力なので、これから鍛えていきたい。

 

よくする模擬戦でも、カルナと互角に戦えるようになった。

 

修行には、この国の王子たち、カウラヴァ百王子とパーンダヴァ五兄弟も加わっていた。

 

カルナは、ドゥリーヨダナと親しく言葉を交わし、アルジュナやビーマとは頻繁に競い合っていた。

 

今も、カルナがアルジュナに挑みに行ってるみたいだ。

 

「アルジュナ。オレの弓と、お前の弓、どちらが上なのかを、今、決めよう。」

 

カルナの瞳は鋭く、まっすぐにアルジュナを射抜いている。

 

「いいだろう、カルナ!私とお前、どちらが上か、勝負だ!」

 

アルジュナは一歩前に出た。

 

二人の間に、張り詰めた緊張が走る。

 

カルナの弓が唸りを上げ、鋭い矢が空を裂いて放たれる。

 

それに応じるように、アルジュナの矢も閃光のごとく飛び出し、空中で激しく衝突した。

 

火花が散り、衝撃が地面を揺らす。

 

矢は次々と放たれ、まるで互いの意志が比例するかのように数を増していく。

 

戦いは次第に熱を帯び、空気さえも震えるようだった。

 

矢と矢が交差するたび、雷鳴のような轟音が戦場に響き渡る。

 

カルナの瞳には燃え盛る炎が宿り、アルジュナの瞳にも同じ炎が灯っていた。

 

それは、ただの模擬戦ではない。魂と魂がぶつかり合う、宿命の激突だった。

 

やがて、戦いがさらにヒートアップし、収拾がつかなくなってきたので、周りの兄弟弟子と共に必死で止めた。

 

一方の僕は、無口な性格を貫いていたため、周囲とはあまり関わらず、黙々と鍛錬に励んでいた。

 

元々、人と話すのも、一人でいるのも、どちらも好きだったから、孤独はそれほど苦ではなかった。

 

だけど、なぜかアルジュナが、ことあるごとに僕に絡んでくる。

 

一度だけ、前世の技術を駆使して弓の試合で勝ったことがある。

 

それ以来、彼は何かにつけて突っかかってくるようになった。

 

さっきカルナと激戦を繰り広げたばかりだというのに、アルジュナは疲れた様子も見せず、僕のほうへと歩いてくる。

 

「シャシタマス!私と戦え!もう、逃げることは許さんぞ!」

 

怒気を孕んだ声が空気を震わせる。彼の瞳は炎のように燃え、手には弓が握られていた。

 

「……わかった。」

 

そう言って、僕は短剣を構えた。

 

それを見てアルジュナは叫んだ。

 

「貴様!どういうことだ!私程度には、弓を使うまでもない、とでも言うのか!」

 

その瞳は屈辱にまみれていた。

 

……だから戦いたくなかったんだよ。

 

試合をしたのは数年前だし、あの時勝てたのは前世の技術のおかげだ。

 

今世では弓の才能がなく、腕前もアルジュナと試合をした日からまったく成長していない。

 

実際戦っても手を抜いていると思われるだろう。

 

僕の沈黙を肯定と捉えたのか、彼は怒りの表情で弓を構えた。

 

「私をここまで虚仮にするとは……いいでしょう……ならば、弓を使わせるまで!」

 

そう言ってアルジュナはこちらに弓を射ってきた。

 

矢は空を裂き、鋭い風音を残して一直線に飛来する。

 

反射的に身を翻し、地を蹴って回避した。

 

アルジュナの本気を悟る。これは試しではない、本気なのだと。

 

次の矢が放たれる前に、僕は気配遮断を発動した。

 

呼吸を潜め、存在を霧のように薄める。

 

空気が静まり、アルジュナの視線が僕を見失った。

 

その隙を逃さず、僕は地を蹴った。

 

彼の眼差しは冷たく、迷いはない。だが、僕の気配はもう、アルジュナの感覚から外れている。

 

アルジュナの弓が再び引かれる。だが、狙いは定まらない。

 

僕は背後へと回り込み、気配を断ったまま間合いを詰める。

 

そして、彼の首筋に剣を当てて、言った。

 

「……終わり。」

 

アルジュナは跪いて、項垂れた。

 

その様子を見て、アルジュナから離れようとしたら、背後からアルジュナの声が聞こえた。

 

「次は……次こそは、弓を使わせるぞ。シャシタマス!」

 

それを背に、僕は片手をあげて、この場を後にした。

 

そんなこんなで、色んなことがありながら、修行をして、武芸を窮めた僕とカルナは、ドローナに武芸の奥義……ブラフマーストラを習いに行った。

 

しかし、バラモンにしか教えれない、と言われ、断られた。

 

カルナは習得を諦めていないようだった。

 

そういえば、確か、別の師のもとに行って、バラモンと偽って弟子入りしたんだったけ?

 

それで、バレて呪いを受けたはず。

 

そう考えていると、カルナが何処か決心した顔をして、口を開いた。

 

「師パラシュラーマの教えを請おう。」

 

……うーん。どうしよっか。

 

ブラフマーストラは使いたいけど、呪いがなぁ。

 

いや、逆に考えるんだ、呪いが合ったほうが英雄ぽいって。

 

それに、英霊化したときカルナは呪いを持っていなさそうだったし。

 

そう考えると、いってもいいかなって、思えてきた。

 

……よし、行くか!

 

ーー数日後。

 

パラシュラーマが住んでいるという山に就いた。

 

パラシュラーマに出会ってすぐに、カルナが奥義を習いたいと言ったら、身分について何も聞かれず、弟子になれた。

 

あれ?もしかして、これが原因?史実ならともかく、型月のカルナが嘘を言うようには思えないし、……抑止力かな?

 

まぁ、深く考えるのはやめとこう。

 

弟子入りできた今は、ブラフマーストラを、習得できることだけを考えよう。

 

ーー数か月後。

 

僕たちは無事にブラフマーストラを習得した。

 

僕は修練を重ね、月の力、闇の力を纏わせて放つ技を身につけた。

 

これまでの修行の様子と、その成果を見たパラシュラーマは僕たちを絶賛し、カルナには神弓ヴィジャを、僕には月の短刀(インドゥアシ)と、闇の短刀(タマスカドガ)を授けてくれた。

 

どちらも神々の祝福を受けた至宝であり、僕たちの力をさらに高めるものだった。

 

しかしその後、カルナがパラシュラーマを膝枕していた時、虫に噛まれて出血しても痛みに耐えていたのを見て、

 

「痛みに耐えられるお前はバラモンではないな?」

 

とか、意味の分からないことを言ってきた。

 

いや、別にバラモンも痛みに耐えられるでしょ?って思ってたら、

 

「お前が最も必要とする時、ブラフマーストラの知識はその手から消え去るだろう」

 

とか言って、僕たちに呪いをかけてきた。

 

そして、僕たちが何か言おうとする前に、さっさと僕たちを追い出した。

 

その後、何度か話をしようとしたが、拒絶され、仕方なくハスティーナプラに帰った。

 

カルナは、かねてより誘いを受けていたドゥリーヨダナに仕えることになった。

 

僕もカルナやドゥリーヨダナに誘われたけれど、前回で散々だったし、しばらくは王族とかかわるのはいいかなぁと思って、断ることにした。

 

帰ってきて、家でだらけているとあることを思い出した。

 

そういえば、そろそろ武芸大会だっけ?

 

出る気はないけど、一応修行しておこうかな?

 

そうして、僕はドローナのもとに向かった。

 

ーー数か月後。

 

「武芸の場があるそうだ、お前は加わる意思はないのか?」

 

あれから、数か月経ち、修行をしていたら。カルナが来て、武芸大会に参加しないか誘ってきた。

 

小さく頷いた。

 

「ん……私も出る。」

 

そう言うと、カルナは頷いて口を開いた。

 

「及ばないと思うが。」

 

そういったカルナは、歩いて行った。

 

いや、わかりずらいな!

 

たぶん、オレ程度ではお前に及ばないと思うが、全力を尽くそう。とでも言ってるんだろう。

 

幼少期から何度も矯正しようと思ったが、これもまた、抑止力なのか全然直らなかった。

 

だから、いまじゃ完全にあきらめている。

 

とりあえず、準備して武芸大会に行くか。

 

ん?待てよ?カルナって飛び入り参加だったはず……

 

それに試合って行われてたっけ?

 

まぁ、今は、それは置いといて武芸大会に行くか。

 

ーー数時間後

 

武芸大会についたころには既にカルナが飛び入り参加していた。

 

「アルジュナ、お前が示した全ての技を凌いで見せよう。」

 

そう言ったカルナが弓で技を披露した。

 

「ならば、私も全霊で応えよう。カルナ!我が弓、防いでみるがいい。」

 

アルジュナは静かに息を整え、弓を引き絞った。

 

戦おうとする二人に審判が

 

「王族は己より下位の者と戦ってはならない。」

 

と言い。二人を止めた。

 

「わし様は、我が友カルナをアンガの王とする!むっふふふ、これで決闘できるぞ?」

 

その様子を見ていたドゥリーヨダナが立ち上がりそう言った。

 

それを聞いて戦いだしそうになった二人を見てビーマが言った。

 

「御者の息子風情に、アルジュナに殺される資格なんてないぜ!」

 

それを聞いてドゥリーヨダナが反論した。

 

「カルナの武芸はアルジュナに匹敵する。出自が何だというのか。

 それに、お前のような乱暴者より、わし様のカルナのほうが王にふさわしい、そう思わんか?」

 

そう、ドゥリーヨダナが反論したところで日が沈み、大会は終了した。

 

この大会を機に、カルナとドゥリーヨダナの絆はさらに深まり、ビーマたちとの確執は一層激しさを増した。

 

僕はカルナと共に帰り、不燃焼のカルナと模擬戦をした。

 

普段より激しい戦闘となった。

 

ーー数か月後。

 

僕は相変わらず家でだらけていた。

 

修行は毎日欠かさずちゃんとしている。

 

ドラウパディーの婿選びが行われていると、風のうわさで聞いた。

 

カルナは、確か、ドゥリーヨダナに誘われて行ったんだったっけ?

 

そろそろ、アルジュナ達が追放されるときかなぁ

 

と、考えながら僕は惰眠を貪った。

 

ーー数年後。

 

あれから数年経った。

 

カルナが結婚し、子供もできた。

 

お前は結婚しないのか?と周りの人に良く言われるが、男の自意識も全然消えていないため、あいまいにごまかしておいた。

 

それに、僕の身長は130㎝くらいだ。

 

この容姿が好きだっていう人はロリコンぐらいしかいないんじゃね?

 

まぁ、僕もロリコンなんだけどね!

 

前々世でも、イリヤとかジャック、ナーサリーライムが押しキャラだったしね。

 

一部、師匠とかプロトマーリンとか例外はいたけど。

 

女性以外に恋することはないだろう。

 

そんなことを考えながら、ドローナの元で修業をしていると、カルナが訪ねてきた。

 

「共に賭博に行かないか?」

 

そう言ってカルナは僕を見た。

 

うーん……、どうしようかな?

 

正直面倒くさいし……今回はパスしようかな?

 

「……いかない。」

 

そう言うと、カルナは残念そうな顔をして、

 

「……そうか。」

 

と、言い、帰って行った。

 

ーー数時間後。

 

骰子賭博の結果、アルジュナ達が十三年追放されることとなった。

 

長いな、戦いまで十三年って何すればいいかな?まぁ、今まで通りでいいか。

 

ーー十二年後。

 

家でだらけていたら、突然あることを思い出した。

 

そう言えば、カルナの鎧取られるくね?と。

 

確か、インドラの槍と交換するんだっけ。

 

一応、忠告しとこうかな?

 

抑止力が働くだろうけど。

 

ーー数か月後。

 

案の定、カルナは鎧と槍を交換していた。

 

これでカルナの不死性はなくなってしまった。

 

正直わかっていたから、特に衝撃とかはなかった。

 

だけど、カウラヴァに与する人たちは驚愕し、嘆いていた。

 

ーー数か月後。

 

遂に追放が終わりアルジュナ達が帰ってきた。

 

アルジュナたちはドゥリーヨダナに領地の返還を求めたが、ドゥリーヨダナはこれを拒否し、戦争が避けられない状況となった。

 

ドゥリーヨダナの要請を受け、僕とカルナは戦の準備に取りかかった。

 

ーー数日後。

 

戦争が始まった。だけど、なぜか総指揮官であるビーシュマは、僕とカルナの参戦を禁じた。

 

史実では、カルナ自身がビーシュマが死ぬまでは戦争に参加しない。と宣言し、実際にビーシュマが戦死するまでの10日間は戦場に立たなかった。

 

しかし、型月世界のカルナはそんなことを言わないため、案の定、抑止力が働いた。

 

ていうか、僕もなのね。

 

とりあえず、10日間暇になったから、どうするか考えよう。

 

ーー10日後。

 

ビーシュマが戦死し、ドローナが総指揮官となった。

 

参戦の禁止を解かれた僕とカルナは、戦争に参加した。

 

戦場はすでに血と炎に染まり、ビーシュマの死によって揺らいだ均衡は、ドローナの指揮のもとで再び整えられつつあった。

 

僕とカルナは別行動することになった。

 

気配遮断を発動し、疾風の如く駆け抜けた僕は、敵軍の目前に姿を現す。

 

闇の短刀(タマスカドガ)を構え、魔力を注ぎ込む。

 

刃を漆黒の闇が覆った。

 

そして、静かに呟いた。

 

闇よ、地を覆え(ブラフマーストラ)

 

瞬間、漆黒の刃が解き放たれ、闇の奔流が地を裂き、敵軍を飲み込んだ。

 

逃げる間も、叫ぶ間もなく闇は静かに敵軍を消し去った。

 

後にはただ静寂だけが残った。

 

焼け焦げた地面の上に、僕は一人、闇の短刀(タマスカドガ)を下ろす。

 

……初めて、人を殺したけど……なんとも思わないな。

 

これが、暗殺者の適性ってやつか……

 

今はともかく、敵を殺さないと。

 

そうして僕は敵のところに向かった。

 

ーー3日後。

 

敵軍を殲滅している最中、戦場の一角で激しい衝突が起きているのが目に入った。

 

そこには、炎の如き輝きを纏うカルナと、荒れ狂う暴風を纏ったビーマが対峙していた。

 

「いくぜ!おら!おら!おら!ぶっ飛びやがれ!」

 

最初はビーマが優勢だった。

 

風神の子、此処に在り(マールティ・ヴァーユプトラ)を発動し、風神(ヴァーユ)の風を纏った彼の一撃一撃は地を揺るがし、光の槍が唸りを上げて、カルナを押し込んでいく。

 

その猛攻はまるで嵐のようで、カルナの防御を次第に崩していった。

 

だが、カルナは静かに魔力を高ぶらせると、眼光を鋭く光らせた。

 

「真の英雄は眼で殺す!梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)!」

 

カルナの瞳から梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)が放たれた。

 

ビーマが梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)を受け怯んだ隙に、カルナが猛攻を開始した

 

カルナの動きは流麗でありながら容赦なく、炎と光が交錯する中でビーマは次第に押されていく。

 

そして、ついにカルナの槍がビーマの胸元を捉え、彼を地に伏せさせた。

 

しかしカルナは槍を引き、静かに背を向けた。

 

「クンティーとの誓いだ。お前の命を奪うことはない」

 

その言葉には、クンティーへの誓いが込められていた。

 

ビーマは苦悶の表情を浮かべながらも、カルナの背に何も言わず視線を送った。

 

戦場の喧騒の中、二人の英雄の戦いは静かに幕を閉じた。

 

ーー1日後。

 

あれから快進撃を続けていた僕たちだったが、ドローナの戦死を境に、軍の士気は急激に低下した。

 

十数年の間、ドローナと関わってきた。

 

僕の気分は落ち込んだ。

 

……死ぬってわかってても、結構つらいね。

 

そこまで親しくなかったドローナだけど、 死んだら、死んだで悲しい。

 

だけど、ここは戦場だ。

 

気持ちは、切り替えないと。

 

今は、次の戦いに備えよう。

 

ーー2日後。

 

戦争が終盤に近付き、カルナとアルジュナが対峙していた。

 

僕は二人の間に割って入り、アルジュナに戦いを仕掛けた。

 

気配遮断を使って、アルジュナの懐へと飛び込む。

 

刃を振り上げ、アルジュナに向かって一撃を放とうとした。

 

しかし、矢が飛んできたため、咄嗟に後ろへと飛び退いた。

 

空気を裂いて飛来したその矢は、寸分の狂いもなく僕を狙っていた。

 

どうやら、あの時のようにはいかないらしい。

 

アルジュナの出方を伺っていると、彼がこちらに弓を構え、魔力が次第に高まっていくのを感じた……

 

っ!宝具か!

 

僕も月の短刀(インドゥアシ)を構えて、宝具を展開していく。

 

「これぞ炎神(アグニ)の咆哮……炎神の咆哮(アグニ・ガーンディーヴァ)!」

 

アルジュナの弓から、灼熱の炎を纏った矢が放たれる。空を裂き、地を焦がすその一撃は、炎神(アグニ)の炎そのもの。

 

月よ、地を照らせ(ブラフマーストラ)!」

 

僕も月の短刀(インドゥアシ)を振りぬき、光の刃を放つ。

 

刃は軌跡を描きながら、炎の矢に向かって飛翔する。

 

空中で、炎の矢と光の刃が激突する。

 

炎と光がぶつかり合った瞬間、爆風が辺りを包み込み、砂塵が舞い上がる。

 

視界が遮られたその隙を突いて、僕は気配遮断を最大限に活かし、アルジュナの背後へと回り込んだ。

 

しかし、やはり攻撃を仕掛けようとすると、大量の矢が飛んできた。

 

どうやら、宝具で決めるしかないようだ。

 

月の短刀(インドゥアシ)闇の短刀(タマスカドガ)を構えて、僕は宝具の展開を始めた。

 

対するアルジュナもまた、宝具の展開に入ったようだ。

 

彼の魔力が高まり、空気が震えるのを感じる。

 

「我が双刃、光を纏いて万象を照らし、闇を纏いて万物を呑む……交差せし暗月の刃(ブラフマーストラ・サンガマハ)!」

 

光と闇を宿した双刃を携え、僕は一気に突進する。

 

その瞬間、アルジュナの声が空間を震わせた。

 

「神性領域拡大、空間固定。神罰執行期限設定、全承認。シヴァの怒りを以って、

 汝らの命を此処で絶つ……破壊神の手翳(パーシュパタ)!」

 

アルジュナは手に込めた神性の魔力を解き放ち、猛然とこちらへ突進してきた。

 

刹那、二つの宝具が激突した。

 

神性の奔流がぶつかり合い、空間が軋むような音を立てた。

 

空間が歪む。

 

衝突点から放たれる衝撃波が周囲の地形を削り、空気を裂いていく。

 

大気が震え、時間すら揺らぐような感覚に襲われる。

 

拮抗は一瞬だった。

 

僕の交差せし暗月の刃(ブラフマーストラ・サンガマハ)が破られ、破壊神の手翳(パーシュパタ)が迫ってくるのが見えた。

 

破壊神の手翳(パーシュパタ)が迫る。

 

その神性の奔流は、抗うことすら許さぬほど圧倒的だった。

 

僕は双刃を交差させ、最後の防御を試みる。

 

だが、刃は砕け、身体は宙を舞った。

 

大地にひれ伏し、意識がもうろうとしていく中で、アルジュナの声を聴いた。

 

「結局……最期まで貴方は弓を使わなかったか。」

 

その声には、悲しみと悔しさが入り混じっていた。

 

一応、これで見せ場は作れたかな?

 

全力で戦って、かっこよく死ねたし、今世に悔いはない。

 

次の人生を始めようかな?

 

いや、でも待てよ?

 

このままだと、英霊になったときにアルジュナが絡んでくるんじゃね?

 

……いや、まだ決まったわけじゃない。

 

とりあえず、考えるのはやめて転生しよう。

 

光に身を任せ、僕の意識は遠くなっていった。

 




次は術かな?

物凄く疲れた。しばらく空くかも。



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