ある日の朝、目が覚めるとなんだか変な気分だった。やけに体が硬い気がする。
それに、ベッドから起きて立ってみると床が遠い気がする。声もなんだか低いみたいだし。
ふと、自分の下半身に違和感を覚えた。普段はないものがある感覚。恐る恐る触ってみるとあってはいけないはずの物がついていた。
思わず悲鳴を上げてしまうが、口から出てくるのは野太い悲鳴。すぐに洗面台に駆け込む。そこに映っていたのは驚いた表情をした髭の生えた男の姿で、私はもう一度野太い悲鳴を上げることになった。
だけど、時間が経ってからよく見てみるとその顔は私の好みに合う顔だった。
ある日の朝、目が覚めると変な気分だった。昨日夜遅くまで飲み屋で先輩の愚痴に付き合わされていたから二日酔いにでもなったか。
なんだかいつもよりも近い気がする床をぼんやりと眺めながら、顔を洗うために洗面所へ向かう。
顔を洗い終わり、会社に出る前に今の自分の顔がひどいものになっていないかチェックしようと鏡を見た。美女がいた。髪はぼさぼさだが、俺の好みにぶっ刺さる美女だ。
で、よくよく自分の体を見ると普段あるとこにあるものがなく、普段はなにもないところになにかがあった。かなりデカかった。最高。
名称:男女変生
発生地:T都I区
危険度:壱番
▼概要
人間に憑りついてその人間の性別を変化させる怪異だな。男なら女に、女なら男に変わるみたいだぜ。それ以外は特に何も起こらないみたいだ。
多分、自分とは違う性別を経験したいって気持ちから生まれたんじゃねえかな。
▼外見
なんかふわふわした空気?みたいなものだったぜ。
決まった形がなくて、そこら辺を風に乗るみたいに飛んでいた。
俺達には姿は見えるが、普通の人間だったり、多少は怪異のことを感知できる人間には見えないだろうな。それくらい存在感がない奴だな。
▼発見経緯
7月12日の昼くらいだったはずだ。たまたま別の任務で町をぶらぶらしてたら、こいつが人に憑りつこうとしていた。
穢れは濃くないから危険な怪異ではないのは分かったんだが、人に被害が出たらいけないからすぐに捕まえてやった。
そしたら、こいつが封印はしないでくださいって言うから話を聞くことにしたぜ。
▼交流記録
空気みたいなやつでどうやって声を出しているのかわからないが、会話は普通にできたな。まあ、怪異なんてそんなもんだ。
で、こいつが言うには、自分には人間の性別を変える力があって、これまでも何人かの性別を変えてきたらしい。
それを聞いてすぐに封印してやろうとしたんだが、その性別を変えたというのも、本人が望んでいたから変えてやったということらしい。それも、その人にとって一番魅力的に感じる姿に。
一応、人に被害が出ているわけだが、こいつが今後は一般人に憑りつかないこと、機関に協力することを条件に封印はしないでおくことにした。
俺は体を変形させて、顔だったり身長だったりは自由に変えることはできるが、性別までは変えられない。
こいつがいればその問題も解決して潜入だったり情報収集もやりやすくなる。
もちろん、他の隊員も性別を変えられるようになって、便利になるだろうぜ。
▼事後処理
こいつから今まで性別を変えた人間のことを聞き出して、烏と後処理をした。
一応、こいつのせいで変わった性別は一日で元に戻るみたいで、性別が変わった一日以外は支障なく過ごせてたみたいだぜ。
まあ、性別が変わっていた日の行動の記憶処理が大変だったんだが。
まあ、被害者も本当の自分とは違う、自分にとって魅力的な姿に変わっていろいろとやって楽しんでたみたいだし、大事にはなってないから大丈夫だろ。
今、こいつは機関の第一研究室にいるぜ。発見した時から、少し成長して多少は存在感が出てきたな。
性別を変えられるのは便利だから、鼠以外の部隊も使用しているみたいだぜ。
機関が怪異を利用するときには何かしら怪異側が条件を付けてくるんだが、こいつの場合は「定期的に人の性別を変えさせろ」ってないようだったぜ。
だいたいは任務に使うことで条件はクリアされるんだが、任務で性別を変える必要がないときが続くことがある。その時は適当な隊員を呼んで一日性別を変えさせるな。
俺も経験したんだが、確かに自分とは違う性別になるのは意外と楽しいもんだ。
こいつを使って性別を変えてから初心な奴だったりをからかったりするのも楽しいし。
ただ、人選だけは注意しないといけないぜ。
一回、あの金にがめつい奴の性別を変えさせてみたんだが、あいつの性別の変わった姿を俺が見て笑った途端、顔真っ赤にして刀振り回して追いかけてくるんだ。
ちょうどその時は俺も性別変えて幼い子どもの姿に変わってたせいで、体力の差がかなりあってな。あの時は本当に死ぬかと思ったぜ。
だから、性別を変えるのは便利だが、あんまりいたずらに使わないようにな。刀だったり、矢だったりが耳元をかすめる経験をした後に三途の川を見ることになるからな。