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名称:幽霊列車のウワサ
発見地:J県C市
危険度:壱番
▼概要
この怪異はその名の通り、本来は存在しないはずの列車であったな。外見も内装も豪華な寝台列車と言ったところであった。
中には人はおらず、運転手も確認できない。列車が何人も乗せずにで走っているものであった。
▼発見経緯
本来であれば廃線となった線路や既に使われていない駅、線路など通っていないはずの森の中など、さまざまな場所で存在しないはずの列車が目撃されていた。
それも、一定の場所ではなく、この国の全ての場所でである。最初は性質の似た怪異ではないかと考えられていたが、目撃された形や色などが同じであったため、同一のものと考えられた。
今回は我が能力を使い、J県C市の森の中でこの怪異発見することができたのである。
▼調査記録
3月17日23時30分、C市の森の中で怪異を発見。電車は8両の編成であり、発見時には停車中であった。
外部に特に問題となる点はなく、危害を加えてくるようでもなかったので、電車内部に侵入した。
電車の内部は客室やバー、レストランを備えた豪華なものであったな。内装品も高級なものを再現しているようであった。
しかし、内部には人はおらず、乗務員や客の役割を担う怪異もいない、完全な無人列車だったのである。
調査を続けて30分ほど経った頃、列車が急に動き始めた。すぐに脱出を試みたが、いかなる方法を用いても列車から脱出をすることはできなかったのである。
どうしようもないので、客室に入り6時間ほどの睡眠をとった。目が覚めるとI県W町に列車は到着しており、扉も開いていたため、3月18日6時45分に外に出ることができたのである。
▼事後処理
この怪異を祓う事が出来ないか試したものの、その場にこの列車が存在しないが如く、攻撃は通用しなかったのである。
この怪異は人に危害を加えることはないものの、誤って乗車してしまえばどこに連れて行かれるかわからぬ。また、どこに出現するかは不明であり、追跡も不可能であるものと考えられる。
そのため、この怪異は回収不可能ではあるが、危険度壱番としたのである。
調査報告書を書き上げ、ふとそばに置いていた鏡を見る。そこに映るのは、すっかり白くなった髪としわの増えた顔の現在の我が姿。
そして、どこかは分からぬが壁に寄りかかるようにして息絶えた未来の我が姿。
老いと死が迫ってい恐怖が襲ってくるのである。若いころには一度も感じたことのない恐怖。
これまで怪異とは何度も戦ってきたが、これ以上の恐怖は感じたことがなかったものが。
「このまま老いて死ぬか、どこかで殺されて死ぬか。違う道を選ぶか」
ある人物の言葉が脳裏に蘇る。
「違う道であるか…」
我が口から漏れた言葉は誰に聞かれるでもなく、夜の闇に消えていった。