怪異調査報告書   作:狐憑

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18 誰かと一緒に戦うのも悪くないですね 危険度参番「H高校の七不思議」

調査報告:H高校の七不思議

正常維持怪異収集機関

烏部隊隊員 楓乃宮詩織(かえでのみやしおり)

 

名称:H高校の七不思議

発生地:H県H市

危険度:参番

 

▼概要

 H県H市にあるH高校に発生した怪異です。

 この高校には十三階段、動く人体模型、四階の鏡、夜中の放送、体育館に響く音、異界の本、七番目の噂が七不思議として存在すると言われていした。以下にそれぞれの特徴を記載します。

十三階段:高校にある階段が普段は十二段であるのに、夜になると一段増えていることがある。この時に階段を上がってはいけない。

動く人体模型:理科準備室にある人体模型は夜になると動き始める。この時に人体模型に見つかると追いかけてくる。

四階の鏡:四階にある鏡からは夜になると巨大な手が出てきて、異界に引きずり込まれる。

夜中の放送:夜に学校を歩いていると、放送が聞こえてくる。内容はカウントダウンで、その時間内に放送室にたどり着けないと死ぬ。

体育館に響く音:夜の体育館には誰もいないはずなのに、ボールをたたきつけるような音が響いている。

異界の本:夜の図書館には何冊かの本が落ちている。この本は異界の本で、開くと中から化け物が出てくる。

七番目の噂:他の七不思議すべてに遭遇しなければ会えない。

 

▼発生経緯

 「牛の首」のような危険度の高い怪異は存在しているだけで人に恐怖を感じさせ、人間に危害を加えようものなら、付近にいるだけで自分も危害を加えられたかのような気になります。

 「牛の首」がこの町で黒瀬永嗣を殺害した際に、付近の人々も無意識に死の恐怖を抱きました。その時の恐れがこの高校の七不思議の噂を怪異としたものと考えられます。

 

▼発見経緯

 「牛の首」が出現した後の影響を調査していた鼠部隊隊員の金糸雀がこの高校に反応しました。

 そのため、この高校の七不思議が怪異となったと判定し、烏部隊が派遣されました。

 

▼調査記録

 この怪異の調査はは私と黒瀬永嗣の二名で行われました。黒瀬永嗣にとってはこれが初めての任務でした。

 慈鳥隊長から彼の境遇については聞かされていましたが、まさか彼と組まされるとは思っていませんでした。

 5月31日21時にH高校の調査を開始しました。

 この高校の構造や七不思議についてはこの高校の生徒である黒瀬永嗣が知っているので、彼に案内をさせながら探索を行いました。

 

 最初に遭遇した七不思議は十三階段です。黒瀬永嗣が階段を数えながら上ると、普段は十二段の階段が十三段となっていました。

 そして、彼がそのことを私に報告した瞬間、彼の首を縄が締め上げました。おそらく、絞首刑をイメージしたものなのでしょう。

 すぐに矢を放ち、縄を切ったことで彼は解放されました。

 

 二番目に遭遇したのは階段を上った先にあった大鏡、四階の鏡です。

 噂通り、私たちが前に立った途端、大きな手が鏡の中から出現しました。この手は巨大ではあったものの、鏡から出てくることはできないようでした。

 そのため、黒瀬永嗣に手を根元から斬らせました。鏡から切り離された手は少しの間ぴくぴくと動いていましたが、動かなくなると塵になって消えました。

 

 三番目は動く人体模型です。人体模型は私たちが高校に入る前から活動を始めていたようで、廊下を歩いていました。

 噂通り、こちらを視認すると走ってきました。矢で頭や足を撃ちぬいたのですが、動きは止まりませんでした。

 矢が駄目ならと、黒瀬永嗣が刀で攻撃をしたのですが、足を片方切断しても動きは止まりませんでした。

 そのため、両手両足を切断することで無力化しました。

 

 四番目は異界の本です。図書室に入室すると、床に何冊かの本が落ちていました。題名や著者名などは何も書かれておらず、開いてみると中から危険度壱番にも満たないような怪異が現れました。

 怪異はすぐに退治し、残った本も開いて怪異が出現してはいけないということでその場で破壊しました。

 

 五番目は夜中の放送です。放送は黒瀬永嗣を指定し、放送室に向かうように指示しました。猶予時間は1分。

 すぐに図書室から放送室に向かいましたが、途中で人体模型に襲われました。両手両足は再生しており、動きも機敏になっていました。

 そのため、私が人体模型を食い止めるようにしました。先ほどと違い、動きが機敏になっていたことで少し苦労をしましたが、手足を壁に射止めることで動きを封じました。

 この時、心臓が脈動していたため、抜き取りました。すると、人体模型の動きが止まりました。

 人体模型を無力化し、黒瀬永嗣の後を追うと、放送室の手前で彼は死んでいました。強い力で歪められた状態と言えばいいのでしょうか。酷い殺され方をしていました。

 しかし、彼は不死身だということを事前に聞いていたため、それほどショックは受けませんでした。人が生き返る光景を目にするのに驚きはしましたが。

 少しして彼が再生すると同時に「死なないのかよ」と地の底から響くような声の放送が流れました。すぐに放送室に突入しましたが、中には誰もいませんでした。

 

 六番目は体育館に響く音です。

 体育館の中に入ると、何かが床にぶつかる音が繰り返し響いていました。電気をつけると音をたてていたのは人間の首でした。その首が体育館の端から端まで移動して鈍い音をたてているのが体育館に響く音の正体でした。

 その首はこちらを認識するとにやりと笑いました。それと同時に電気が消え、暗闇が私たちを包みました。

 

 最後に七番目の七不思議が姿を現しました。

 多くの七不思議の噂として、七番目の七不思議を知ってしまうと死ぬというものがあります。H高校の七不思議も同じような存在なのでしょう。

 再び電気がつくと、体育館の中央に男が浮かんでいました。ただし、頭、身体、両腕、両足は繋がっておらず、バラバラに浮いていました。その顔は六番目の七不思議と同じものでした。

 また、体育館のあちこちに他の七不思議と思われる物が存在していました。他の七不思議に対処しながら、最後の七不思議を倒さなければならないという大変難しい戦いとなりました。

 男はゆらゆらと浮かびながら私たちに襲い掛かってきました。両腕ははさみを手に切りつけを、両足は足を引っかける、蹴ってくるなどの妨害を、頭は五番目の七不思議の放送のように行動を制限してきました。

 また、体育館中に散らばっている他の七不思議も脅威であり、どれか一つに対処しようとすると他の七不思議が襲い掛かってくる、攻撃を避けた先に他の七不思議が設置してあるなど苦戦を強いられました。

 黒瀬永嗣も何度か死んでいましたが、そのたびに再生していました。彼の存在は七不思議にとって信じられないもののようで、彼に狙いを定めて攻撃を行っているようでした。

 そこに隙が生まれました。私を狙う七不思議を無力化した後、七番目の七不思議の部位を一つ一つ射抜いていきました。両腕、両足を射抜き、残りが頭部のみとなると七番目の七不思議は逃亡をしようとしました。

 黒瀬永嗣は十三階段の七不思議を駆けあがると、自分の首に縄がかかるのも厭わず七番目の七不思議の頭部を真っ二つにしました。

 つんざくような声で叫びながら七番目の七不思議は塵のように消えていきました。そして、その消失と共に他の七不思議も消失し、体育館の中心に根源札が落ちてきました。

 H高校の七不思議の討伐完了です。

 

▼事後処理

 回収した根源札は参番倉庫に送りました。「牛の首」により生み出されたと言ってもいい存在のため、穢れはたまりやすいと考えられます。今後も定期的な清掃が必要になります。

 また、今回が初任務の黒瀬永嗣についてです。彼はこの任務中に何度か死んでいましたが、初めての任務にも関わらず危険度参番の怪異を相手に善戦していました。今後に期待が出来そうです。

 誰かと一緒に戦うのは久しぶりでしたが、悪くないものですね。

 また、今までは私が誰かに教えられる側でしたが、今後は黒瀬永嗣に色々と教えていきたいと思います。

 

 

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