名称:赤刃
接触地:G県Y市
危険度:壱番
▼概要
赤い色をした刃物だね。見た目はナイフみたいだったよ。
この怪異は自分では人に害を及ぼすことはないんだけど、この怪異を手にした人間に人を傷つけろって暗示をかけるみたいだ。
それに、自分の痕跡を消す能力も持っているみたいだ。
▼発生経緯
この怪異がなんで発生したかは不明だ。ただ、その性質からして誰かを傷つけたいという人間の思いが原因じゃないかと私は考えているよ。
ほら、この報告書を見ている君たちだって何かの理由で人を傷つけたいと思ったことはあるだろう?
そういう気持ちの積み重ねがこの怪異を生み出したんだろう。
▼発見経緯
G県Y市で人が切りつけられるって事件があってね。
最初は警察が捜査をしてたみたいなんだけど、何の手掛かりも見つからないまま被害者が何人も出たんだ。
それで、怪異がこの件に関わっているんじゃないかと連絡があって、私が調査に向かったよ。
情報収集は狐部隊の得意分野だからね。
まずは被害者に許可をもらって、犬に被害者に残っている穢れを覚えさせた。ここまで被害者が出ているのに、犯人につながる痕跡がないってことはこの件に関わっている怪異は自分の痕跡を消すことが出来るんじゃないかって考えてね。
自分の痕跡を消すことはできても怪異である以上、穢れを消すことはできないからね。
それで、犬に匂いをたどらせるとあるアパートの部屋についたんだ。
その部屋でこの怪異を発見したよ。
▼交戦記録
部屋の中に入ると男が刃物を構えていてね。犬がその刃物に向かって吠えていたからそれが今回の事件を起こした怪異だってすぐに気づけたよ。
男はなにかぶつぶつ呟いていたんだけど、私が近づいた瞬間にこっちに向かって突っ込んできてね。
蛇を足に絡みつかせて転ばせた後に犬に怪異を噛み砕かせた。
怪異に操られているであろう人を傷つけるのは心が痛むけど、私もただでやられるわけにはいかないからね。
怪異は根源札を残して消滅。男の方は怪異に操られていたとはいえ、人を傷つけたわけだから身柄を拘束したよ。
▼事後処理
根源札は壱番倉庫に保管したよ。対して強い怪異じゃないけど、発生原因からしてすぐに穢れがたまるだろうから、清掃は定期的にした方が良いね。
この怪異を使って人を傷つけていた男は警察に引き渡したよ。怪異に操られていたとはいえ、何人もの人に被害を与えたわけだから。
それに、術を使って彼に自白させてみたんだけど、彼自身も怪異の誘いに抵抗しなかったみたいだ。だから、彼にも罪はあるわけだ。
だけど、今回の事件は怪異によるものが大きいから彼の罪はそこまで重くならないと思う。私も彼に有利になるようにするつもりだし。
彼が今後は怪異に関わらずに生きていけることを願っているよ。
私の足元に一人の男の死体がある。
その顔は私の知っているものだ。
赤刃による切りつけ事件の犯人。罪が重くならないようにと私が彼に有利に事を進めた人物だ。
事の始まりはG県Y市で起こった殺人事件だ。
ある家族五人が刃物で殺害された。被害者の中には幼い子どももいた。
本来、それだけのことをすれば犯人につながる痕跡が残っているはずなのに、一つも残っていない。
私が調査をした件とあまりに似すぎている。
不安になった私はすぐにY市に向かった。その日は雨のよく降る夜だった。
Y市についた私は、前に犬に覚えさせていた男の匂いを追跡させた。
この時には何となくだが、前の事件を起こした男が関わっているのだろうと気づいていた。
犬に匂いを追跡させ、Y市の山の中で男を見つけた。
男は既に人間ではなくなっていた。
体から生えた大量の刃物に怪異と同じように穢れをまとっている姿。
ああ、この男は誰かを傷つけたいという欲望に逆らえなくなったのか。
私はそう判断した。
後はすることは決まっている。
私の能力で生み出した式神に目の前の怪異を攻撃させるだけだ。
式神の攻撃を受けた男は倒れこみ、その生命活動を停止させた。
男を調べてみると、赤刃とは違う刃物の形をした怪異を手にしていた。
恐らく、彼はこの怪異を使って自分の欲を満たしたのだろう。そして、一線を越えてさらに人を殺そうとしたため、怪異に呑み込まれてしまったのだろう。
この男がどうやって怪異を入手したのかを調べなければならない。
もしも私がこの男が起こした前の事件の時にこの男もある意味では被害者だと考えずに、男に有利になるようにしなければ今回の事件は起きなかったのだろうか?
この男を式神で見張るようにしておけば被害者が出なかっただろうか?
事後処理中、そんな後悔が私を襲ってきた。
私がもっとちゃんとしていれば……こんなことは起きなかっただろうか。