名称:「くぐつさま」
発生地:T県K村
危険度:参番
▼概要
T県のK村、閉鎖的な村で信仰されていた神だ。
この村で昔から信仰されているみたいで、かなりの力を持った存在になっていた。
見た目はところどころにひびが入った人形だ。その手からは細い糸のようなものが伸びていて、それで後述する能力を使っていた。
この神だけでも厄介な存在だが、この神を信仰する村人の存在も厄介だった。
▼発見経緯
10月5日、別件でT県で活動をしていた鼠部隊員の行方が分からなくなった。
最初は怪異により殺害される、もしくは異界に連れ去られるなどしたのではないかと考えられた。しかし、隊員の形代に変化は無く、形代と隊員のつながりを辿ったところ、K村に隊員がいることが判明。
隊員の回収、K村の調査を行うために犬部隊が派遣され、調査中にこの神を発見した。
▼調査記録
鼠部隊や狸部隊の隊員たちが収集した情報によると、この村は古くから人形作りで栄えた村とのことだった。
そして、この村では「くぐつさま」という神が信仰されており、10月15日には祭りも行われている。
今回誘拐された鼠部隊の隊員はこの祭りの生贄として誘拐されたものと断定。
しかし、村の内部についての情報はなく、祭りの際に行われるであろう儀式もどのように行われるのかは不明であった。また、攫われた隊員の正確な位置も不明であった。
そのため、祭りの始まる前に村の調査を行うこととなった。
10月7日、K村に到着。犬部隊員は村に観光に来た観光客を装い、疑われることなく調査を開始した。
俺は部隊とは別行動を行い、部隊員が村人の注意を引いている間に村の詳しい歴史の調査や儀式内容についての調査を始めた。
10月8日、村から少し離れた森の中で待機をしていたところ、15歳ほどの少女に見つかった。
村人に俺の存在がばれてしまっては作戦が失敗となるため、少女に記憶処理を行おうとしたところ、彼女は自分の身の上の話とこの村の暗部についての話を始めた。以下に少女から聞き出した情報をまとめる。
この村は「くぐつさま」と呼ばれる神を信仰しており、5年に一度、生贄を捧げる代わりに村の繁栄を約束してもらっている。
そして、この村には能力を持つ人間が生まれてくることがあり、その子どもが15歳を迎える祭りの際に特別な生贄として捧げられるらしい。
また、この能力を持つ人間は必ず10月15日に生まれ、生贄となる運命からは逃れられないとのことだった。
儀式はこの村の村長が代々取り仕切っており、村長の発言は絶対であり、誰も異を唱えることはできないとも聞いた。
少女は俺のことを誰にも言わないと約束し、この村のことを更に教えるとも約束した。
10月9日、少女がこの村の歴史について記録した本を持ってきた。
本はかなり古く、使われている言葉も昔の言葉であったため、内容は判別できなかった。このため、本は解読班に回すこととした。
この日は少女との会話から行方不明となっていた鼠部隊の隊員が村のはずれの小屋に監禁されていることが判明した。
情報は部隊に共有し、救出作戦が立てられた。
10月10日1時、部隊全員で鼠部隊員の救出を開始、小屋には見張りの村人が二人いたため、無力化したうえで小屋の鍵を開錠。
鼠部隊員は衰弱していたものの、命に別状はなかった。
この作戦を決行したことで犬部隊の正体が村人に気づかれるため、部隊は撤収した。
俺は村人に存在を知られていないこと、こちらに協力的な少女との接触を続けるために村に残った。
13時に少女と接触。彼女から儀式の生贄として捧げられるための準備が始まり、自由に出歩くことが出来なくなることを告げられた。
また、この時に少女の持つ能力を見せられた。彼女の持つ能力は人形を自在に操る能力だった。
俺の前で彼女は腕に抱えていた人形を自在に動かして見せた。かなり精巧な動きをさせることもできるようで、優れた能力だった。
少女と一時間ほど会話をした後、彼女は村へ帰っていった。
少しして村の様子を確認してみると、村は生贄がいなくなったことで大騒ぎしているようだった。だが、村長らしき老人が姿を現すと騒ぎは収まった。
村長が何かを村人たちに伝えると、村人たちは先ほどまでの騒ぎが嘘のように動き始めた。おそらく新しい生贄を連れてくる準備をするように伝えられたのだろう。
そして、少女が社のある方へ連れていかれる様子も確認した。これは儀式の準備と言うが、逃げられないようにするためだろう。
10月11日、生贄を捧げる儀式を行う村を放置しておくわけにはいかないとの訴えが認められ、K村の神討伐作戦が決まった。
10月12日、作戦を開始する。
作戦は俺が生贄として村に潜入し、儀式の途中で神を殺すというものだ。儀式の途中で何かが起これば村人たちが異変を察知するであろうから、それを妨害するのが他の犬部隊の隊員の役割だった。
この作戦は未来を見通す力を持つ
この作戦のためにはぎりぎりまで生贄が見つからず、K村の住民たちが焦る必要がある。そのため、12日から14日までは村人の妨害に徹することとなった。
また、この間に少女から入手した古い書物の解析や村の見取り図の作成などが行われた。また、この作戦に鼠部隊の協力も得ることが出来た。
10月13日、村人たちが近くの町で生贄を連れ去ろうとしていたところを妨害。彼らを捕らえ、彼らの衣服や顔の特徴などを変装が得意な鼠部隊員に覚えさせた。
10月14日18時半、村人に変装した鼠部隊員により生贄役として潜入に成功。今度は生贄を逃がすまいと考えているのか、社に監禁された。
腕は厳重に縛られ、目隠しをされた。この日はそのままの状態で一日の終わりを迎える。
10月15日、儀式はおそらく0時半ごろに開始された。
儀式の開始後に、村長が何かをつぶやくと同時に息が苦しくなるような感覚に襲われた。
儀式に参加している人間に気づかれないように腕の縄をほどき、目隠しを外すと、3メートルほどの大きさの人形のような姿をした「くぐつさま」が社の奥から姿を現していた。「くぐつさま」の前には白い衣装を着た少女がいた。
討伐すべき対象が現れたため、事前に服に仕込んでおいた札に霊力を送り、外の隊員たちへ作戦開始の合図をした。
外の村人たちはこの時に犬部隊員により無力化に成功している。
まずは村長を鎖で縛り、無力化したうえで「くぐつさま」と対峙することとなった。
「くぐつさま」は最初はその手足で攻撃をしてきたが、手足を鎖で封じると指から糸のようなものを射出した。
その糸は床につくと同時に白い衣装を着た人の形となった。
作戦の開始前、この村から持ち出した書物の解析が完了した。そこには「くぐつさま」が能力を持つ人間を生贄として差し出すように要求する理由は、自分の眷属を増やすためだとあった。
おそらく、これまで「くぐつさま」に捧げられたであろう、能力を持つ人間たちが「くぐつさま」の両手の指から出現し、襲い掛かってきた。
どれか一体に対処しようとすれば他の個体の攻撃が飛んでくる状態であったが、鎖を利用して壁を作る、個体を分断するなどして「くぐつさま」の指から伸びて眷属とつながる糸を切断していった。
操り人形のようになっていた眷属たちは、「くぐつさま」から伸びる糸を切断されると力を失ったように倒れこみ、塵に変わっていった。
そうして眷属たちを全て処理することには成功したが、最後の一体の攻撃で体勢を崩してしまった。
その隙を逃さず「くぐつさま」は顔を歪め、腕を振り下ろしてきた。
しかし、少女が能力を使い、人形で俺を動かしたことでその一撃を回避することが出来た。
体勢を立て直し、「くぐつさま」との戦闘を行っていると犬部隊員たちが加勢に来た。
そうして他の隊員たちと協力し、「くぐつさま」の討伐は完了した。
▼事後処理
回収した根源札は参番倉庫に送られている。
この村の村人たちの内、儀式に関わっていた者については機関の方からしかるべき処置がされるとのことだ。また、儀式に関わっていない村人については「くぐつさま」についての記憶処置をしておくとのことである。
少女は彼女自身の要望もあり、機関に加わることとなった。今後は犬部隊で訓練をしていくとのことだ。
この村の歴史について書かれた本の解読が完了した。
もともとこの村は特産物のない村であった。しかし、今から400年ほど前に現在の村長の先祖に当たる人物がどこかから人形を連れてきてご神体としたらしい。それから村は人形で栄え始めたとのことだ。
また、生贄を捧げる儀式も歴代の村長たちによって行われてきたとのことである。
この本は現在から200年前に書かれ、村の200年の歴史が記されている。
この歴史の中に何度か同じような人物が現れることがあった。そもそも200年も生きる人間はいないうえに、この人物の特徴は他の場所でも目撃され、怪異に関わる人物と似ている。
この人物についての更なる調査をすることが必要となるだろう。