名称:
交戦地:A県F市
危険度:肆番
▼外見
外見はかなり古い服と鎧を身に纏い、髪を後ろで束ねた人物だ。博物館に展示されている昔の人間の模型が抜け出してきたみたいだぜ。
ただし、体に何本も矢が刺さっているから一目で生きた人間じゃないとわかるな。
↑付け加えておくと、腰に剣を下げているから矢が突き刺さってなくても普通の人間には見えないぜ。
▼発生経緯
こいつはこの国の一番最初の政権と争った部族の人間だったと俺は考えてる。こいつの着ている服と鎧は××と呼ばれた、この国にもともと住んでいたであろう民族の物と同じだったからな。
↑ああ、それで俺たちにあの写真を見せたんだな。最初は何をやってるのか分からなかったから納得がいったよぉ。
この国の歴史は戦乱と平和の繰り返しだ。戦いで政権側に敗れて恨みを抱えながら死んでいった奴も多い。
そんな奴らが残した恨みが積み重なって怪異として現れることもある。
今回のこいつもそうだと思うぜ。
↑俺の方でこいつについて調べておいた。こいつは斑留、今から1000年以上前に当時の政権に仲間と共に立ち向かった男だ。こいつについての情報を下に書いておくぜ。
▼斑留について
斑留は××という民族の戦士の名である。
××はこの国にもともと住んでいた民族で政権と対立し、衝突を繰り返していた。
政権側も××を従わせようと軍を派遣したが、一人で千人を相手にできると言われた斑留と××の首領○○○○の優れた指揮に阻まれた。
戦いは数年に及んだが、決着はつかなかった。そして、戦いが膠着してきた頃、政権側が××に和平を申し出た。
○○○○はこの提案を受け入れ、斑留を含めた数人の仲間と共に政権側との今後についての話し合いに向かった。
だが、政権側は話し合いをする気など最初からなく、話し合いの途中で隠していた兵で斑留達を殺そうとした。
○○○○の連れていた仲間は斑留を含めて優れた戦士たちだったが、数で勝る政権側の攻撃に次々と倒れていった。
優れた力を持つ斑留のみが兵士たちの囲いを突破して逃げることに成功したが、○○○○を含めた他の戦士たちは全員首を切り落とされた。
なんとか逃げることに斑留は成功したが、○○○○という優れた首領を失ったことで××の団結力は弱くなった。
だんだんと××側は追い込まれていき、××を裏切って政権側につく者も現れた。
斑留は戦い続け、彼の出陣した戦いはほとんどが××側の勝利となったが、××が北に北にと政権側から追い込まれることを彼一人ではどうすることもできなかった。
最後の戦いにて斑留はわずかな仲間を率いて政権側に立ち向かった。
罠や奇襲などを利用して敵をかなり殺害することに成功したが、一人、また一人と斑留の仲間は倒れていき、斑留一人が最後に残った。
一騎当千の戦士の斑留であるが、人間である以上限界はある。
その最後は兵士たちが斑留を食い止めているところに何本もの矢を射かけられ、兵士もろとも矢で射抜かれるというものだった。
斑留の死後、××は政権側に降伏した。
政権側は××を北へ追いやり、毎年特別な税を課すことで××が今後政権に歯向かうことが無いようにした。
▼発見経緯
A県のF市で矢が何本も刺さった幽霊が出てくるという噂が広まった。
上の人間は落ち武者の怪異でも現れたって思ったんだろうぜ。鼠を一匹確認に向かわせた。
そうしてみりゃ、確認されたのは危険度肆番のこいつだったってわけだ。
どうもこいつは鼠の存在に気づいたらしく、それまで彷徨っているだけだったのが鼠を殺しにかかったらしい。
鼠は逃げることに成功したが、かなり深手を負っていた。
▼交戦記録
鼠からの情報でこいつは早急に祓う必要があるってことで、俺たち狼に上から命令が来た。
7月4日23時44分、鼠の情報通りにA県F市でこいつを発見した。
だが、俺たちがこいつに気づくと同時にこいつも俺たちに気づきやがった。
↑ああ、あいつ俺たちが身構える前に矢を放ってきやがってよぉ。それもあいつの体に突き刺さっている矢が抜けたかと思ったら一瞬でだぜ?何とか避けるのは避けたけど俺はもう終わりだと思ったよぉ。
その後は狙いを絞らせないために分散、遠距離から攻撃できる隊員には攻撃を指示し、こいつが狙いをつける時間を作らせないようにしたはずだった。
こいつは俺に狙いを定めて距離を詰めてきやがった。矢を自分の体に突き刺したまま放つことで、そのスピードを利用して移動したんだろう。
↑誰もこいつの姿を追うことが出来ないくらい速かったからな。一瞬どこかに消えたのかと思うくらいだったな。
こいつはそのまま腰の剣で切り付けてきた。斧で受け止めることはできたたが、こいつの攻撃は重すぎた。何度か斬り合ううちに衝撃で腕が痺れてきた。
隊員たちが駆け付けたことで後ろに下がれたが、ほんの少し遅かった時には俺は真っ二つになっていたはずだぜ。
だが、こいつは俺のことしか眼中にないのか、隊員の攻撃を躱しながら俺の方に突き進んできた。
さすがに全てを躱すことはできなかったようだが、傷つくとほぼ同時に回復しやがる。
俺の考えだが、この人間離れした回復力は生前から持っていたものだろうな。危険度肆番の怪異の回復力は高いとはいえ、一瞬で再生できるものじゃない。
こいつは生前、この回復力で敵を蹴散らしてきたんだろうぜ。
一人で千人を相手にしたという話に間違いはなさそうだな。
↑本当によぉ、あいつ槍が突き刺さろうが殴りつけられようが止まらなくてよぉ。俺もあいつを押し返そうとしたのに押し切られちまった。
こいつが俺の前に来るまで時間はかからなかった。
俺が身構えると同時に、こいつは隊員が近づけないように矢を周囲に放ちながら斬りかかって来た。
矢には限りがあるだろうが、今度の矢は避けても追跡し続けてくる矢だった。
隊員たちは後ろに下がって捌くのに必死だ。あいつらが駆け付けるまでの時間を稼がなくちゃいけねえ。
さっきの斬り合いでこいつの強さは十分理解しているからな。俺も能力を使った。
使ったのは狼部隊の隊長としての方だ。俺の能力ならもっと楽に戦えただろうが、こいつとの戦いには使いたくない気持ちが勝っちまった。
↑まったく、お前は変わらないな。
狼になるのは久しぶりだったが、問題なく動けたぜ。こいつの攻撃も変身した後なら難なく受け止めることが出来た。
斧だけじゃなく、爪、牙、使えるものはすべて使った。それでもこいつに致命傷を負わせることはできなかった。
だが、あいつに再生能力を何度も使わせて回復速度を遅らせることはできた。俺の方も全身傷がない場所を探すのが難しい状態になってたがな。
↑白い毛が真っ赤に染まっててよぉ、見てるこっちの方が痛くなりそうだったぜ。
俺が一人だったならこのまま追い込まれて行って負けていただろうぜ。だけど、俺たちは狼、群れで狩りをする部隊だ。
矢を捌き終わった隊員たちが駆けつけてきてからは俺たちが優勢になった。
こいつは俺だけは殺してやろうとしていたが、数には勝てねえ。
だんだんと再生する速度も落ちていき、最後には塵になったぜ。
残った根源札、それとこいつの物だろう骨は猿に回した。こいつについては色々匂うからな。それを調べるためだ。
▼事後処理
猿が札を解析した結果が出た。
こいつは斑留の骨に政権を恨みながら死んでいった戦士がいたという噂を宿って怪異として現れたやつだったぜ。
こいつの怪異としての能力は相手の権力に応じて力と敵意が増すというものだった。
こいつが発見されたA県F市で何の被害もないのは政権に関わるものが周りになかったからだろう。そこに政権と関わりのある機関の鼠が近づいたから攻撃的になったってわけだ。
俺を狙ってきたのも狼の隊長が俺だからだろうぜ。
こいつは早くに発見されて討伐できたから良かった。もし、こいつが発見されずにこの国の中心にでも現れていたらもっとヤバいことになっていたはずだぜ。
それと、こいつは人為的に生み出された可能性があるとのことだった。
この調査については猿と狐が行うことになっている。
危険度肆番の怪異を作り出せる奴。もしもそんな奴がいるとするなら早く見つけ出してぶっ殺してやらねえといけねえ。
↑まったく、お前は相変わらず血気盛んだな。だが、お前の言うとおりだ。こいつを作り出すような奴がいるなら、そいつはこの国を滅ぼそうとしているような奴だ。さっさと殺すに限るな。