怪異調査報告書   作:狐憑

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26 過去の私 危険度参番 過去の紅染

調査報告:紅染

正常維持怪異収集機関
                               

烏部隊特別隊員 紅染(べにぞめ)
                     

 

名称:紅染(べにぞめ)                                                                        

危険度:参番            

 

 

▼概要

 (わたくし)ですわ。

 と言っても私自身ではなく、私の過去の姿とでも言えばよいのでしょうか?

 私は昔から存在していましたの。その時代その時代で恋から生まれて誰かに恋をして殺しては退治され、忘れられて消えていく。

 それが私、紅染という怪異ですの。

 紅染は何度でも生まれ変わります。ですけど、記憶はほとんど引き継がれませんの。

 私も前の紅染の記憶はほとんどありませんし。

 今回私の前に現れた紅染は何かしらの手段で過去の私を蘇らせたもののようでしたわ。

 

▼発見経緯

 永嗣さまと共に危険度弐番の怪異を追い詰めていた時のことでしたわ。

 壁際に追い詰めた怪異が突然真っ二つになりましたの。

 私も永嗣さまも何が起こったのか分からずにいましたら、二つに分かれた怪異が横にずれていきました。

 その間から白い生地にが飛び散ったような模様の着物を着た人影が現れましたわ。

 紅い刀を手にしたその姿を見てすぐにわかりましたわ。

 目の前にいるのは自分だと。

 

▼交戦記録

 今の私とは違うものとはいえ紅染は紅染。好きになる方も同じでしたの。

 過去の私が永嗣さまを見た瞬間にその顔が変わりましたわ。

 あの顔は私と同じ、永嗣さまを好きになった顔でしたもの。

 そして、気づいてしまいましたの。紅染の根源に刻まれているのは「好きになった相手を殺せ」という内容。

 私の目の前にいる紅染は永嗣さまを殺しにくると。

 

 身体が勝手に動きましたの。永嗣さまの前に立ち、その心臓めがけて飛んでくる一撃を防げるように。

 過去の紅染は恍惚とした表情で刀を突きだしてきましたわ。

 その攻撃を防ぐことはできましたわ。

 ですが、今の私は弱くなって危険度弐番ほどの力しか持っていません。それに対して過去の紅染は危険度参番、それも参番の中でもかなりの力を持っているようでした。

 攻撃を一度防いだだけで私は体勢を崩されましたわ。

 そして、永嗣さまの殺害を妨害したことで彼女は私を標的としましたの。

 私の首を切り落とそうと過去の紅染は刀を振り下ろしましたわ。ですが、永嗣さまが私を守ってくださいました。

 そして、過去の紅染の攻撃を永嗣さまが捌いている間に私も体勢を立て直し、二人で紅染と対峙しましたわ。

 相手は一人とはいえ最も強かったであろう過去の紅染。それに対して今の紅染の私は弱くなってしまっている身。

 扱える紅糸の本数も作り出した武器の強度も相手の方が上回っていましたわ。

 武器は何度も破壊され、紅糸の数で負けているために不利になり。私だけでは過去の紅染に勝つことはできなかったと思いますの。

 ですが、私は一人ではありません。永嗣さまが私の傍にはいますもの。過去の紅染と私の差は永嗣さまが埋めてくださります。

 私の武器が壊れれば、作り直すまでの時間を永嗣さまが作ってくださり、紅糸の数の差も同じように永嗣さまが補ってくださります。

 

 過去の紅染は確かに強かったですわ。私も永嗣さまも何度も傷つきましたもの。

 それでも、私も永嗣さまも諦めません。

 傷つきながらも一度、もう一度と過去の紅染に攻撃をしていきました。

 過去の紅染も何度か身体を修復していましたが、再現されたものだからでしょうか?だんだんと傷が治らなくなっていきましたわ。

 最後は弱った過去の紅染を私が紅糸で拘束し、永嗣さまがとどめを刺しましたわ。

 

▼事後処理

 過去の紅染は花が散るように消えていきましたわ。

 私という今の紅染がいること、何かしらの方法で蘇っていることから根源札は残りませんでしたわ。

 …過去の紅染は最後に誰かの名前をつぶやいていましたわ。

 何という名前なのか、詳しくは聞き取れませんでした。ですが、過去の紅染が愛し、そして殺した相手なのだろうと私は思いますわ。

 最初は操られているかなにかでその方のことを忘れていたのでしょう。

 永嗣さまを見初めたのはそのためだと思いますわ。

 

 今回のことを起こしたのが誰なのかはわかっていませんわ。

 ですが、恋心を利用する卑劣な相手です。

 必ず見つけ出して紅染の仇を取って見せますわ。

 

 

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