赤、白、オレンジ、黄、黒、茶、青
開かれた体、脳、心臓、人間の終わり
塞がれた目と口、削ぎ落とされた鼻と耳
たくさんの表情のない顔、その奥にいる何か
家族、分裂、血液、死、変容
名称:『ギャラリー』
発生地:H県K町
危険度:なし
▼概要
H県のK町の山奥にある大きな三階建ての家です。
誰がいつ、何のために建てたのか情報が一つもないって八雲さんが言っていました。
ただ、いつの間にか地元の人たちの間で知られていたみたいで、芸術家が住んでいると噂になっていました。
それでつけられた名前がギャラリーです。
有名な芸術家が隠れ家に使っている、どこかの会社が物置に使っているだけ、何かの実験施設。
この家が何なのかについても聞いてみましたけど、みなさんそれぞれ言うことが違っていて。
話を聞く限り、この家の中に入ったことがある人はいないみたいで、噂だけが勝手に広まっているみたいです。
▼発見経緯
さっきも書いたように、この家は噂になっていましたが実害は確認されてませんでした。
ただの空き家ではないが、周りに影響を及ぼしていないため優先度は低かったらしいです。
ですから、私の犬部隊での研修もかねての調査を今回することになりました。
▼調査記録
11月16日の12時くらいに私と八雲さんの二人で『ギャラリー』に侵入しました。
人払いや『ギャラリー』の正面の扉の鍵開けは鼠部隊の方たちが先にしていてくださったので何の問題もなく入ることが出来ました。
『ギャラリー』に入ってすぐに、たくさんの絵が私たちを迎えました。
私は芸術というものはよくわかりませんが、凄く目を引かれる作品でした。
きっとその知識のある人が見たら絶賛するような作品だと思います。
ただ、凄い作品ではあるのですが、どこか不穏な空気を感じました。
絵は普通の絵なのになぜか暗い気配を漂わせているんです。
見ていると不安になってくると言えばいいんでしょうか、そんな絵なんです。
でも、特に異常性もないので絵は怪異ではないとすぐにわかりました。
それから一階の探索を続けましたが、見ていると不安になってくる絵や像が飾られているだけで特に気になるものはありませんでした。
問題は2階に上がってからでした。
2階、階段から一歩踏み出した瞬間に頭が痛くなりそうでした。
誰もいないはずで誰の声もしないはずなのに悲鳴や苦痛にうめく声が頭の中で響くみたいで。
2階に飾られていた作品、作品とは呼びたくないものがその原因でした。
2階に展示されていたのは、人。
人間を素材に作られたものでした。
共通するのは、どれも腐らないように加工されていて苦痛に歪んだ顔をしていること。
見ていると気分が悪くなるものばかりで、吐き気もこみ上げてきましたが、何とか我慢して調査を続けました。
2階の作品は部屋ごとにテーマが違っていて、それぞれの部屋の入口には『家具』、『楽器』、『庭園』、『物語』などの表札がかかっていました。
中にある作品は部屋の入口の表札のテーマにそったものでした。
何が展示してあったのかについては思い出したくもないほどおぞましいものばかりなのでここには書きません。
そして最後に3階、ここには作品が1つ展示してあるだけでした。
作品名は『家族』、作品名の通りの作品でした。
家族が子どもしか座れなさそうな小さな椅子を囲んでいる作品です。
椅子は私たちが来るまで誰かが座っていたのか、まだほんのり暖かかったです。
ただ、家のどこを探しても椅子に座っていた誰かは見つかりませんでした。
そして、この『ギャラリー』を完成させた怪異も見つかりませんでした。
▼事後処理
その後の調査で、この『ギャラリー』に残る怪異の穢れが薄いことから怪異がこの『ギャラリー』から姿を消して長い時間が経っていることがわかりました。
うすうす分かってはいましたが、この『ギャラリー』に展示されているすべての作品が人間を使って作られていることも。
一つ気になることは、3階にあった『家族』。
あれは作品の作り方を脳に刻み込ませる学習装置のようになっていたみたいです。
普通の人間であれば見ることに脳が耐え切れず、すぐに椅子から立ち上がってしまいたくなるような映像を直接脳に流し込む装置です。
それなら、あの作品に座っていたはずの誰か、私たちが突入する直前まで居た誰かはどこに行ったのか、何を目的としてあの作品を使用していたのか。
この『ギャラリー』についてはまだまだ調査をしないといけない気がします。