怪異調査報告書   作:狐憑

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番外編 ある記者のボイスレコーダーの記録と最新作の発表

「今日はなんと!本当に怪奇現象が起きると言われているホラーゲームの製作者、(ノイズが混じり解読不可能)さんに取材をする機会を設けていただきました!」

 

 元気のよさそうな明るい声が聞こえてくる。まだ若い女性のものだろうか。

 

「こ、こんにちは。ゲームSYUZの記者さんですね?き、今日はよろしくお願いします…」

 

 次に聞こえてきたのはどこかおどおどした声。声が少し小さく聞き取りにくいが、こちらは男性のもののようである。

 

「はい!ゲームSYUZの江稲木と申します。今日はよろしくお願いします!」

「き、今日はわ、私の作っているゲームについてのインタビューで、ですよね」

「そうです。『禍』であったり、『贄の日』、『血樽』といったゲームをこれまで世に送り出していますが、どのゲームもやけに生々しいと評判になっています。その生々しさをどのように作り出しているのかお聞きしたく!」

 

 なにかがガタリと動く音がする。

 

「それはなあ!実際に起こった事件だったり、実際の心霊スポットをモデルに作っているからさ!」

 

 突然荒々しい声が聞こえてきた。

 

「あ、ああ、ご、ごめんなさい。私が人と話をするのが苦手なので、か、彼女に代わりに話をしてもらうんです」

「彼女、ですか?私にはただの人形にしか…。それに、腹話術で…」

「ああ!?誰が人形だって!?」

「ひっ!ごめんなさいっ!」

 

 男性のぼそぼそした声、記者のおびえた声と女性のような怒鳴り声が聞こえ、少し静かになる。

 

「まあいい。みわは優しいから許してやる」

「よ、よかった。み、みわがゆ、許してくれたみたいです。話のつ、続きをしましょう」

「は、はい。ありがとうございます……」

 

 記者の声は目の前にいるものがまるでこの世のものではないかのような恐怖で震えている。

 

「で、では、実際に起こった事件を参考にしているとのことでしたが、その内容についてはどのように調査をしているのですか?」

「そこにいた人間に話を聞くんだよ。やった側の話を聞くのが一番いいな」

「そ、そうなんです。は、話を聞くのがいいんです」

「な、なるほど、実際に当事者に話を聞くと」

 

 少しの沈黙。記者が紙にペンを走らせる音が響く。

 

「次に(ノイズが混じり解読不可能)さんのゲームで怪奇現象が起きるとのことですが、これについてはどう考えていますか?」

「そこまでこ、怖いと思ってもらえるなら、う、う、うれしいです」

「そりゃあ、怪奇現象も起こるだろうぜ。なにせ、『本物の』ホラーゲームなんだからな!いいじゃねえか、どうせ人間なんて怖いものが好きなんだろ?」

 

 再び沈黙と記者が紙にペンを走らせる音。

 

「それだけ怪奇現象が起きるゲームを作っているとなると、(ノイズが混じり解読不可能)さんのゲーム開発中にも何かしら起こりそうですが、大丈夫なのですか?」

「そ、そうですね。じ、実際に怖い目に合ったこともあ、あります。だ、だけど、み、みわが助けてくれるから、だ、大丈夫です」

「そうだ!みわは強い!あいつらは弱い!だから、大丈夫だ!」

「怪奇現象には襲われているんですね」

 

「では、(ノイズが混じり解読不可能)さんのゲーム作りの原点をお聞かせしてもらってもいいですか?」

「はい。私の制作の原点は、あの日、廃墟になったあの家で、見たことです」

「見た?何を見たんですか?」

「赤や白などの様々な色、何もない顔がたくさんある様子、人間の終わり……心臓…脳、家族!死!!うううううううううううううう!!!!」

 

 男性の声が突然大きくなり、物がガタガタとなり始める。

 

「ひっ!な、何が起こっているんですか!?」

「落ち着け!(ノイズが混じり解読不可能)。このアマ、みわが許してやったのに!(ノイズが混じり解読不可能)落ち着け!大丈夫だ!」

 

 記者の悲鳴とみわの声が聞こえてくる。物がガタガタと鳴る音はしばらく続くが、徐々に静かになる。

 

「ご、ごめんなさい。わ、私がちょっと気持ちがた、昂ってしまって」

「謝る必要はないぞ!この女がお前のことを聞くのが悪いんだ!どうする?殺すか!?」

「申し訳ありません!(ノイズが混じり解読不可能)さんのトラウマを刺激してしまうようなことを聞いてしまって!だからそれだけは!」

「だ、大丈夫です。き、気にしないでください」

 

 男性のぼそぼそとしながらも落ち着いた声が聞こえてくる。

 

「そ、そうだ。今、あ、新しい作品がか、完成しそうなんです。き、記者さん、見ていきませんか?」

「新作ですか?…それは面白そうですが、今日は遠慮「もちろん来るようなあ!ええ!?」わ、わかりました。見学させてください」

 

 ドアの開く音と三人分の足音が聞こえる。足音はだんだんと遠くなっていき、やがて何も聞こえなくなり、無音が続く。4分ほど経った後、かすかな声が聞こえ、録音が終わる。

 

 

 

『今話題のホラーゲームクリエイターの新作がまもなく発売!』

 

 『禍』などの本当に怪奇現象が起こるホラーゲームを作ってきたクリエイターの最新作が9月16日に発売されます。プレイヤーはある記者となって怪奇現象の起こる家や怪しい村などを取材する内容とのこと。詳しい内容については後日また発表があると告知されています。

 

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