怪異調査報告書   作:狐憑

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4 被害者の苦しみを味わうといい 危険度弐番「住喰」についての報告

調査報告:住喰

正常維持怪異収集機関

狐部隊隊長 九重白(このえしろ)

 

名称:住喰

接触地:O県O市

危険度:弐番

 

▼外見

 外見は少し古い住宅だが、不気味に見える。霊感がある人間が見ればおぞましいものに見えるだろう。危険度は高くないが、かなり穢れが濃く、私も少し気持ち悪くなってしまった。

 本体は黒い人型だったね。この家の最初の主人の顔をしていたよ。

 

▼発生経緯

 どうやらこの家の最初の持ち主が怪異となっているようだ。この家の最初の持ち主は××と言うらしい。彼には妻と三人の子どもがいたが、友人の裏切りで多額の借金を背負うことになったらしい。

 裏切りと借金苦によるストレスか、人が変わったようだったと近所の住民は言っていた。

 そしてある日、彼は家族を惨殺した後に首を吊って自殺した。それが5年前のO市一家惨殺事件だよ。

 恐らく、彼は家にかなり執着していたんじゃないかな。どうも、この家は彼がローンを何十年も組んで建てた家らしい。それに最後は精神的に錯乱してて、幸せな家族を恨んでた可能性もあるね。

 それで、彼の恨みと事件についての噂が混ざった結果、この家のみを活動範囲とする「住喰」が発生したわけだ。

 

▼発見経緯

 この家は格安で販売されていたらしい。悪質な不動産屋が事件があったことを説明せずに、情報を知らない家族に売りつけていたみたいだ。

 私としては、なんで格安なのか調べないのも問題だと思うんだけどね。

 それで、入居した家族がおかしくなってしまったり、自殺しかけることが何度かあったらしい。それでみんな退居していくからすぐに人がいなくなる家だって噂されてたみたいだ。

 そんな家に6人家族が移り住んできた。家族構成は両親と四人の子ども(高校生の長男と次男、中学生の長女、小学生の三男)。子どもが一人多いけど、最初の持ち主と同じ家族構成だ。

 それが怪異にとって気に食わなかったんだろうね。次男以外を全員殺害した。それがきっかけになってこの怪異を発見したんだ。

 

▼インタビュー記録

 生き残った次男から話を聞くことが出来たからここに書いておくよ。私は白、被害者は被とするよ。

 

白「それじゃあ、この家で何があったのか聞かせてもらえるかい?〇〇君」

被「はい、これがアイツを消す助けになるなら」

白「うん、君の家族の仇は必ず取るよ」

被「…最初から嫌な家だなとは思ってたんです。父は安いし、大きいからって言ってたんですけど、日が当たらないところは一日中暗いし、誰もいないのに見られてる気がするし」

被「引っ越してすぐはそんな感じで、不気味ですけど、特に何もありませんでした。ただ、引っ越してから一カ月くらい経った時から妹がおかしくなり始めて。物置を怖がり始めたり、部屋に引きこもるようになって。あの時、アイツは妹を集中的に狙ってたんでしょうね」

白「それで、妹さんは?」

被「窓から飛び降りて自殺しようとしました。でも、助かったんです。足の骨が折れたくらいで、他に大きなけがはありませんでした。今思うと、あれはアイツが簡単には殺さないようにしたんでしょうね。…それがあってからは妹の様子が元に戻ったんです。あれだけ何かを怖がっていたのもなくなりました。…ただ、それはアイツの狙いが変わっただけだったんです」

白「狙いが変わった?」

被「はい、今度は父と母を狙い始めたんです。母は精神的に追い詰められていって、家族に当たるようになりました。父は何もないように振舞ってましたけど、だんだんとやつれていきました。そんな生活が続いたある日、弟が姿を消しました。家の中で突然にです。いくら探しても見つからなくて、母は狂ってしまったんじゃないかと思うくらいでした。でも、弟の声がしたり、廊下を走る音がしたりするんです。それに、母親が夜に弟の部屋に入っていって誰かと話しているんです。その部屋に入っても誰もいないのに」

被「二日後に兄が死にました。階段から落ちて、首の骨を折って。おかしいんですよ、階段が壊れる様子なんて一つもなかったのに、階段が一段壊れていて。それを見た父が笑ったんですよ。それを見て俺は家から逃げ出しました。あのまま家にいたら俺もおかしくなりそうで」

白「それで君は警察署に駆け込んだんだね?」

被「はい、兄が死んだこと、弟が行方不明になったことも全部話しました。それで警察と一緒に家に帰ったら、…みんな死んでました」

被「父はリビングで紐で首を絞めて死んでました。やせた腕で自分の首を絞めるのは時間がかかっただろうって警察は言ってました」

被「母は台所で包丁を使って全身を刺して死んでました。腕も脚も刺してない場所がないくらいで、最後に心臓を刺して死ぬまで苦しんだというのが一目で分かりました」

被「妹は部屋でベッドの角に首を刺して死んでました。ベッドの角は自分の歯で何度も噛みついて削ったみたいで、歯がぼろぼろになってました」

被「俺だけが生き残ってしまって。…そこにあなたが来て、これは怪異の仕業だって最初は何が何だかわかりませんでしたけど、話を聞いてたら俺の家族を殺したのはこの家にいる怪異のせいだって!…これで話は終わりです」

白「思い出すのも苦しいだろうにありがとう。君の家族の仇は必ず取ってみせるよ」

 

 これでインタビューは終わり。

 

▼駆除記録

 家を結界で囲って、「住喰」が時間も何も感知できないようにしてから形代を五枚投入。生前のあれと同じ家族構成の家族として生活をさせたよ。

 案の定、「住喰」は形代の家族を被害者と同じように襲い始めた。時間を感知できないからか、あれはすぐに形代を殺し始めた。

 父親役の形代が最後に殺された後、私が結界内に入って術を発動、あれに自分が被害者してきたことを経験をさせた。

 まさか自分がやられるとは思ってなかったんだろうね。あれの驚いた表情と言ったら、笑いが出てしまいそうだったよ。

 最後は被害者の霊をこっちに呼び戻してから好きなように復讐させて終わり。

 「住喰」はこの家の最初の持ち主の魂と噂が混ざったものだったからか、倒して根源札が出た瞬間に崩れ落ちた。

 この怪異が生まれた経緯に少し違和感があるけど、これでこの話は終わりだ。

 

▼事後処理

 生き残った次男と家族に最後の会話をさせてあげてから、私たちに関することについて記憶処理をしてこの件は終わったよ。

 この家は解体するように業者に忠告しておいたから新しい怪異が生まれることもないと思うよ。

 「住喰」が誕生した経緯については狐の方でもう少し調べてみることにする。これにはなんだか裏がある気がするからね。

 

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