名称:H村の八尺様
発生地:A県H村
危険度:人間に友好的な存在であるため判定せず
▼概要
八尺様はネット上でのやり取りが盛んになり始めたころに存在すると噂され始めた怪異です。
「ぽっぽぽぽっぽ」もしくは「ぼぼぼ」というような奇妙な低い声を発します。そして、その名の通り、八尺(240cm)ほどの身長をしており、白い服と白もしくは赤い帽子をかぶった女性の姿をしています。
この怪異は人間を魅入り、その人物を殺すものとされています。子どもや若い男性が狙われやすいと考えられています。
▼発生経緯
八尺様は全国で目撃されている存在であり、どこに出現してもおかしくはありません。
この個体も全国に八尺様がいるという噂を基に発生したものと考えられます。
▼発見経緯
H村の子どもたちの間で、白い服を着た見知らぬ大きな女性が遊んでくれるという話があることを聞いた村長が機関に報告をしたことで、その存在が発覚しました。
この村は以前に別の怪異による被害を受けており、村長と組織の間にはパイプが出来ていました。素早い発見に至ったのはこのためです。
▼接触記録
8月13日午前10時に対象個体との接触に成功しました。
村の大人たちで対象個体を目撃した人はいなかったため、村の子どもたちに案内をしてもらいました。
H村の最奥の神社に対象個体は存在していました。この個体はこちらに敵意を向けてこず、子どもたちにも危害を加える様子はありませんでした。
会話を試みましたが、こちらが問いかけを行っても、「ぼぼぼ」としか言葉を話さず、失敗に終わりました。ですが、子どもたちは対象個体との意思疎通ができる様でしたので、子どもを介して会話を行いました。
▼会話記録
楓乃宮「私は正常維持怪異収集機関の犬部隊隊員、楓乃宮詩織というものです。あなたはH村の八尺様で間違いないですね?」
八尺様(頷く様子を見せる)
楓「あなたはいつからここに存在しているのですか?また、失礼を承知の上ですが、怪異というものは基本的に人間を襲うものです。なぜあなたはこの村の人間を襲わないのですか?」
子どもA「お姉ちゃんはね、ずーっと昔からこの村に住んでるんだって!ぼくのひいおじいちゃんが生まれるよりも昔なんだって!すごいよね!」
楓「そんなに昔から…?おかしいですね、それでは噂が生まれた時期と合いません」
子どもB「お姉ちゃんはなにも食べなくても大丈夫らしいんです。いっしょにおかしを食べたりするときもあるんですけど、みんなにおぼえてもらっていたらなにも食べなくても大丈夫だって言ってて」
楓「覚えてもらえていれば大丈夫…。あなたはもしかして…」
八(そこから先を言わないようにという動作をする)
楓「わかりました。このことは報告書に記載するのみとします。そして、あなたについても危険性がないとのことを村長に伝えるようにします」
八(嬉しそうな表情になる)
▼事後処理
村長にH村の八尺様は危険性がなく、子どもに友好的な存在であることを伝え、この件は終了しました。
八尺様という存在はネットで噂が広まったものであるため、その存在が変質しやすく、その性格なども多岐に渡るものになっています。
最初に提示板に書き込まれたような、人を襲う個体もいれば、人間に友好的な個体もいます。今回のH村の個体は友好的な個体でした。
ここからは私の推測になるのですが、H村の八尺様の正体はおそらく、この村を古くから守ってきた神です。
この村は年々人口が減っており、神に集まる信仰も少なくなっています。以前にこの村を襲った怪異は信仰が少なくなったことによって神の保護が薄まったところに現れました。
それを憂う神が、自身の力のみでは顕現することが出来ないため、八尺様を器とする形で現世に現れた。もしくは八尺様に自身の力と記憶を渡し、この村の守り神の役割を託したのではないでしょうか。
この怪異について大人たちの目撃情報がないのは、力が弱まっていることで、神の子どもと言われる10歳までの子どもにしか感知できないためではないかと考えられます。
霊力を持つ私でもその姿を見ることはできても、会話をすることはできませんでしたから。
子どもと交流をすることで彼らから親しみやすい存在となり、少しでも多くの信仰を集めようとしているのではないかと考えられます。子どもたちにその正体を明かさないのは、自分の正体を知ったことで、子どもたちが自分と距離を持って信仰するようになることを避けたいためではないでしょうか。
H村の八尺様は私が見たところ、現在参番程度の力を持っているようでしたので、この村が怪異に襲われる可能性は低いと考えられます。
今後、あの村が無くなるその時まで、あの村に機関が向かうことがないことを祈ります。
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