カゲカゲの能力を持って生まれた件   作:カワンチャ

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第1話 ○○不在

 皆様は『僕のヒーローアカデミア』という作品を知っているだろうか?

 いや、このモノローグを見ている時点で問いかけるまでもないな。

 

 この世界はヒロアカ二次創作の1つだ。

 なぜ分かるかって?

 それは俺がヒロアカ世界に生まれた転生者だからだ。

 前世ではジャンプ漫画が好きだったので原作知識もバリバリある。

 唯一の心残りは『ワンピース』の結末を見れずに死んだことだな。

 

 こういう理由で俺は第四の壁を認識している。

 まあ認識できた所で意味はないんだがな。

 それに上位存在が思考(モノローグ)を見ていない可能性もある。

 

 それはともかくとして、話を前に進めようか。

 俺の名前は『月光(げっこう)守安(モリア)』だ。

 そして個性は『カゲカゲ』、その名の通り影を自由に操作できる。

 

 この名前と個性が意味することは1つ。

 王下七武海ゲッコー・モリアの能力を自由に扱うことが出来る。

 つまりクロスオーバー系の二次創作というわけだな

 しかも見た目は若い時のモリアにそっくりの凶悪フェイス。

 おかげでヴィランと間違えられることは日常茶飯事だ。

 

 そんな俺の目的は原作よりも良い結末を迎えることだ。

 皆様にとっては只の物語に過ぎないかもしれないが、俺にとっては紛うことなき現実なんだ。

 だからこそ原作が破綻する危険を冒してでも行動を起こす。

 

 というわけで俺は雄英高校ヒーロー科を目指す。

 都合の良いことに主人公達とは同年代だからな。

 つまり原作に介入するなら雄英入学以外の手はない。

 

 なぜ主人公達と同年代だと分かるのかって?

 それは()()と同じ中学だからだ。

 

「おはよ、モリア!」

 

「キシシシシシ! 今日も元気そうだな」

 

 目の前には透明人間の少女、葉隠透がいる。

 彼女とは同じ中学に通っている幼馴染だ。

 まあ偶然なわけないよな。

 カゲカゲの能力者が透明人間と縁があるなんて安直な考えだと思う。

 

「ねぇねぇ! 昨日のニュース見た? オールマイトがヘドロヴィランから同い年の中学生を助けたんだって!」

 

「ああ、俺も見たぜ。やっぱオールマイトはカッコいいな」

 

 ヘドロヴィラン、つまり原作が開始したということか。

 ……そろそろ動かないといけないな。

 

「透は進路を決めたのか?」

 

「もちろん雄英だよ! モリアもそうでしょ?」

 

「まあな」

 

「じゃあ今日も裏山で修行しよ!」

 

「キシシシシシ! 軽く揉んでやるよ!」

 

 俺が雄英に入学するにあたって色々と問題が発生する。

 それは○○不在が発生する問題だ。

 世界の修正力によってA組が21人になるかもしれないが、もしそうならなかったら最悪だ。

 なにせ本来なら合格できた人が俺のせいで不合格になるんだからな。

 目覚めが悪いなんてもんじゃない。

 

 そして生徒達の中で最も不在になりそうなのは個性的に透だろう。

 というか透明化の個性でどうやって入試を突破したんだ?

 ご都合主義的には砂藤や尾白あたりが不在になるんだろうけど、そんな保証は何処にもない。

 だから彼女を徹底的に鍛えることにした。

 これで幼馴染が不合格になるという最悪な未来を避けれるかもしれない。

 もちろん○○不在自体を発生させないように立ち回る気ではあるが。

 

「だけど明日は用事があるから参加できないな」

 

「もしかして浮気!?」

 

「そもそも付き合ってないだろ」

 

「今はね♡」

 

 俺達は通学路で他愛のない会話をしながら中学校へと向かう。

 雄英の偏差値は79を超えるので前世の貯金があったとしても一筋縄ではいかないだろう。

 だから全力で勉強する。

 

 そして放課後は裏山で透と共に戦闘能力を磨いていく。

 今の時点の彼女は並みの男ぐらいなら余裕で制圧できるだろう。

 やはり透明人間なだけあって攻撃の軌道が読みにくいのが厄介だな。

 でも模擬戦の度に全裸になるのはドキドキしちゃうので辞めて欲しい。

 ナニが当たらないように立ち回るのが本当に難しいんだ

 アブサロムのように服も透明化してくれよ。

 

 そんな感じで色々とありながらも明日になる。

 俺は用事を済ませる為に外出することにした。

 なんとかして○○不在問題を解消しないといけないからな。

 というわけで俺は新幹線に乗って目的地へと向かう。

 

「……ここが多古場海浜公園で間違いないな」

 

 多古場海浜公園、つまりオールマイトが緑谷出久を鍛える場所だ。

 そして今はヘドロヴィラン事件の後かつ休日なので確定でいるはずだ。

 

「ヘイヘイヘイヘイ、何て座り心地の良い冷蔵庫だよ!」

 

 想定通り、オールマイトと緑谷が公園の中心部にいる。

 というわけで俺は彼らへと近づく。

 すると彼らは此方の存在に気付いたようだ。

 

「こんな所にお客さんとは珍しいね。HAHAHA!」

 

「えっと……あの……僕とオールマイトはなんというか……その……」

 

 緑谷は驚きながら俺を凝視している。

 まあゴミばかりの公園に人が来るとは思うまい。

 それはともかくとして用件を伝えないとな。

 

「オールマイト、話があります」

 

「なんだい? サインなら幾らでも書いてあげるよ!」

 

「OFA関連についてです」

 

「「なっ!?」」

 

 俺の言葉にオールマイトと緑谷は衝撃を受ける。

 まあ得体の知れない少年がOFAの秘密を知っているはずがないからな。

 傍から見れば滅茶苦茶に怪しいが、これは必要なことなんだ。

 

「緑谷には話したくありません。だから物陰に来てください」

 

「……分かった」

 

 オールマイトは真剣な表情で此方へと赴く。

 さあ、ここからが正念場だ。

 

「君は何者なんだい?」

 

「俺は転生者です」

 

「ん?」

 

「俺は前世の記憶を持って生まれました。そして前世では『僕のヒーローアカデミア』という漫画がありました。その内容は緑谷という主人公がオールマイトの個性を受け継いで最高のヒーローになるという話です」

 

 原作知識は俺の手に余るのでオールマイト達にも共有することにした。

 1人で考えるより複数人で考えた方が良い結論は出るだろうしな。

 もちろんAFOに情報が渡らないように注意しなければならないので、隠し事が下手そうな緑谷には伝えない。

 

「つまり私達はコミックの中の住人だと?」

 

「限りなく近い世界だと認識しています」

 

「俄かには信じ難いね」

 

「証拠ならあります。例えば先代のOFA継承者の名前が志村菜奈で個性が浮遊であったことやサー・ナイトアイから凄惨な死を迎えると言われたことなどですね。ちなみにAFOは生きています」

 

 AFOを知っている存在は割といるが、先代継承者の詳細を知っているのはオールマイトとグラントリノとAFOくらいだろう。

 そしてオールマイトが死亡するという予言はヴィラン側も知らない。

 つまり原作知識があるという何よりの証拠になるだろう。

 

「……どうやら信じるしかないようだね」

 

「信じてくれて何よりです。そして原作知識によると、AFOによって社会は崩壊する。俺はそれを止めたいと思っています」

 

「……」

 

 それを聞いたオールマイトは古傷を抑えた。

 絶望的な情報だけど何とか咀嚼して欲しい。

 

「だから俺は緑谷と同じく雄英に行く気です」

 

「もちろん大歓迎さ! 将来有望なヒーローが増えることは良い事だからね!」

 

「しかし俺が入学したせいで本来なら合格したであろう人間が不合格になる可能性があります」

 

「それは……そうだね」

 

 ○○不在は物語なら受け入れられるが現実の話となると受け入れられない。

 だからこそ俺はオールマイトに提案を行う。

 

「だから1つほど要求させてもらいます。俺が合格した場合は定員を41人にしてください。これを原作知識の情報と共に根津校長へ伝えて欲しいんです」

 

「ああ! 任された!」

 

 こうすれば○○不在問題は起きないだろう。

 もちろんバタフライエフェクトにより別の人間が合格する可能性もあるが、そこは世界の修正力に期待するしかないな。

 

「そしてコイツは原作知識が書かれたノートです」

 

 重要な情報を忘れてしまわないようにノートには原作知識が記されている。

 そして、その写本をオールマイトへと渡した。

 いちいち口頭で説明するのは面倒だからな。

 

「じゃあ頑張って緑谷を育成してくださいね」

 

「ああ、君と雄英で会えることを楽しみにしてるよ!」

 

 こうして俺は多古場海浜公園を立ち去った。

 そこからはひたすらに努力の日々だった。

 死ぬ気で勉強をして死ぬ気で鍛錬を行う。

 ただ、それを繰り返す。

 そして遂にXデー、つまりは雄英入試の日が訪れる。

 

「ここが雄英か」

 

「凄い威圧感だね」

 

 俺達は目の前にある学び舎に圧倒されている。

 これが最高峰のヒーロー科のプレッシャーか。

 

「今まで積み重ねた努力が背を押してくれる。頑張るぞ」

 

「うん!」

 

 俺達は歩みを進める。

 


 

「知っていたとはいえ広いな」

 

 筆記試験を終えた俺は試験会場である模擬市街地にいた。

 プレゼントマイク曰く、実技試験のルールは10分の間に仮想ヴィランという名のロボットを倒しまくるというもの。

 仮想ヴィランにはそれぞれ1から3のポイントが付与されておりポイントが高いほど強い。

 更に、一定時間経過後にはステージギミックとして超特大の0P仮想ヴィランが襲来する。

 

「しかもコレと同じ規模の会場が敷地内に6つもあるのか……どんだけ金があるんだよ」

 

 そう言いながら俺は周囲を見渡す。

 同じ中学の透は当然として緑谷もいない。

 つまり自由に暴れても良いってことだな。

 

『ハイ、スタート』

 

 その言葉が聞こえた瞬間、俺は全速力で市街地を疾走する。

 原作知識が無かったら普通に対応しきれなかっただろうな。

 透は大丈夫かな?

 ……いや今は目の前の試験に集中だ。

 

『標的補足! ブッ殺ス!』

 

 目の前に1P仮想ヴィランが現れた。

 彼らの口が悪いのは過去にAIの反乱があった時の名残なんだっけ?

 それはともかくとして、ボチボチやりますか。

 

欠片蝙蝠(ブリックバット)!」

 

 影法師(ドッペルマン)から小さな蝙蝠の群れを形成して近くにいた仮想ヴィランに差し向ける。

 1匹1匹の攻撃力は大したことないが物量差で相手を圧倒するのが、この技の強みだ。

 そして目標を撃破したことを確認してから再び駆け出す。

 

『ニンゲン……怖ッワ』

 

 カゲカゲの能力を活用して順調に仮想ヴィランを倒していく。

 だがヒーローの仕事は敵を倒すだけではない。

 

「助けてくれェッ!」

 

「近寄るなァ!」

 

 試験開始から数分もしない内に市街地から悲鳴が聞こえ始めた。

 雄英の入試倍率は300倍なので物見遊山の受験生も割といる。

 そして彼らを助ければ救助Pを獲得できる。

 なので俺は欠片蝙蝠(ブリックバット)でソレを助けていく。

 ついでに仮想ヴィランもハイエナさせて貰った。

 まさしく一石二鳥だな。

 

「たっ……助かったぁ!」

 

「ありがとう!」

 

 受験生達に軽くを手を振り返して次々とポイントを稼いでいく。

 なにせ目標は入試首席なんでな。

 常にトップを狙う者と狙わない者の差は大きいってオールマイトも言っていた。

 

『あと5分~』

 

 プレゼントマイクの声が響き渡った瞬間、市街地の中央から轟音が鳴り響く。

 

「……遂に来たか」

 

 轟音と共に現れたのは訓練場のビルよりも大きな規格外の0P仮想ヴィランであった。

 そしてヤツは8つの赤いモノアイを光らせながら此方へと近づいている。

 

「デカすぎんだろ……」

 

「洒落にならんっ!」

 

「逃げろ逃げろッ!」

 

 他の受験生達は逃亡を開始したが俺は逃げる気はない。

 やはり定員を41名にしろという我儘を言った以上は相応の強さを見せないといけないよな。

 

角刀影(つのトカゲ)!」

 

 0P仮想ヴィランの振り上げられたアームが暴力を生み出すよりも早く、鋭利な角に変形した影が相手の脳天を貫いた。

 流石に古代巨人族の身体を貫くほどの威力はないが、脆いロボットの装甲なら簡単に破壊できる。

 そして急所を損傷した仮想ヴィランは後ろ向きに倒れ込む。

 つまり討伐完了だ。

 ……ステージギミックとはいえ装甲が脆いので倒されることも想定済みなのだろうな。

 

「アイツ、0Pを倒しやがったぞ!」

 

「倒してもポイントにならないのになんでだ?」

 

「まあ……助かりはしたな」

 

 近くにいる仮想ヴィランの殆どは倒されてしまった。

 なので俺は残り時間で瓦礫に巻き込まれた人間を影法師(ドッペルマン)と一緒に助けていく。

 そして実技試験は終わりを告げた。

 後は合格を待つだけだな。

 

「モリア、テストはどうだった?」

 

「もちろん余裕だった。後は首席になるだけだな」

 

「おお! 凄い自信!」

 

「透はどうだった?」

 

「それなりに仮想ヴィランは倒せたんだけど、途中で他の受験生を助けちゃったから合格できるか分からないかも……」

 

「人助けするなんて立派だな」

 

 ちなみに透には救助Pのことは伝えていない。

 伝えても伝えなくても彼女なら人を助けるだろうからな。

 俺は彼女を信用している。

 

「それに滑り止めは受かってんだろ? なら中卒は免れたでしょ」

 

「他人事!」

 

「まあ透なら大丈夫さ。雄英で会おうな」

 

「それって春になるまで会わない宣言? 近所なんだから頻繁に家に来てよ!」

 

 やれることは全てやった。

 後は待つだけだな。

 まあ皆様がコレを見ているってことは合格しているんだろうな。

 そうでもしなきゃ話が始まらないだろう?




 原案では個性『ハーメルン』というタイトルでした。
 内容はハーメルンを閲覧できる個性を持った主人公が『実際に書かれた感想』に反応するという内容でしたが、感想が来なかったら企画倒れになるという理由で没にしました。
 第四の壁を認識しているのはその名残です。

映画編を入れるかどうかのアンケートをさせてください!

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