カゲカゲの能力を持って生まれた件 作:カワンチャ
「ここが雄英か」
「大きいね!」
季節は春になった頃、制服に身を包んだ俺達は雄英高校の前にいる。
前回は運命を決める場としての威圧感を放っていたが、今は俺達を受け入れてくれる温かみを感じる。
もちろん俺と透は雄英入試を突破した。
しかも合格通知の映像でオールマイトから『約束は果たしたよ、月光少年! そして首席合格おめでとう!』と言われたので、○○不在になることはないだろう。
つまり大勝利である。
「緊張で顔が青くなりそう!」
「透明だから分からないだろ」
他愛のない話をしながら俺達は自らのクラスである1-Aへと向かった。
「ドアでかっ!? モリアでも余裕で入れるじゃん!」
「バリアフリーってやつだな。キシシシ!」
ワンピース世界の能力を持っている影響かは知らないが俺の身長は2mを余裕で超えている。
ちなみに肉体も鍛えているので今のゲッコー・モリアみたいなデカらっきょ体型ではない。
どちらかというと全盛期のモリアに近いな。
「じゃあ行くか」
俺達は教室の中へと入り自分の席に座った。
ちなみに場所は窓際の一番後ろ、つまりは主人公席である。
誰かと話す空気でもなく待機していると、いきなりドアが荒々しく開き、そこから爆豪勝己が入ってきた。
彼は自分の席に移動すると自分の机に足をかける。
知っていたとはいえ初日でこれをやるなんて怖すぎるわ。
そして飯田と爆豪が揉めたり、緑谷と麗日が到着するなどのイベントがありつつも担任の相澤消太がやってきた。
「早速だが、体操服を着てグラウンドに出ろ」
戸惑う生徒達を残して相澤先生は教室を退出する。
生徒達も先生がいなくなって困惑しながら体操服を持って更衣室に急ぐ。
ちなみに緑谷は俺の事を覚えていたようで驚きながら此方を凝視していたので『詳しいことは、お前の師匠に聞きな』と言っておいた。
オールマイトなら良い感じにはぐらかしてくれるだろう。
そしてグラウンドへ集合した俺達は相澤先生にテストを行うと言われた。
「「「個性把握テストォ!?」」」
「入学式は!? ガイダンスは!?」
「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事に出る時間ないよ。雄英は
いきなりジャージ姿にされて始まったのは個性をフルに活用して良い体力測定だ。
そして相澤先生は此方に近づいてきてボールを渡す。
「月光、個性を使ってコレを投げてみろ。円から出なきゃ何してもいい」
「了解!」
普通に投げたら90m前後が関の山だろう。
だが個性を使うのなら話は別だ。
「
俺はボールを咥えたミニ蝙蝠を射出する。
これにより影の射程限界までボールを飛ばせるだろう。
そして少し経つとボールが地面に落ちた。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
相澤先生はそう言って計測器を俺達に見せる。
そこには503mと表示されていた。
「なんだこれ! すげー面白そう!」
「500mってマジかよ」
「個性を思いっきり使えるんだ。流石はヒーロー科!」
クラスメイト達は面白そうと盛り上がるが、相澤先生がトータル記録最下位は除籍にすると言い始めたことで沈静化する。
緑谷なんか震えちまっているぜ。
「生徒の如何は先生の自由、ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ」
長髪を捲り上げる相澤先生を見て俺と爆豪は笑う。
こうして個性把握テストが始まった。
「最下位は除籍だって! どうしようモリア!」
「どうもこうも全力を出すしかないな」
「でも私ってば透明になるだけだよ……」
どうせ除籍にされないと分かっているので俺は余裕綽々だ。
まあ2年生は全員が除籍にされたらしいけどな。
いったい何をしたら、そんなことになるんだ?
「まあ、なんとかなるだろ」
第1種目:50メートル走
これはゴール地点に
こうすることで記録は1秒を下回った。
明らかに走ってないような気がするが気にしてはいけない。
相澤先生も何も言ってないしね。
「影と体が入れ替わった!?」
「ボール投げの時も蝙蝠を飛ばしてたよな」
「いったい何の個性だ?」
クラスメイト達は俺の個性に疑問を抱く。
ならば彼女に説明してもらうことにしましょうか。
「モリアの個性は影の使役だよ」
「今更だけど服が浮かんでいる!?」
「あ、ごめん! 私は葉隠透。個性は透明化! 影薄いけどよろしくね!」
「「「そもそも影がねぇ!!」」」
ちなみにコレは透の鉄板ジョークである。
ツッコんで貰えて透は少し嬉しそうだ。
そんなこともありつつ次の種目となった。
第2種目:握力
単純に影と一緒に握力計を握ればいい。
これにより2倍のパワーを発揮できる。
第3種目:立ち幅跳び
50m走と同じく射程ギリギリに影を配置して入れ替える。
つまり記録はボール投げと全く同じだ。
だが、この記録はボール投げよりはスコアが高い。
第4種目:反復横跳び
個性の活かしようがないので普通に素の身体能力で跳んだ。
まあトレーニングを怠っていないので並みの人間以上の記録は出た。
第5種目:ソフトボール投げ
これは既に投げたので俺は休みである。
そして原作通り緑谷は指だけでOFAを発動して大記録を叩き出す。
ちなみに透はソレを見て焦っていた。
第6種目:持久走(5km)
これは5周も走らないといけないので影の入れ替えを駆使しながら全力で走った。
まあ八百万や飯田には及ばないが好成績ではあっただろう。
第7種目:長座体前屈
「影革命!」
この技は影の形を自在に操ることで実体の形を変えてしまう技である。
要は『影は体と同じ形に変わる』という常識を反転させたのだ。
これにより腕はゴム人間のように伸びていき規格外の記録を叩き出す。
「あり得ねェだろ、影の性質上……」
「キシシシ! 油断したなぁ! 影とはこういう存在だァ!」
「そうだったのか! くそォ……!」
上鳴のツッコミに俺はそう返す。
本当にノリの良い男である。
最終種目:上体起こし
この種目は影に引っ張ってもらうことで割と良い成績を残せた。
とはいえ他の種目に比べたら、どうしても見劣りしてしまう。
こうして個性把握テストが終わった。
「んじゃ、パパッと結果発表な、口頭で行うのは時間の無駄なので一括で開示する」
相澤先生がタブレットを弄り結果を投影する。
「ちなみに除籍は嘘な。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
「「「はー!!?」」」
「少し考えれば嘘だってことくらいわかりますわ……」
そんなこともありつつ俺は自身の成績を確認する。
総合順位は2位、つまり八百万の1つ下か。
やはりボールを大砲で発射したり、万力で握力を測ったり、バイクでグラウンドを疾走したりするのと競り合うのは無理があるよね。
ちなみに葉隠は16位であった。
多分原作よりも成績が良いということだよな?
詳しくは覚えていない。
「これで今日は終わりだ。クラスに資料が届いてるので目を通しておけ、あと緑谷はバーさんのとこ行って治してもらえ。そして月光は放課後に校長室に行け。明日からもハードだぞ。以上、解散」
原作通り緑谷はリカバリーガールに、そして俺は根津校長に面会すると。
十中八九、原作知識の件についてだな。
というわけで教室に戻り教科書と書類を回収し校長室へと向かう。
そこには校長とオールマイト(トゥルーフォーム)がいた。
「やぁ、
「いえいえ、校長とオールマイトに会えて光栄です」
「そう言って貰えると嬉しいのさ。それでは本題に入ろうか。原作知識についてだけど、私としては全面的に信じようと思うのさ。現に君のノートに書かれてあった生徒の名前と今年の合格者の名前と個性が完全に一致していたからね」
「ありがとうございます!」
B組も原作通りのメンツなんだな。
おそらく世界の修正力というヤツなのだろう。
「ところで……この情報は私達以外に言ったことはあるかい?」
「いえ、オールマイト以外には言っていません。社会に露見したら色々と問題が起きますからね」
原作知識が露見したことによるリスクは3つほど存在する。
1つ目はAFOに原作知識を悪用されること。
2つ目は転生という概念を知ったことにより『来世に期待』という動機で自殺者が増えること。
3つ目は二次創作の中だと自覚したことによる精神的な動揺だ。
まあ情報漏洩が起こったとして誰も信じないだろうが、念には念を入れてオールマイト陣営以外には開示しない。
「賢明な判断をしてくれてありがとう。此方も限られた人間以外には開示しないつもりさ。そしてノートによると近いうちにヴィラン連合によるUSJ襲撃が起こるようだね」
「そうですね。ですが、ここで死柄木弔を捕縛するのは反対です。なぜならAFOが作戦を変更してくる可能性が高いからです。AFOを捕まえてから死柄木を捕縛するべきかと」
「それは同感なのさ」
死柄木以外にも次のAFO候補を用意している可能性は高い。
原作でも荼毘というスペアがいたくらいだしな。
「ですが同級生を危険に晒したくありません。なのでUSJにヒーロー達を結集させるのはどうでしょうか?」
「大々的に行うとヴィラン連合サイドが計画を変更する可能性があるのさ」
「ならばコッソリ警備を高めるのは?」
「それだと内通者である青山くん達がAFOに報復を受ける可能性があるのさ。原作通りオールマイト、イレイザーヘッド、13号くん達だけで対処してもらおうと思うのさ」
ヒーローは守る者が多くて大変だな。
とはいえ原作通りの戦力なら彼らだけでも対処できるだろう。
問題は二次創作特有のオリジナル脳無が出てくることだが……それは俺が対処するしかないな。
脳無にとってカゲカゲの能力は天敵だしな。
「オールマイト、襲撃の日は遅刻しないようにね。雄英周辺のヒーローも増員済みだからね」
「もちろんです!」
これで最初からオールマイトがいるという状況が出来上がった。
「他の件は後日、話し合うということでいいですか? 俺が介入したせいで未来が変わる可能性もありますんで」
「ああ、それで構わない。じゃあ今日の所はここまでしよう」
「では、失礼しました!」
というわけで俺は校長室から去った。
そして近くの廊下には透がいる。
もしかして待っていてくれたのか?
「校長先生と何を話してたの?」
「……入試首席を祝われた。本来なら入学式で生徒代表としてスピーチするという栄光を無くして申し訳ないと言われたよ」
「へぇ~」
例え幼馴染だろうと原作知識は開示しない。
どこに耳があるか分からないからな。
「じゃあ帰ろうか」
「うん!」
というわけで俺達は下校することにした。
「それにしてもビックリしたよね」
「まあ除籍されるわけないよな。せっかく入試で篩をかけたのにソレを無駄にするわけがないし」
「おお、賢い!」
「実際、俺の方が頭が良いしな」
「サラッとディスられた?」
「キシシシ! 半分冗談だ」
「もう半分は本心ってことだよね!」
こうして俺達は下宿へと帰還する。
地元である東京から登校するのは色々と無理があるからな。
なので雄英の近くにある下宿を借りたのだ。
ちなみに透は念願の一人暮らしに喜んでいた。
さあ、明日も気を抜けないぞ。
全力で取り組んでいこうか。
初期案では人間はゾンビにするのは法的にアウト、ならば人権の無いオカメインコ(空を飛べて、小さくて、喋れる)をゾンビ化させようと思ったんですが、読者がドン引きするので没にしました。
映画編を入れるかどうかのアンケートをさせてください!
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入れたのが見たい!
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本編だけ追いかけるのでOK!
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