噂の飛び交う学校へ転生した 作:ブラックホール
転生しました。
一之瀬の中学時代。
それも事件を起こした後の事です。
気がついたら教室にいた。何処かの中学校みたいだ。
周りを見ると中学生らしい服装の生徒が座っている。
どうやら4時間目の授業らしい。教科書を見ると中学3年生の後半の内容だった。時期は体感10月くらいだろうか。
休み時間になった。
俺は1人で昼食を食べていた。
周りの席からこんな声が聞こえてくる。
「ねえ、一之瀬さん、万引きしたらしいよ」
「優等生かと思ってだけど違ったね〜」
「生徒会副会長が怒ってたよ。生徒会の仕事が全部俺に回って来たって」
「うわっ、酷い話だよな」
どうやら万引きした子がいるらしい。一之瀬って言うんだ。俺の推しのキャラと同じ名前だな。原作途中までしか読んでないけど。
俺はぼんやりとその話を聞いていた。
噂にはあまり興味がわかなかった。
俺は数日の間普通に学校に通っていた。
転機は直ぐにきた。
この身体になって3日経ったある日。調理実習で俺は手を切ってしまい保健室に行った。
「すみません、手を切ってしまいました。あれっ?」
保健室に行ったが先生はいなかった。
ベッドの1つにカーテンがされてる。
誰か眠っているのだろうか。
仕方無く適当に漁って絆創膏でも探すことにする。
「絆創膏…どこだ」
「絆創膏探してるの?」
そちらを見るとカーテンが開いていた。
「あっ」
「えっ」
1人の少女が俺の方を見ていた。俺はその顔を見て驚いた。
「えっと…き、君は…」
「っ…」
直ぐにカーテンを閉めてしまう少女。
俺は慌てて駆け寄った。
「ご、ごめん、絆創膏の場所だけでも教えてくれないか?」
俺がそう言うとカーテンからそっと顔を覗かせた。
そして指さした。
あそこか…
「すまない。ありがとう」
「大丈夫だよ」
そう言う少女だが俺に怯えている。
何かを恐れている。
俺は深く関わらない事にした。
そのまま保健室を出る。
「……」
少しだけ、振り返ると少女は俺の方を見ていた。
手を振ってみる。
すると少し目を見開いてそっと振り返してくれた。
そのまま授業に戻った。
「似てる…」
あの少女は俺の前世の推しのキャラに似ていた。
体育の授業になった。俺は再び保健室に来ていた。
目的は勿論あの少女に会う為だ。頭痛を言い訳に休んだ。
「ベッドで休みなさい」
保健室の先生はそう言うと保健室を出て行った。
俺は再び少女のいるベッドに近づいた。
「また来たよ」
俺がそう言うとカーテンが開いた。
「長州君どうしたの」
「授業をサボってきた」
「どうして?」
「休みたくなったんだ」
「ふふっ、駄目だよ休んじゃ」
「君だって休んでるじゃないか」
「にゃははっ、そうだね」
少し緊張がほどけて来たのか笑う彼女。
「俺の名前知ってるんだな」
「名前覚えるのは得意だから、長州未音君♪」
「そうなのか?」
「そうだよっ」
笑ってる彼女。やっぱり似ている。
思い切って言ってみる事にした。
「それで?一之瀬さんは大丈夫なの?」
俺がそう言うと彼女は少し驚いた表情をする。
「私の名前知ってたんだ」
「そりゃ知ってるよ、帆波さん」
「あはははははっ、下の名前で呼んじゃうの〜?」
「呼んで良いなら呼ぶ」
笑いながら会話する彼女を見て確信する。この少女は前世で俺の推しのキャラだ。
一之瀬帆波。
容姿端麗で学業も優秀な生徒。
原作でもメインキャラの1人で他クラスのリーダーとしてもヒロインとしても活躍してきた。
その一之瀬帆波が俺の前にいる。
そして今俺達は保健室にいる。
そう、これは一之瀬が中学時代に起きた事件。
妹のヘアクリップを万引きした後、不登校になり、少し回復して保健室登校になった時である。
(えっ…俺どうすれば良いの?)
既に事件が起きてるこの世界で俺は何をすれば良いのだろう。
もう詰んでそうな気がする。