噂の飛び交う学校へ転生した 作:ブラックホール
Aクラスの5月1日です。
前半は…
朝起きてポイントを確認する。
携帯にはAクラスで連絡先を交換した仲間からのメールが来ていた。1つ1つ取り敢えず返信する。
そんな中、彼女からもメールが来ていた。
『おはようっ、長州君の言った通りポイント変動したねっ』
直ぐに返信する。
『おはよう、俺は少しだけ減らされてた。そっちは?』
送信して間もなくピロンと音が鳴る。直ぐに返ってきた。
『私もだよ〜。もしかしたら長州君より貰うポイント多いかもよっ』
どうやら彼女のクラスも大量にポイントを残したらしい。俺と違って彼女は全て口頭での説明のみでSシステムをクラスに説明したはずだった。にも関わらず大量のポイントを残したらしい。
マジか。俺の負けか?
いや、葛城と坂柳の支援があって今のポイントだからまだ諦めるのは早い。『俺も自信あるぞ』と返信すると『にゃははっ、なら学校が楽しみだねっ』と返ってきた。
着替えて身支度をする。
登校中、1年生はポイントの話で持ちきりだった。5万くらいしか振り込まれてないと言うグループ。全然振り込まれてないと言う集団。少し減ってると言う者多数。
1年生の教室の前を通る。Dクラスは案の定振り込まれてないようだ。「学校のミスじゃね?」と言ってる人達が多数だった。
Bクラスの前を通ると集団が出来ていた。恐らく一之瀬が皆に囲まれてるのだろう。色んな声が聞こえてくる。
教室に入る。席に着くと神室が待っていた。
「おはよう。あんたの言ったとおりだったんじゃない?」
「そうみたいだな。ガセネタじゃなくて良かったよ」
「そうだったとしても笑われるだけで済むでしょ」
「まあな」
神室と雑談してると何人かが俺の方に近づいて来た。
その先頭にはスキンヘッドの男。葛城派の一同だ。
「長州、情報提供感謝する。我々Aクラスは大きくポイントを減らすこと無く今月を迎えられた」
「偶々だ。今月もAクラスだと良いがな」
「そうだな。喜ぶのはまだ早いか」
葛城派の人間を見る。その数既に10人以上。能力面であまり自分に自信の無い者や、戸塚のように忠誠心の高い者が集まっている。面倒見の良い葛城の性格が表れてる。
程なくして全員が登校した。坂柳も来た。
坂柳と言えば…
「神室」
「何?」
「急なんだが、お前坂柳に何かされなかったか?」
小声で神室に話し掛ける。
原作だと恐らくこの頃には神室は万引き現場を坂柳に目撃されて手駒になっていたはずだ。しかし今日まで神室と坂柳が一緒にいる様子を見かけない。
「何って、何もされてないけど?」
「そうか、なら良かった」
「どういう事?」
「ああ、いや、深い意味は無いんだ」
「あんたやっぱり坂柳に変なこと言われたんじゃない?私がしめてあげようか?」
しめるって何するつもりだろう。
俺は取り敢えず何とか誤解を解いた。
う〜ん、神室の変化は何が原因だろう。隣人なだけあって4月、俺と神室の関わりは多かった。
この1ヶ月俺が神室にしてきた事…
・一回だけ目撃した万引きをやめさせて、翌日から万引きの代わりに俺のプライベートポイントと引き換えに2年生のトイレや食堂で先輩の会話を盗み聞きと言う名の調査(俺自身も並行して調査した)をやって貰った。
・俺が部活に行こうとしたら空手部やサッカー部の先輩が1年Aクラスの教室で待ち構えていてプライベートポイントの賭け事を吹っかけて来た時に心配?した神室がついて来て先輩との勝負を見ていた(試合は身体能力と技量で勝る俺の完勝)。
…ぐらいしか思いつかない。神室の事だから俺に隠れてこっそりと万引きしているイメージがあるのだが。
間もなくチャイムが鳴った。同時に真嶋先生が教室に入ってくる。
「おはよう。Aクラスは全員揃ってるな。早速だが何か質問はあるか?」
「先生、今日振り込まれたポイントについて説明して頂けますか」
坂柳が全員の意見を代弁する。
「そうだな。その質問に答える前にまずはこれを見てもらいたい」
真嶋先生はそう言って厚手の紙を黒板に広げる。
Aクラス 980cp
Bクラス 950cp
Cクラス 500cp
Dクラス 0cp
危ない。結構ギリギリの勝負だった。俺1人の説明だったら負けてたかも。彼女は口頭での説明だと言うのに差はこれだけ。カリスマの差を肌で感じる。
それから真嶋先生はSシステムとAクラスから優秀な順にクラス分けがされてる事を説明した。
その説明を受けたAクラスの内心はBクラスは絶対に負けたくない最大の強敵、Cクラスは格下、Dクラスは眼中に無いと言ったところだろう。
テストの結果が張り出された。
坂柳有栖 100
長州未音 100
葛城康平 90
……………… ……
……………… ……
……………… ……
……………… ……
最下位は60点程、Aクラスにも学力が低めの人は居るようだ。アルファベットで判定するとDといったところか。神室を含めた大半は80〜85点。最後の3問以外はほぼ解けたといったところか。
一瞬、坂柳が俺を見た気がした。恐らく成績が優秀な俺を手駒にでもするつもりだろう。少なくとも
先生が退出するとクラスはピリついた雰囲気となった。Bクラスとの差が少なすぎる。これでは緊張が高まるのも当然だろう。仕組んだのは俺だが。
葛城が立ち上がった。早速方針を決めるつもりのようだ。
「クラスの皆。たった今真嶋先生に説明された内容から考え、今後我々は他クラス、特に隣のBクラスからAクラスの地位を狙われる事になる。そこで早速今後の方針を決めたい」
全員が葛城に注目…いや、坂柳派の何人かは無視している。
明確に敵対している様子は無いが、彼らにとってのリーダーは既に葛城では無いようだ。
「我々は卒業までAクラスを守り抜かねばならない。それにはこの学校が用意する試験を順調に突破する必要がある。そこでだ。次の中間試験で学年1の成績を叩き出す為に俺は勉強会を開こうと思う」
その目が俺と坂柳を捉える。
「坂柳、長州、2人には是非勉強会に出てもらいたい。小テストの結果は見事だった。是非参加して貰えると心強い」
「そう心配なさらず、私の方でも勉強会を開く予定です。長州君はどうなされますか?」
暗に坂柳が葛城とは別に勉強会を開くと伝える。坂柳と葛城、更には両派閥の生徒の視線が俺に集まる。小テストの点数調整しておくんだった。
「…2人の勉強会に交互に参加する。勉強会に出られない人達も分からない事があったら俺に聞きに来て貰いたい」
「そうか、頼んだぞ」
「よろしくお願いしますね」
葛城兎も角、坂柳からは勉強会で成果を出せとプレッシャーが掛かってくる。これから更に2つの派閥に別れて内紛すると思うと気が重たい。
この場に一之瀬が居れば事前に内紛を防げたのだろうが。Aクラスに居ればな。
もう一声掛けておくか。
「それと、俺と神室の方で過去問を用意しておく。試験3日前になったら全員でこれを使って勉強しようと思う。2人もそれで良いか?」
「構わない、わざわざ入手してくれる事に感謝する」
「…良いでしょう、………成る程」
坂柳の様子からして既に気付いてる様子だ。流石、成績と知性だけでAクラスを名乗るだけの事はある。
勉強会の開催を予定したAクラスはその場で解散となる。
間もなく授業が始まった。
男子寮の一室。
「うにゃ〜」
一之瀬がテーブルに突っ伏していた。2つの大きな物が横にはみ出している。
「はい、これアイスココア」
「ありがとー」
一之瀬はそう言って飲み干した。糖分が欲しくなるほど疲れていたようだ。今日1日Bクラスで揉みくちゃにされた様子。
「リーダーになったんだって?Bクラスは大変そうだな」
「にゃははっ、そんな事ないよ〜、皆良い子ばかりだよ〜」
「それ言い換えると没個性だろ。俺の中で全ての役割が一之瀬に集中しそうな印象がある」
「うにゃっ?流石にそんな事は…ないと…思う」
心当たりがある様子。神崎、ちゃんとフォローしてるか?会ったこと無いけど。
「何かあったら俺に相談してくれ、一之瀬が目立ったのはある意味俺のせいだからな」
「そんな事ないって、長州君が教えてくれなかったらもっと小遣い減ってたと思うよ〜」
「…これから一之瀬は大変になると思う。Bクラス見た感じ何でもかんでも一之瀬に頼って来そうな雰囲気が出てる」
「…平気だよ…」
疲れた様子のまま一之瀬は呟く。
そう言えば…
「生徒会は入ってないよな?」
「うん、ちょっと無理があるかな。クラスと両立は難しそうだよ」
「それが良いと思う。そうしてくれ」
生徒会への加入は希望してない様子だ。
クラスの事で手一杯で生徒会に入る気力が無くなった様子だ。
良かった。いや良くは無いけどこれで南雲に弱みを握られる可能性が減ったぞ。
「それにね…」
「ん?」
「私、大切にしてる時間があるの」
頬を赤らめながら呟いた。その綺麗な瞳が此方を見る。
「それはね、長州君と一緒にいられる時間だよ」
思いっきりハートをぶち抜かれた。今すぐにでも彼女を抱き締めたくなってしまう。
視界が眩んだ。
「にゃっ、長州君///」
気づいたら俺は一之瀬を横から抱き寄せていた。
「一之瀬」
「な、何?」
「今すぐベッドに入ろう」
「にゃっ、な、長州君…」
そのまま一之瀬を抱き抱えてベッドに乗せる。そのまま彼女を仰向けに倒してしまった。
「な、長州君//あっ//」
首まで真っ赤にしてる一之瀬を見下ろした。
そしてそのまま顔を重ねた。
「んっ」
深い口付けをすると一之瀬は俺の頭に手を回した。そのまま暫くの間重なっていた。
「んっ、ぷはぁ」
一之瀬を離す。その頭を撫でると嬉しそうに笑った。可愛い。
「ねえ、もっとして…」
そう言った一之瀬に俺は再度覆いかぶさった。
勉強会は順調だった。坂柳には派閥の全員に満点近くを取らせるように言われた。坂柳派は比較的地頭がいい人達が集まっているのでそこまで教えるのに困らなかった。
葛城派は少し大変だった。戸塚が勉強が苦手であり、彼が俺がいる時は葛城に付きっきりだったため、俺が他の人達ほぼ全員の勉強を見る事になった。葛城は嫌な顔1つせずに彼らと向き合っていた。
中立の人達や神室にも勉強を教えながら、寮に戻ったら一之瀬が待っている。そんな充実した時間を過ごしていた。
そんな中とある噂が流れ始めた。
CクラスがBクラスを執拗に付け回しているとの噂だ。
一之瀬の話を聞くと白波のような気の弱い生徒にガン付けたり、図書室で勉強していると後ろを何度も通ってわざとぶつかってきたりと執拗に接触している様子だ。
何とか一之瀬と神崎が間に入っているが執拗に攻撃してくるCクラスにBクラスのフラストレーションは溜まっていった。
BクラスにとってAクラスとの差を縮めようとしているところに第三者の邪魔が入った為、彼らのストレスが溜まるのは当然だった。
そして、遂にCクラスはある方法でBクラスを攻撃してきた。
とある噂を流し始めたのだ。
『Bクラスのリーダー、一之瀬帆波は不正をしてクラスポイントを残した』
そんな噂がAクラスやDクラスにまで聞こえてきた。
駆け足になってしまう。
原作の理解度が低いとこんな感じになってしまう様子。