入学試験でデルタアクセルするとどうなるのか!!   作:交響魔人

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襲来!海馬社長&ペガサス会長!

「…シンクロ召喚?なんだそれは。」

「はっ。こちらを…。」

「ふぅん。」

 

 

 海馬は報道されたデュエル中継の録画を見る。

 

「河豚田、こいつの経歴を調べろ。」

「はっ。デュエルアカデミアの入学試験に来た生徒です。」

「妙だな。そもそもプロデュエリストを倒せる実力者が、今更デュエルアカデミアへ入学しようとする?」

「それは…。」

「まぁいい。行くぞ、コイツには直接聞き出さねばならんことが多すぎる。」

 

 

 同時刻。

 インダストリアルイリュージョン社でも事態は動いていた。

 

 

「ワッツ?シンクロ、召喚?」

「はい、会長。とても斬新な召喚法です!ワールドリーグからの問い合わせがひっきりなしです!」

 

 自分が引き取ったペガサス・ミニオンズの一人にそう言われ、ペガサス会長は目を見開く。

 

「ワールドリーグ?一体何が起きたというのデスか?」

 

 

 中継内容の録画をペガサス会長は見る。

 

 

「…ヘリを。直接彼に聞き出さねばなりまセーン。」

 

 

 

 この時、デュエルモンスターズ界の二大巨頭が同時に一人の少年がいる場所へ直線距離で向かっていた。

 

 

 

 

 報道陣をホテルから追い返した影丸理事長の部下達は、エントランスで一息つく。

 

 

「ようやく収まりましたね。」

「いや、まだ一人残っている。」

 

 飄々とした男が素早く動くと、一人の中年男性の腕をつかむ。

 

「うおっ!」

「ジャーナリストか。その様子だと、さしずめフリーだな?」

「くっ!」

「取材の申し込みならアポイントメントを取ってからだ。ルールを守れないなら、出禁処分にするしかないなぁ?」

「報道の自由があるんだぞ!」

 

 

 言い争っていると、理事長の部下が息を切らせて駆け込んでくる。

 

 

「た、大変です!主任!招かれざる客が…」

「追い返せ。アポなしで突撃するなど、ろくでもない連中に」

「それが、海馬瀬人とペガサス・J・クロフォード氏です!」

「っつ!丁重にお迎えしろ!多少時間をかけても構わ」

 

 

「どけ、貴様ら。」

 

 黒服を押しのけて迫ってくる人物を前に、主任は観念する。

 

 

「これは海馬社長にペガサス会長。アポイントメント無しでお越しとは。一報入れておいて頂くのが礼儀では?」

「ふぅん。貴様などに用はない。シンクロ使いを呼んで来い。」

 

 

 騒ぎを聞きつけたらしく、上層階から降りてくる龍道。

 それに主任が最初に気付く。

 

 

「龍道様。申し訳ございません。」

「要件は、大体察しがつきます。シンクロ召喚について聞きに来られたのでしょう?」

 

 

「当然だ。」

「それらのカードを渡して頂きマス。よろしいですネ?」

「デュエルディスクが反応する以上、正規のカードです。それでも渡せと言うなら、デュエルで決めましょう。」

「ふぅん。妙なカードを持っているから調子に乗っているようだな。」

「ルールは、変則タッグ。先攻は俺、次に海馬社長、最後にペガサス会長。そして俺。ライフポイントはそれぞれ4000、先攻の俺は攻撃出来ませんが、お二方は攻撃可能。これでどうでしょう?」

 

 その変則ルールに、二人はかなり剣呑な表情を浮かべる。

 

「随分とこちらが有利デスが?」

「これでこちらが勝てば、お二方は今後、直接及び間接的に私からカードを奪おうとしようとしない、と約束して頂きます。そちらが勝てば、全ての指示に従います。そこに、第三者もいらっしゃるようなので見届けて頂きましょう…。お名前は?」

 

 

 フリーのジャーナリスト、国崎に視線が集中する。

 その余りの圧に、思わず本名を口走ってしまう。

 

 

 

「く、国崎 康介…」

「では、見届け人、よろしくお願いします。始めましょう。」

 

 

 

『『決闘!』』

 

 

龍道 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

海馬 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

ペガサス ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「俺の先攻、ドロー。手札からエフェクト・ヴェーラーを捨て、魔法カード、ワン・フォー・ワン。デッキからレベル1のチューナーモンスター、ジェット・シンクロンを特殊召喚。墓地の光属性のエフェクト・ヴェーラーを除外して、暗黒竜コラプサーペントを特殊召喚。レベル1のジェット・シンクロンに、レベル4のコラプサーペントをチューニング。S召喚!Lv5!TGハイパーライブラリアン」

 

 

「これが、シンクロ召喚…。レベル1と4を墓地に送って、レベル5を呼び出すか。」

「このカードが場にいる時、彼がS召喚するたびに1枚ドローしていた…。これはきっと、彼のデッキにおける重要なモンスター。」

 

 ほぼ初見、いや、あのリーグでの試合を見てから分析したのだろうが、判断力が高い事に龍道は感心する。

 

 

「墓地へ送られたジェット・シンクロンの効果発動、ジャンク・シンクロンを手札に加え、墓地に送られたコラプサーペントの効果で、輝白竜 ワイバースターを手札に。墓地のコラプサーペントを除外して、ワイバースターを特殊召喚。ジャンク・シンクロンを通常召喚。墓地からジェット・シンクロンを特殊召喚。」

 

 目まぐるしく動く龍道。その自然さから、相当使い込んでいると見抜く海馬とペガサス。

 

 

「レベル4のワイバースターに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!S召喚!Lv7、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!ライブラリアンの効果で1枚ドロー!墓地に送られたワイバースターの効果で、暗黒竜コラプサーペントを手札に。レベル7のクリアウィング・シンクロ・ドラゴンにレベル1のジェット・シンクロンをチューニング!S召喚!Lv8!クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン!ライブラリアンの効果で1枚ドロー!」

 

 

「魔法カード、おろかな埋葬。デッキからリバイバル・ゴーレムを墓地へ送り、墓地に送られたリバイバル・ゴーレムの効果発動、このカードを特殊召喚!速攻魔法、緊急テレポートを発動!デッキからレベル3以下のサイキック族を特殊召喚。チューナーモンスター、リ・バイブルを特殊召喚!」

 

 サイキック族、という新たな種族にペガサス会長は目を見開く。

 デュエル中ではあるが、カードデザイナーとしてかなりインスピレーションを受けているようだ。

 

 

「レベル4の地属性、リバイバル・ゴーレムにレベル1の地属性、リ・バイブルをチューニング!S召喚!ナチュル・ビースト!ライブラリアンの効果で1枚ドロー!二枚目の速攻魔法、緊急テレポートを発動!二体目のリ・バイブルを特殊召喚。レベル5の地属性ナチュル・ビーストにレベル1の地属性リ・バイブルをチューニング!S召喚!Lv6!ナチュル・パルキオン!ライブラリアンの効果で1枚ドロー!」

 

 ここにきて、龍道は初手にあった魔法カードを発動する。

 

「魔法カード、ミラクルシンクロフュージョン!場のナチュル・パルキオンと墓地のナチュル・ビーストを除外し、ナチュル・エクストリオを融合召喚!」

 

 

 盤面を整えた。後は念のために入れた装備魔法。

 

「装備魔法、レアゴールド・アーマーをクリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンに装備!ターンエンド。」

 

 迎撃準備完了。これを突破されたら負けだ。そしてこの状況を突破出来るカードならこの時代に存在する。

 とはいえ、この二人のデッキに溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムは入っていないだろうが。

 

 

 

「ふぅん。それで終わりか。容赦はせんぞ!俺のターン、ドロー!魔法カード、強欲な壺!カードを2枚ドロー!手札の青眼の白龍を公開し、青眼の亞白龍を特殊召喚!効果発動!貴様のドラゴンを破壊する!」

「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンの効果発動!1ターンに1度、モンスター効果の発動と効果を無効にして破壊!そしてこのターンのエンドフェイズまで、破壊したモンスターの攻撃力分、攻撃力がアップ!」

「ならば魔法カード、融合!手札の青眼の白龍3体を墓地へ送り…進化したブルーアイズの力を見るがいい!融合召喚!真青眼の究極竜!」

 

 攻撃力4500の融合モンスター。

 

「俺はジャイアントウィルスを召喚。カードを1枚伏せてターンエンドだ。」

 

 

 海馬は忌々し気にターンを終了する。龍道の場に、レアゴールド・アーマーを装備したクリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンがさえ居なければ真青眼の究極竜でナチュル・エクストリオとさっきからドローしている姑息なメガネをかけたモンスターを破壊。残りライフはジャイアントウィルスをセットし、効果ダメージを与えればライフを削り切れた。

 

 

「このエンドフェイズに、攻撃力は元にもどります。」

 

 

 そもそも強欲な壺に対し、ナチュル・エクストリオの効果を使いたかったのだが、余りにも早いドローの為に声をかけるタイミングを失った龍道。

 

 

「私のターン、ドロー!魔法カード、天使の施し。カードを3枚ドローして、2枚を捨てマス。フィールド魔法、トゥーン・キングダムを発動しマース!」

「それは止めます。ナチュル・エクストリオの効果発動。墓地のミラクルシンクロフュージョンを除外し、デッキの1番上のカードを墓地に送り、魔法・罠の発動と効果を無効にして破壊します。」

「オーノー?!」

「ふぅん。無様だな、ペガサス。利用させてもらうぞ!罠発動!死のデッキ破壊ウィルス!ジャイアントウィルスを媒体に、貴様のモンスターを死滅」

「ナチュル・エクストリオの効果発動。墓地のワン・フォー・ワンを除外し、デッキの1番上のカードを墓地に送り、死のデッキ破壊ウィルスの発動と効果を無効にして破壊。」

「なん、だと…1ターンに1度ではないのか!」

 

 

 ペガサスは手札を見つめる。

 シャドー・トゥーン、コミックハンド、トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール、高等儀式術、サクリファイス。

 

 トゥーン・キングダムさえ発動出来れば、シャドー・トゥーンでクリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンの攻撃力分のダメージを与え、コミックハンドでコントロールを奪取し、奪ったモンスターを生け贄に、トゥーン・ブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚。ダイレクトアタックでライフを0に出来た。

 

 だが、トゥーン・キングダムを止められては打つ手がない。サクリファイスも儀式召喚出来ない。

 

「…カードを1枚伏せ、ターンエンドでース」

 

 

龍道 ライフ4000

手3 フィールド ライブラ クリスタルウィング ナチュル・エクストリオ

    魔法・罠 レアゴールド・アーマー

海馬 ライフ4000

手0 フィールド 真青眼の究極竜

    魔法・罠 

ペガサス ライフ4000

手4 フィールド 

    魔法・罠 伏せ1

 

 

「俺のターン、ドロー!墓地のワイバースターを除外し、暗黒竜コラプサーペントを特殊召喚。バトル。クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンで、真青眼の究極竜を攻撃」

「攻撃力はこちらが上だ!やれ、真青眼の究極竜!」

「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンがLv5以上のモンスターと戦闘を行う場合、相手モンスターの攻撃力分攻撃力がアップする。」

「馬鹿な!攻撃力7500!がああああっ!」ライフ4000から1000

「コラプサーペントでダイレクトアタック!」

「うわああああああっ!」ライフ0

 

 

「み、ミスター海馬…?」

「TGハイパーライブラリアンとナチュル・エクストリオでペガサス会長にダイレクトアタック。」

「の、ノォオオオオオオ!」ライフ4000から1600、1600から0

 

 

 

 

 その結末を影丸理事長直属の配下と国崎は呆然と見ていた。

 伝説の二大巨頭相手にハンデ無しで勝てるわけが無い。その圧倒的な差を、この少年は覆した。

 

 

 

「くっ、お、おのれぇ…。そういう事か!」

「ど、どういう事デスか?」

「コイツは、デュエルアカデミアを受験しに来た時。シンクロ召喚とやらを行った。」

「ワッツ?!これだけの実力者がアカデミアに入学?」

「キサマ、最初から入学する気は無かったな!アカデミアの連中に実力を見せつけ、プロリーグへの推薦状を貰ってその力を誇示し、問いただしに来た俺とペガサスを叩きのめす。それが貴様の青写真何だろう!」

 

 

 全然違う。むしろ普通に入学するつもりだったのだが。

 アカデミアでプロリーグへの推薦状を与えられたのは想定外。プロリーグでの初戦は楽しかったが、その後、『このままだと海馬社長とペガサス会長が最悪、同時に来るかもしれない』と思ったので、二人を同時に相手取っても勝てるようデッキを調整。

 

 デュエルに勝てば有利になる世界だからこそ、勝てるようにデッキを構築した。

 

 

 

「…貴方の、要求に従いマス。私達は、貴方のカードを直接奪う事も、部下に命じて奪わせる事もシマセン。」

「ペガサス!貴様は、屈するというのか!」

「海馬。貴方は今まで、敗者の弁に耳を貸しましたか?」

「っつ!」

「私も同じデス。今まで勝者の特権を享受しておきながら、負ければそれを否定するなど…私にはできまセン…。」

「…いいだろう。今の俺は敗者。それは認める。だが、俺はこのままでは終わらん。貴様のシンクロ召喚とやらを俺も会得し、再び挑んでやる!」

 

 

 未知のカードを使って自分達を打ち負かした事に、海馬もペガサスも何も言えなかった。

 海馬は世界に4枚しかない青眼の白龍を3枚集め、一枚を破り捨てて独占した。

 ペガサスは自分だけの特殊なカテゴリー、【トゥーン】を使って好き放題やった。一体、どの面下げて批判出来るというのか。

 

 

 

 去っていく二人を見送り、龍道は心がへし折れたジャーナリスト、国崎に目を向ける。

 

「今日の事は記事にしないでください。とはいえ、彼らが約束を破った場合は記事にするようお願いするかもしれませんが。」

「は、はは…俺が、手も足も出なかった海馬社長を…完封するデュエリスト…、俺の、今までの人生は…。」

 

 

 かなり重症なようだ。

 主任は部下に目を向けると、意図を察した部下は国崎を別室へ運ぶ。

 とりあえずこのまま放置していては、あることない事吹聴し、海馬コーポレーションとインダストリアルイリュージョン社との関係を悪化させかねない。

 

 

 

 主任は、即座に上司へ報告する。

 

『…儂だ。何があった?』

「海馬社長とペガサス会長が来訪しました。その二人を同時に龍道がデュエルで倒しました。」

『なんと…。いや、お前の言葉を信じぬ訳ではないが…それほどか?』

「はい。後程、監視カメラの動画を送ります。御前の慧眼、お見事です。これほどの才、アカデミアで三年燻ぶらせるのは余りにも損失。」

『ふ、フフフ…そうであろう?』

 

 

 そう答えつつ、電話の向こうでは影丸理事長は『そんな化け物がアカデミアに入学してきたら、三幻魔を復活させたところで瞬殺されていた…』と内心戦慄していたが、

 主任は全く気付かない。彼は「若者の才覚を見抜き、契約を結んでプロリーグへ行かせて、莫大な利益を上げる決断力」にただただ感銘していた。

 

 

『今後、何かあれば直接連絡しろ。』

「はい、御前様。」




 次回はイリアステル和解ルートRTAです。
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