IFルートには行くなよ!いいか、絶対だぞ!フリじゃry   作:乳圧の大罪司教

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一章終了です……。


主人公視点だと一日の出来事だからね、仕方ないね。
次回からはスバル君視点で一章を振り返ります。




ゼロカラアヤマツ───?②

 

 正直に言おう。

 俺はエルザを舐めていた。

 

 確かに、エルザは強い。

 

 再生能力もさることながら、型にはまらない剣技、体術は変幻自在。身体能力も非常に高く、並みの剣士では何人いても相手にならない強さだ。事実、アヤマツルートでは十人を超える数の衛兵を一方的に虐殺している。

 魔法には弱いらしいが、速さに優れたエルザを魔法で捉えるのは至難の業だろう。ロズワールのような、世界トップレベルの魔法使いなら対処は容易かもしれないが。

 

 とはいえ、所詮は一章という最序盤のボス。

 聖域から出たばかりのガーフィールに負ける程度の実力だ。エルザの怖さは再生能力による不意打ちであり、それを知った上で正面から戦えば、勝てるキャラはたくさんいるだろう。あくまで『人間』の中で『上位』の強さ、というだけでしかない。

 

 ましてや、俺は仮にもチート転生者。

 

 たった三か月とはいえ、魔獣や盗賊との戦いで実戦経験を積み、独自に剣技の修行もしていた。王都の傭兵達の間でもそれなりに名が知られ始め、一部では『もしかしたら近衛騎士より強い』とまで噂されたりされなかったりしているのが俺なのだ。

 

 フェルトが増援を連れて来るまで余裕で耐えきれる。

 それどころか、エミリアと上手く連携すれば、エルザを撃退することも可能なんじゃないか。

 

 

 ……と、そう思っていた時期が俺にもありました(白目)

 

 

「素敵! 素敵よ! もっと、私を楽しませてくれると嬉しいのだけれど!」

 

 ───閃光のような横薙ぎの一撃。

 

 腹を狙ったそれを剣で辛うじて弾くも、間髪入れずに放たれた二撃目が首を掠める。咄嗟に蹴りを放つが、それを読んでいたかのような軽やかなバックステップで躱されてしまう。

 追撃を警戒して剣を構えなおすが、頬を上気させ笑みをより深くしたエルザは動かない。こちらの態勢が整うのを待っている。それぐらい余裕がある、ということなのだろう。

 

 ……ア、アカン! 死ぬぅ! (即落ち二コマ)

 

 今! 頸動脈スパー! って逝くとこだった!

 首狙うのはルール違反だるぉ!? 腸狩りなら腹を狙えよ腹を!

 てか、エミリアぁ! 援護、援護しろって! はよ援護ぉ!

 

 と、必死に祈るものの、これから三章まで空気と化す予定のメインヒロイン(笑)エミリアからの援護はない。さっき俺に誤ってフレンドリーファイアしたのが影響しているのだろうか。

 

 一発くらいなら誤射だから、遠慮なくぶっ放してほしいのだが……いや、でもまた氷柱喰らうのはいやだな。さっきのがまだ背中に刺さってるし。背中冷てぇ……。

 

 もう日は落ちたが、フェルトはまだ帰って来ない。ロム爺は途中で形勢不利と見て援護に入ったが、秒で顎を蹴っ飛ばされて失神中。スバルはロム爺を引きずってエミリアの後ろに隠れ、ガクブル中。エミリアはいつでも魔法を撃てるような態勢だが、撃ってくれないので実質置物状態。

 

 で、満身創痍の俺。

 血を流しすぎて足元が覚束なくなってきた。致命傷は避けてるけど。……っていうか、エルザがわざと避けてる印象。これは俺をいたぶって楽しんでますね。間違いない。

 

 一張羅がズタボロだぜ。俺の至高のイケメンフェイスにも傷をつけやがって、あったま来た! もう許さねぇからなぁ~? もう許せるぞオイ! (矛盾)

 

「……ここまで追い詰められてなお、あなたは死を恐れない。それどころか、血を流す度に剣気が増していく───本当に、素敵!」

 

 あっ、待ってくださいよぉ(命乞い)

 

 

 ……駄目だ。もう気合でどうこう出来るレベルじゃねぇ。

 

 単純なパワーやスピードは互角っぽいが、戦いの年季ってやつに差がありすぎる。しかもこいつ、どんだけ動いてもスタミナが切れる様子が一切ない。再生能力のせいか? 息切れ一つないってどういうことだよ。チートだチート! 運営仕事しろよ!

 

 ど、どどどうすればいい。考えろ考えろ……。

 

 魔法で一発逆転……む、無理! 俺はゲートに欠陥があるとかで魔法使えない! 加護は持ってるけど、戦闘力に直結するようなものじゃない。

 しかも、オットーの『言霊の加護』とか、クルシュ様の『風見の加護』みたいに、応用すれば戦いにも使えるって感じの加護でもない。外部に影響を及ぼさない、完全に自己完結型の加護だ。

 剣は何の変哲もない、頑丈なだけのただの剣。投擲に使えるナイフを何本か持っているが、使っている暇がないし、そもそもナイフの投擲がエルザに通用するとは思えない。逆にキャッチされて使われそうだ。

 

 駄目みたいですね(諦め)……と、俺が半ば諦めかけた時だった。

 

 俺がやけくそ気味に放った上段の振り下ろしを、エルザが幾度目かのバックステップで素早く回避し、着地しようとしたその瞬間───狙いすましたように放たれた氷の矢が、エルザの太ももを貫いた!

 

「っ! これは……!」

 

 氷の矢。それを放ったのは当然、エミリアだ。

 今まで撃っていた氷柱と違い、より細く、長く、鋭い形状をしているそれは、エルザの太もものど真ん中、それも両足をまとめて貫いていた。一時的に、エルザの両足が動かなくなる。

 

 よくやったエミリア! 俺はお前ならやってくれると信じていたぞ! よっ、さすがはメインヒロイン! 隠れ巨乳! 顔と体は最高! メンタル幼女だけど!

 

 

 そして今だ! 全力ダッシュ!

 からの……喰らってくたばれ必殺の! ───あっ、やべ、剣すっぽ抜けた(無能)

 

 

 血で手が滑り、振りかざした剣が後方へすっ飛んでいく。

 おまけに足も滑り、俺はそのままエルザに衝突、倒れないように思いっきり抱きしめる態勢に。

 

 ……こ、この距離ならナイフは振れないな!

 

 へっ、全て俺の計算通りだぜ!

 今だやれー! エミリアー! 魔法を放てー!

 

「あなたは……! ふふ、私のためにそこまでしてくれるのね」

 

 耳元でねっちょりと囁かれた。

 

 ふぇぇ、能登ボイスなのに気持ち悪いよぉ。

 でもおっぱいやわらか……ホントこいつ、声と体と顔だけは好みなんだよなぁ。中身が致命的に合ってねぇんだよ。人格だけ入れ替える魔法とかないのかね。

 

 ま、いいや。

 

 へへっ、これでお前もおしまいだな!

 これが終わったら衛兵の詰所にぶち込んでやるぜ! ……って、そうなると聖域編がちょっと困ったことになるんだが……まぁいいか。どうせロズワールが裏から手を回して脱獄させたりするだろ、きっと。

 

 ここはこのまま乗り切って……って、あれ? エミリアさん?

 

 ……なんでデカい氷柱作ってんですかエミリアさん。いや、せっかく俺がエルザを拘束してるんだから、今の内にエルザの手足を凍らせて拘束してくださいよ。二章でペテルギウスの指先にやったみたいにさ。それかほら、一旦、俺諸共凍結させて、後から俺だけ解凍するとかでもいいし……おい。だから氷柱作るのやめろ。俺の腕位デカいじゃねぇか。それでどこを撃つ気なんだお前は。

 

 少し、状況を整理しよう。

 

 今の俺は、エルザと抱き合った状態だ。

 俺の正面にはエルザ、その向こうにエミリアがいる。そして、エルザの体は俺より小さい。今この状態でエミリアがデカい氷柱を撃った場合、それがエルザの体を貫通したら、もれなく俺の体にも大穴が空くことになる。

 

 

 ………………。

 

 

 ば、馬鹿野郎ーっ!!

 エミリア! 何をしている!? ふざけるなーっ!!

 誰が俺諸共撃てなんて言ったよ!? エルザに勝てても、俺が死んだら意味ないんだよ! ていうか、そもそもそんな氷柱ごときでエルザが死ぬわけねぇだろうが!

 

 もうこの後が簡単に予想出来るわ!

 

 あのデカい氷柱に腹を貫かれ、俺とエルザは倒れるだろう。

 そして、エミリアとスバルは俺の死体を「尊い犠牲だった……」とか思いながら眺めて、すっかり油断したところに復活したエルザが不意打ち! エミリアの首スパーン! スバルの腹ブシャー! で終わりだよ!

 

 

 くっそ、おいスバルぅ! 次の周回でも俺に会えよ! いいか、絶対だぞ! そんで俺を見つけろ! 助けを求めろ! 俺は絶対、お前と一緒に行くからな! ロズワール邸にも行くし、白鯨とも戦うし、聖域だって行くし、プリステラにも行くからな! プレアデス監視塔にも!

 

 スバルは一度、アヤマツルートに入りかけたんだ。

 次がないとも限らない。……お前にIFルートに行ってもらっちゃ困るんだよ。

 

 アヤマツルートはルグニカ王国が壊滅する。

 ルグニカ王国から逃げ出せたとしても、その先の世界が平和かどうかはわからない。二章以降のIFルートも大概ヤバいものばかりだ。

 

 本編正史ルートが一番なんだよ。

 ナツキ・スバルが一文無しから召使となり、騎士となり、そして英雄となって世界を救う。……これがきっと、一番世界を平和に出来る最適最善なルートの筈なんだ。だって、原作者がハッピーエンドって言ってたんだから!

 

 だから俺が、お前を、正史ルートに連れてってやるよ!

 どうせ後戻りは出来ねぇんだ……連れてきゃいいんだろ!

 途中にどんな地獄が待っていようと、お前を、俺が連れてってやるよ!

 

 あ、そうだ(唐突)

 

 俺が死んだら絶対死に戻りしろよな!

 いいか、絶対だぞ! フリじゃないからな!

 

 あ、やべ。意識が……血ぃ流しすぎた。

 ちくしょう。次は絶対、勝ってや、る……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───そこまでだ」

 

 




・主人公
自分をチート転生者だと思い込んでいた無能。
名無しのモブに無双出来るくらいに強いが、ネームド相手だと苦戦する。高く見積もって鬼化レムと同等程度の戦闘力しかない。

加護の効果で痛みに強く、恐怖で動けなくなることもない。元一般人なのに戦えるのは加護のおかげ。半面、加護が足を引っ張っている部分もある。

加護の名前については多分二章でわかる。

・エルザさん
腸大好き!エルザさん。
能登ボイスの美人さん。胸が凄く大きい。えっち。
二次創作だとオリ主にボコられることも多いが、本作では逆にオリ主をボコボコにしている。つよい、かてない。

・エミリアたん
ハーフエルフの銀髪美少女。
原作のメインヒロインだが、一時期はメインヒロイン(笑)と言われていたこともある人。実は胸が大きい。

主人公の背中にフレンドリーファイアをかました。
射線上に立った主人公が悪い。


・???
「───そこまでだ」というセリフが有名(?)な人。
スバルには会っていないので、本来なら貧民街の近くには来ない筈だが……。
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