世界系ぼく   作:角刈りツインテール

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プロローグ(エピローグ?)

物語として書いた事象が全て現実に具現化することを理解したのは中学2年生の時である。きっかけは芥川龍之介が名著『羅生門』の続きを書こうなどというなんとも無粋な講義であるが、それはそうとどうせ書くなら半端なものは提出できまいと考えた私は、原稿用紙3枚に渡る短編を完成させた。思い返せばあれはリスペクトとやらの崇高な考えではなく、教師への反骨精神の表れで、そもそも著者に今にもぶん殴られそうな質ではあったのだけれど(彼は虚弱体質なので恐らく痛くはない)、要するに以下のようなあらすじであった。

 

 着物をはぎ取ったその後、男はある美女とすれ違う。美しさのあまりもう一度会いたいものだと考えた彼は、その着物を改めて仕立て上げ、身なりを整え、町を歩き、まるで運命かもような再開を果たす。2人は意気投合し幸せに暮らすことになるが矢先に現れたのはあの老婆であった。老婆のあの手この手による関係悪化の末2人は破局。結局、元下人は盗人になる他なかったのである。

 

私は原作からの雰囲気はそのまま、勧善懲悪というか、自業自得というか、収まるところに収まる現実的な物語を続けたかったのだ。

やるからには徹底的に。

今となっては一度幸せを味わわせる必要さえ無かったと思っている。

そしてこの話が現実になったというのは私=下人としてではない。あくまで私の知人のことである。私のしくじり話なら、性格からして、まず文字には残すまい。

 

「別の男にお金も彼女も全部奪われた」

 

そう私に告げた彼はこれまで見たことがない程、それはもう落ち込んでいた。

この世の終わりのような顔。

相談に乗る限り、どうやら女性ぐるみの金目当てではないかとさえ思える物語的な展開である。相談に乗るのが得意な方ではない。思ったこと、想像をそのままに口に出し、それなりになぐさめた……と、思う。こういうのは参考程度にするものだと思うのだが、「1対1ならいじめじゃなくて喧嘩。ごもっとも。しかし2体1なら話は別である」という私の持論を鵜呑みにしたらしく、何をどうしたのか1週間後に男と女は退学させられていた。

あの手この手、である。

私は別に断言などしていないのだが———どうやら、男は元々別生徒にいじめをはたらいていたらしく、それを餌に、とかではないだろうか。物語的に言えば逆にリンチし返したとも考えられるが、あくまで推察である。

こえーよ。

ついでに彼の異常性について深堀りしたいところではあるが、一先ず閑話休題させていただく。

つまり、その時私は自身が書いた言葉に沿った出来事が実際に———と思ったわけでは無い。

思う訳がない。

中学2年生とはいえあまりにも"中2"的すぎて笑えない。冷笑するにも耐えない。

実際、本格的に認知したのはその後のことであり、「今思い返すと」ここが能力の顕現した地点であるために、中学2年生で理解したというのは少々語弊があるかもしれない。早速ではあるが、ここに訂正しておこう。

物語は簡単に訂正できる。

僕の人生も然り。

 

「なぁに?この小説。ノンフィクション?」

 

おっと。いつの間にか読まれてしまっていたようだ。

そうだね、と女の眼前からパソコンをひったくり、恥じるように私の手元に隠した。執筆日は見られていないだろうか?それ以前に読まれてしまったのがまずい。睡眠中にパスワードを保管したノートでも見られてしまったのだろうか。くそ、管理が甘かった……反省反省。後々のリスクになりかねないし、念のため後で書き換えておくとしよう。

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