前略、グランドオーダーに巻き込まれました。 作:モフモフ毛玉
翌朝、立香はスッキリした顔で背伸びをする
「初めての野宿だったけど、意外と寝れたなぁ…」
もしかしたら自分はアウトドア派だったのかもしれない、と思いながら、固まった身体を動かしてほぐす。
「そりゃよかった」
目の下に濃い隈が見えるミナトは、どうやらあの後寝れなかった様だ。
「…マスターあの後一睡も出来てませんね」
「寝付けないというのは本当みたいですね…」
「くっ…私が枕になればマスターは寝れたはず…!」
「それはそれで悪いから…くぁ…」
欠伸を噛み殺し、ミナトはジャンヌを見つめる
「それで、情報収集っても何処を目指すんだ?」
ミナトに問われたジャンヌは、真っ直ぐ見つめ返して答える
「この森を抜けて、オルレアンの方向に向かう途中にラ・シャリテがあります、そこで情報収集をしようかと」
「成程、じゃ出発しよう」
そう言って立ち上がったミナトは、睡眠不足な為かフラフラと揺れて地面に倒れる。
「うん、ダメだ立てん…」
「なら私が抱っこして行きますよ」
呼延灼はそう言ってミナトをお姫様抱っこする
「出来る限り揺らさない様に気を付けます、では皆さん行きましょう」
そう言う呼延灼に、皆は頷いて歩き出した。
そして、森を抜けた頃
「ぐー……」
「…寝ましたね」
「寝ましたね」
「やっと寝れた様ですね」
呼延灼に抱えられたまま、ミナトはグッスリ寝ていた。
『む、ちょっと待ってくれ。ラ・シャリテの方でサーヴァントの反応を感知した…高速で街から離脱している様だけど…』
「…っ!ジャンヌさん街が!」
「そんな…!」
恐らくラ・シャリテであろう街には火の手が上がっていた。
「皆さん、少しペースを上げて下さい!」
ジャンヌはそう言って素早く走り出した。
「ライダー!」
「分かりました」
メドゥーサはペガサスを呼び出し、立香とマシュを乗せて飛び立つ
「俺達も行くか…」
「遅れるなよ」
飛び立つとほぼ同時に、クー・フーリンとエミヤも速度を上げる
「行きますよ」
「はいっ!アサシンさんはどうしますか?」
アルトリア・ランサーの馬に慣れた手つきで飛び乗ったリリィは、そう言って呼延灼を見る
「私はマスターを抱えて走ります、お二人は先に!」
「承知した、行くぞ!」
二人を乗せた馬はクー・フーリンとエミヤを追う様に走り出した
☆☆☆
「…っ…ドクター、生体反応は…!?」
『いいや、命と呼べる反応はない』
メドゥーサから飛び降りつつ、マシュはDr.ロマンに問うも、生存者は居ない様だった。
「待ってください!今物音が!」
「生存者…じゃない!」
物陰から現れたのは、潰れた肉体を無理に動かす兵士達…ゾンビの群れだった。
「戦闘準備!迎え撃つよ!」
立香のその言葉に、ジャンヌとマシュ、メドゥーサは武器を構えた。
「アァァ…!」
「ふっ…!」
刃こぼれした剣を振り回すゾンビ兵を、マシュは盾で剣を弾き、そのままグルリと一回転して首を盾で穿つ
「はぁっ!」
ジャンヌはその旗で素早く正確にゾンビ兵達の首を狙うも、弱体化している影響か、倒れ込んだ後に起き上がる
「…っ!今の私ではここまでですか…!」
しかし、そのゾンビ兵を朱槍が穿つ
「追い付いたなぁっ!」
「合流したぞ、マスター!」
クー・フーリンとエミヤが間に合った様だ。
クー・フーリンはそのまま朱槍を振り回し、突き刺さっているゾンビ兵を鈍器代わりに他のゾンビ兵を砕く
エミヤは立香の近くに居たゾンビ兵達を矢で穿ち仕留める。
「ギャォォ!!」
「っ、ワイバーンだ!」
しかし、空からワイバーンが群れを成して襲いかかってきた。
「させませんよ。…はぁっ!」
そのワイバーンの群れを、メドゥーサが鎖を群れの数匹に穿ち、その怪力を持って強引に動かして衝突させ、墜落させる。
「空を飛んでりゃ鬱陶しいが、これなら楽勝だな!」
「そうだな」
地に落ちたワイバーンを見逃す訳がなく、エミヤとクー・フーリンが仕留めた。
『っ…!?立香!街から離れていたサーヴァントが反転した!君達の存在を感知したのかもしれない!…数は…嘘だろ5騎!…速い…ライダークラスでも居るのか…!?ともかくそこから一度離れるんだ!冬木の時のシャドウサーヴァントとは訳が違う!』
「…分かりました!みんな一度逃げ…!」
「…呆れた、戻って来てみれば…何よこれ?」
しかし、離脱するには遅かった。
「改めて見ると笑えて来るわね、あんな小娘に、この国は縋っていた訳なんだから」
ジャンヌとそっくりな顔の少女が、サーヴァントを引き連れて、丁度立香達の退路を塞ぐ形で現れた。