前略、グランドオーダーに巻き込まれました。 作:モフモフ毛玉
「…皆さん、止まって下さい」
アルトリア・ランサーのその言葉に、全員が足を止める
「え?でも敵はいないよ?」
『モニタリングはしているけれど、サーヴァントの反応なんて出ていないけどな…?』
不思議そうに首を傾げる立香と、サーヴァント反応がないとDr.ロマンからの通信が入る
『ん?あれ…通信が…わ……まさ……み…きお……!』
通信に不自然なノイズが入ると同時に、Dr.ロマンとの通信が途絶する。
「…流石に気付きますか」
立香達の頭上…空中で、冬の魔女はアルトリアランサーを睨む
「…サーヴァント…!?みんな、戦闘態勢…!」
「…モルガン…」
立香の指示を受け、マシュ達は構え、ミナトはポツリと呟いた。
「遅い」
空を薙ぐ様に振るわれた杖の先から、魔術によって編まれた鋭い針の様な物が現れたかと思えば、瞬きをする間もなく、エミヤ、メドゥーサ、クー・フーリンを貫いた。
「ガッ!?」
「うぐっ…」
「ぐっ…クソッタレぇ!」
クー・フーリンが悪足掻きとしてゲイ・ボルクを投げるも、宝具として展開していない為に、杖によって弾かれる。
「…ここっ!」
杖で弾いた隙を見て、呼延灼が背後に回り、鉄鞭を振るうも、その姿は搔き消える。
「なっ…!?」
「分身を作るなど容易い事…アサシンの様ですが、所詮はただの武人の様ですね」
驚く呼延灼の背後にぬるりと現れ、手に持つ杖を斧槍へと変え、薙ぎ払う様に無防備な首を斬り飛ばした。
たったの数秒で、四人のサーヴァントが倒された。
「…さて、召喚された義理です。アルトリア、死になさい」
斧槍で空を突けば、アルトリアランサーの正面から巨大な槍が現れる
「…ちぃっ!」
胸に突き刺さる寸前で、アルトリアランサーは聖槍で弾く事で回避する
「一度は防げる様ですね…潰れなさい」
「…マシュ!」
「…させません!」
今度は斧槍を振り下ろそうとするが、マシュとジャンヌが盾と旗、それぞれで挟む様に攻撃を加える。
しかし、呼延灼の時と同様、分身だった様で掻き消えた。
「えっ…きゃっ!」
「なっ…いたっ!?」
振り抜いたそれぞれの武器は、互いに撃ち合って相殺され、そのままバランスを崩し、ジャンヌとマシュは地面に落下するが、何とか空中で姿勢を直して着地する。
「…あのサーヴァント、何者なんでしょうか…?」
冷や汗を流しながら、警戒する立香と、額を抑えて悩むミナト
「随分と悠長ですね」
鈴の音の様に魔女の声は響くものの、姿は見えない
「…くっ…どこに…ガフッ…!?」
警戒していたアルトリアランサーの口から鮮血が吹き出る
どうやら呪術か何かで内部から攻撃した様だ。
「…マスター、逃げてください…この魔女は…私の姉……モルガンです…!時間は、稼ぎます…!」
「…次は…どこに…!?」
歯を食い縛って現界を維持するアルトリアランサーに並び、リリィはカリバーンを構えながらも、ビクビクと震えながらも周りを警戒している。
「皆さん!一点に固まらずに分散を…!このままでは壊滅します…!」
ジャンヌのその言葉に、立香とマシュは互いに身を寄せ合いつつ、ミナト達から距離を取る。
「モルガン…私を狙うのなら…正々堂々と戦え…!私は逃げも隠れもしません…!」
聖槍を輝かせ、宝具を展開しながら、アルトリアランサーは叫ぶ
それと同時に立香をマシュが抱え、ミナトを彦斎が抱えてその場を離脱する。
「…良いでしょう、乗ってあげます」
そんなアルトリアランサーの目の前に、再び冬の魔女…モルガンが現れると同時に手を空へと向ける
「意匠返しです。聖槍を使う貴女にはピッタリでしょう?」
空を裂く様に現れた巨大な魔術陣からは、魔術によって編まれたであろう聖槍が顔を出していた。
「…なっ…!?」
「…ここ一帯を吹き飛ばす気か…!?」
遠くに避難した立香とミナト、サーヴァント達はその規模を見て絶句する。
「…あれは…威力だけなら同等だねぇ…」
そう呟くメタトロンに、立香、マシュ、ジャンヌは息を呑んだ。
「…あの、ランサーさんと同じ威力を…!?」
立香達はアルトリアランサーによって窮地を助けられた側だ、しかも近い距離で、アルトリアランサーの宝具の威力を知っている。
それと同等のモノを、あのモルガンは涼しい顔で用意しているのだ。
そんな立香達を見ながら、ミナトはここからどうあのモルガンを倒すかを考えていた…そんな時
「マスター、悪いけど私は一度帰るねぇ…殺されちゃうから!」
「は?」
器用に首から上だけを実体化させたプーリンにそう言われるも
「やっぱり居たんだ」
「逃すかー!」
彦斎とメタトロンが捕まえようと動くも、スルリと回避するプーリン
「やだなぁ、ボクが君らに捕まる訳ないだろう?ボクを捕まえるとしたらマスターさ…あ、勿論捕まえるならベッドの上でね?」
「条件が限定的過ぎるだろ」
「ははは、夢魔だからね!じゃ!一旦帰るから!」
そう言えばパッとプーリンの姿が消えた。
「……本当に帰ったよあの愉快犯」
「…次見つけたら首を落とす…」
メタトロンはやれやれと肩を落とし、彦斎は鯉口を鳴らして虚空を睨んだ。
それと同時に大きな爆発音が響く……アルトリアランサーとモルガンの攻撃が衝突した様だ。
大地に大穴を開ける程の爆発の後、そこには一人の人影が立っていた。
「……やはり霊基が弱体化している様ですね、本来であればこの程度の出力で散る様な者ではないはずですが」
多少の土埃が付いた程度…それも魔術により払われたが…モルガンは生きていた。
「……あの異界のマーリンは逃げましたか…まぁ良いでしょう。次は殺します」
そのままゆっくりと、モルガンは歩みを進める
「…さて、残りのカルデアのサーヴァントを始末しましょう…しかし、ただ始末するのも、味気ないですね」
斧槍を杖に戻し、モルガンは杖を地面に突き刺した。
「……来なさい、我が妖精騎士達よ」
モルガンの呟きと同時に、地面には
「人理を守ると言うのなら、この程度は乗り越えて貰わねばなりませんね……藤丸立香…そして、我が夫」
…冬の魔女による