前略、グランドオーダーに巻き込まれました。 作:モフモフ毛玉
召喚陣から現れたのは四人の騎士。
一人は見上げる程に背が高く、その身を包む鎧も相まって威圧感が強い。その眼光はギラギラと輝き、敵を射抜く様に見つめている
一人は騎士と呼ぶには少し疑問が残る、赤いドレス姿で、ニヤニヤと笑みを零しながらも、油断はしていない様でいつでも攻撃ができる様に構えている
一人は他の二人と比べると背がとても小さく、目元をバイザーで覆っている。両手にある小楯は、見方によっては小手の様にも見える。自然体の様に立っているが、同時にいつでも攻撃出来る、という事を示している様にも思える
一人は……完全な全身鎧だった。全身鎧からは排気音がする為、メカ的な全身鎧の可能性がある。しかし…その巨体と、振るわれる剣は一度受けるだけでも致命的なダメージを受けるだろう。
「……うーん、これは妖精騎士」
「ミナト先輩、まず妖精騎士ってなんですか?」
納得するミナトに、立香は問いかける
「妖精騎士ってのは…えーっと……説明すると長くなるけどアーサー王伝説と関係あるやつだ」
「すごく端折ってないですか!?」
「長いんだもの」
笑うミナトの肩を揺さぶる立香と、それを見て苦笑するマシュとアルトリアリリィ
「……随分と余裕そうですね、…妖精騎士達よ、宝具の使用は許可しません…しかし、手加減はしない様に…」
その言葉と同時に、四人全員が迫った。
「そこを待っていた。ガンド!」
ミナトは狙い澄ました様に、ガンドを妖精騎士達へと放つが
一人には剣で弾かれ
一人は回避しようとして足に受け、そのまま転び
一人は小手で弾くも、転んだ妖精騎士へ弾いたガンドが背中にヒットし
一人は全身鎧のお陰で当たった所で関係なかった
「流石ですミナト先輩!一人は減りました!」
立香の精一杯のフォローに対してミナトは
「それよりあの子大丈夫??足に受けて顔面から行った挙句に背中にガンド当たったんだけど大丈夫??」
走って来る妖精騎士達そっちのけで顔面からダイブした挙句に背中にガンドを受け、ピクピクと震えている妖精騎士の心配をしていた。ミナトの口角はピクピクと動いているので、笑うのを堪えている
そんな最中、マシュは高身長の妖精騎士の剣を受け、リリィが小さな妖精騎士のインファイトをスレスレで回避し、全身鎧の妖精騎士の一撃はジャンヌが旗を盾にして受ける
「くっ…この妖精騎士さん達…強い…」
「避けるのが精一杯です…!」
「くぅ…!」
力の差があるのか、マシュとジャンヌは力負けして弾き飛ばされ、リリィは腹に蹴りを受けて吹き飛んだ。
「…バッ……妖精騎士トリスタン、引きなさい」
モルガンのその言葉に、倒れていた妖精騎士は、瞳に涙を溜めながら、スタスタとモルガンの元へと戻る。
「この程度で人理を救うとほざく訳ですか…」
「…勝てない…どうしよう…!?」
吹き飛ばされた時に打ち所が悪かったのか、マシュとジャンヌはぐったりしている。
「…これは仕方ないかな、マリー、僕が殿を務めるからみんなを避難させるんだ」
「…いいの?」
アマデウスは覚悟を決めた様に指揮棒を構え、答える
「今、この場で倒れたとしても損失にならないのは僕さ…さぁ!モルガンと妖精騎士達よ!僕の一曲を聴いてもらおうか!」
そう言って構えたアマデウスに、待ったをかける者が居た。
「ん〜…君はまだやる事があるよ。だから殿は私達でやるから、君らは早く逃げなよ〜」
メタトロンは欠伸混じりにそう言えば、指をパチンと鳴らす
それだけで、立香、マシュ、ジャンヌ、アルトリアリリィ、アマデウス、マリーの五名を戦闘から離脱させる
「…まぁ、残るよねぇ…マスターだし」
そう言って、ミナトは地面に胡座をかいて座る
「…さてと、まだやる?モルガン」
普段の眠そうな顔を引き締め、鋭く見つめるメタトロンに対してモルガンは失望した顔を隠さずに答えた
「…いいえ、興が冷めました。この程度の力で人理焼却に立ち向かおうとするとは…カルデアとはこんなにも弱い組織だったのですね」
「いや、明らかに君らがオーバーキルな戦力なだけだと思うなぁ」
メタトロンはそう言って欠伸をする
そもそもだが、妖精騎士の四人とモルガンに、霊基が弱体化しているサーヴァント達で打ち勝てというのは酷な話だ。
「…カルデアはセーフティで召喚時には霊基を大幅に弱体化させて、信頼関係を築いて行くと同時に本来の強さまで戻す作業……霊基再臨をしてる訳だし」
「…私やメタトロンはミナトが呼んだから、最初からフルパワーだけど」
「…なるほど、通りで手応えのない戦いだった訳ですね」
一人納得するモルガンは泥の付いたままな妖精騎士トリスタンの顔をハンカチで拭く
「…というかそこら辺の知識とか記憶はないの?」
「…一部はありませんね、そもそも私がここに居るのは敵に呼ばれている為ですし…あぁ、契約はしていませんが最低限召喚した義理としてアルトリアは殺しましたが…カルデア式の召喚であれば霊基は保管されているはずでしょう?再召喚すれば同じです」
「一部って言いつつ裏まで知ってない?」
「当たり前でしょう?我が夫と契約を結んだのです、過去、そして未来のカルデアの今までの記憶はもう見ました」
柔らかな笑みを零す。
「結んだ覚えがないしいつの間にか記憶も覗かれてるんだけど裁判やったら勝てる?」
「んームリ、実力行使で押し通ると思う」
メタトロンはそう言って欠伸する。
同時にトリスタンを除いた妖精騎士達も、霊基を変化させてラフな格好になる。
「お母様!ごめんなさい!私、かっこよく戦えなかった!!」
「…アレは仕方ないって、ガントを足に受けた上に背中にも受けたらそりゃ…うん…」
頬を掻きながら、ミナトはフォローを入れる。
「オメーはフォローするならハッキリやれよ!!つーか転んだ時にはっきり見えてたけど私の事笑っただろ!?謝罪しろよ謝罪!!!」
「ほんとごめん…」
そう言ってミナトは綺麗に土下座する。
「えっ…あっ…謝るならいいんだよ!!次笑ったら舌に釘刺すからな!?」
「うんホント気を付けるわ…顔の方大丈夫?怪我酷くない?」
「これくらいで怪我する訳ないだろ…」
そう言ってふん、と妖精騎士トリスタンはそっぽを向く
「…あの、呼ばれた私達はどうすれば?」
ブリトマートがそう言って申し訳なさそうにモルガンを見る
「……そうですね、カルデアへの最低限の義理は果たしました…私はこのまま我が夫の為に残りますが…貴方達を呼んだのは、妖精騎士を私が今の状態で呼べるかの実験…そしてカルデアへの力試しとしてだけです。退去、現界維持の為の契約…どちらの判断をしようと責めるつもりはありません」
「なら、僕は一旦帰らせて貰おうかな…この特異点?って言うの?暴れるにしてもみんな弱そうで退屈だし…ああ、マスター?僕がしっかり活躍出来る相手が来た時にはしっかり呼んでもらうからね!」
そう言って妖精騎士ランスロットは自主的に退去した。
「…私も一度戻ります。では」
そう言ってモルガンとミナトに頭を下げ、妖精騎士ガウェインは自主的に退去する。
「うーん…私は…ついて行こうかな?いい…ですよね?モルガン陛下」
「ええ、ですが…私達は本来まだ呼ばれるのが先の英霊…一時的に特異点に召喚されているだけに過ぎません。
ここで契約を結んだとしても、我々はカルデアに帰還出来る訳ではありませんよ」
「分かりました、マスターさんお願いします!」
ブリトマートはそう言って笑顔でミナトを見る
「お母様!私も残ります!」
「…いいでしょう」
妖精騎士トリスタンは真っ直ぐとモルガンを見つめ、モルガンも慈愛の籠った眼差しを妖精騎士トリスタンへと向ける。
「…我が夫。私から一方的に契約を結びましたが……今はまだ一時的な契約です。いずれは正式にサーヴァントとして呼ぶ時が来るでしょう…無論、カルデア式で呼ばれたとしても、この手で握り潰しますが…」
そう言ってモルガンは笑う
「…というか、本気で潰しに来てたらカルデア全滅だっただろうな…」
「…いやー、私と彦斎居るし…何とかはなったよ?」
そう言って欠伸混じりに答えるメタトロンと、頷く彦斎
「…ほう?私に勝てると?」
その言葉に、モルガンは目を細める
「…そりゃねぇ?こう見えても天使だし…それに」
そう言えば、メタトロンは姿を変える
「…大天使メタトロンの名を冠する以上、敗北は許されません
故に、私が負ける…と言う事はないのです」
そう言って、メタトロンは真っ直ぐモルガンを見つめ返した
「…今この場で試しましょうか?私と、貴女…どちらが強いか」
「…望む所です、コテンパンに叩いてあげます」
「…マスター、抱えるね」
そう言って、向かい合った二名の圧を察したのか、彦斎はミナトを抱えると即座に距離を取る
ブリトマートと妖精騎士トリスタンも、嫌な予感を感じたからかその場から離脱した。
それとほぼ同時に、二人は攻撃を放つ
即座に草原は青い炎の海となり、空には無数の魔術に編まれたロンゴミニアド。
巨大化したメタトロンが魔術で編まれたロンゴミニアドをその手で破壊し、モルガンは続け様に杖を掲げて黒い濁流を呼び込む
二人の攻撃によって、燃え滓の原は沼地に変わったと思えば荒地、大地が割れて噴火…と
目の前で繰り広げられる世紀末の様な惨劇に対してミナトは
「…わぁ…魔力…が急速に抜けけk…」
「ちょっと大丈夫なの!?お母様ー!!コイツ死にかけてるー!!!」
「モルガン陛下ー!死にますー!マスターさんが死にますよー!!」
「安心して、私が仲裁する…」
「そんなの無理よ(無茶ですよ)!?」
魔力の大量消費によりガクガク震えるミナトを見て、妖精騎士トリスタンとブリトマートは大慌てでモルガンに知らせる。
結局、霊基を変化させた彦斎の殺気に当てられ、二人は戦いを止め、即座にミナトの介抱を行った。
その後、通信が途切れて気が気じゃなかったDr.ロマンや、急いで戻って来た立香とサーヴァント達が見たのは
「放しなさい大天使…魔力供給に最適なのは私です…!」
「離せません、そもそも私は魔力を自己生成出来ます。今もマスターに送り込んでいます…なので、貴女がソレをする必要はありません」
ミナトに膝枕をしながらその翼で覆い隠そうとしつつ、両手でモルガンを抑えるメタトロンと
そんなメタトロンに対して怒りを顕にしつつ、ミナトへ
「……大天使って…凄いのね」
「……ですねぇ…」
そして、そんなモルガンを見ないようにと自主的に空を見上げて現実逃避をする妖精騎士二名と
「……ズルい、私も膝枕したい、魔力供給したい…」
頬を膨らませ、拗ねる彦斎がすぐそばにいた。
『…ナニコレ?修羅場…?状況的に…昼ドラ…なのかな?』
そんな光景を見て、Dr.ロマンはそんな言葉を漏らした。