んんん。若干体に違和感を感じたが、それが徐々に修正されていく。これが新技術なのだろうか?
すごいな、と純粋に感心しつつ自身の両手を見る。細くてスラっとしたロリボディがそこにはあるわけだけど。うーん、今更ながら羞恥心が出てきたぞ。
やっぱモニター画面とフルダイヴVRではネカマプレイにも差が...まあ。もうやってしまったことなので仕方ない。そういやフレンドともプレイするかもしれないけど仕方ないのだ。うん。
そういえば、ココはどこなのだろうか。コンクリート造りの10畳ほどの部屋。部屋の片隅には石造りの祭壇らしきものが鎮座している。
あれは紹介映像で見たことがあるな。確かクラフトに使う祭壇だ。と、なんとなく祭壇に向けて一歩踏み出したところで突然ポップアップが目の前に現れた。
ようこそ!マイルームへ!
どうやらここはマイルームらしい。説明が書いてある。えーと、マイルームは宿屋や自分の拠点、あるいはダンジョンの入り口やセーフエリアから入れるあなただけの空間です。マイルームではHPやMPの回復速度が上昇します。また、アイテム制作に必要な祭壇が設置してあります。
マイルームにあるアイテムは劣化しないので倉庫にも最適、もちろん飾り付けて自分だけのくつろぎ空間を作るもよし!だそうだ。
窓の一つもないコンクリート造りの部屋でくつろぐも何もないと思う。というか、初期地点がマイルーム?聖域じゃなくて?と思ったんだけど呪人は第三勢力ってことは聖域には入れない感じなのかな。そして説明文的に呪人の初期地点はダンジョンだ。多分。外に出て確かめるのが手っ取り早いだろう。
閉塞感の強いマイルームの扉を開けると、その先は雪国であった。なんてことはなく土でできた洞窟のような場所。ザ・ダンジョンって感じだ。
出た先は恐らくセーフエリアってやつかな?8畳ほどの空間で、左手に上に上がる坂道があって外から日の光が薄っすらと入ってきている。
右手は恐らくダンジョンの奥に進む道だ。どちらに行こうかな、と考えているとすぐに別の考えが浮かんでくる。ここって何て名前のダンジョンなんだろう?
こういう時は大抵マップを見るとフィールドの名前が載っているのだ。という訳でメニューからマップを...メ、メニューにマップがない!
マジかよ手動マッピングな感じかコレ。それとも専用のスキルとか加護、奇跡が必要とか?あるいは呪人だからか?
どちらにせよこれでは自分が今いる場所すらも分からない。と、若干混乱したが、とあるものの存在を思いだしたので、すぐに持ち直した。
それすなわち鑑定鏡。文字通り鑑定機能を提供してくれる虫眼鏡サイズのアイテムだ。ゲーム開始時の僕が持ってるってことは当然全プレイヤーが所有している標準装備である。
使い方は簡単、鑑定したい対象に向けるだけである。1~2秒照準を合わせると自動で鑑定結果が表示される。
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《鑑定結果》
種別:ダンジョン
名称:獰猛なる黒蟻の巣(未踏破)
説明:獰猛なる:魔物の攻撃性が高くなる。
黒蟻の巣:黒蟻種に属するモンスターのみが出現する。
制限時間:N/A(固定ダンジョン)
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ふむ。なるほど。ここは蟻の巣ってわけね。あとはダンジョンの名前である程度性質が決まってるっぽい?
制限時間と固定ダンジョンって言葉からするとランダムで出現する時間制限付きダンジョンもあるのだろう。
消えないならこのダンジョンの攻略を急ぐ必要は無さそう。難易度もダンジョンの方が高そうだし、とりあえずそとのフィールドに出ようかな。
というか、初期武器とかの配布はないのだろうか。呪人だからか?まあ呪いを9個もかけてれば大抵のプレイヤーは攻撃手段の一つや二つあるだろうけどさ。
今の僕の攻撃手段はもちろん腕部異形化と頭部異形化による噛みつき攻撃だ。ちょっと試してみるか。さすがにぶっつけ本番で戦える気はしないし。
まずは左腕の口を開けてみる。グパァと腕が放射状に裂け、中からもう一本の腕が出てくる。三本目の腕も違和感はあるけど問題なく動かせる。
とは言え戦闘とかで使うにはしばらく慣れが必要かなって感じはするけど。
つぎは右手だ。こっちはまあ、左手とそんなに変わらない。普段使いするのはこの口になるだろうから何度か口の開閉を繰り返してちょっぴり念入りに準備運動をしておく。
最後に頭部の口を開く。脳みそとか視界がどうなるのかが気になるけど...特に思考には影響なし。視界は物凄くぼやけて物の形が曖昧に分かる程度にまで劣化している。
この口を開くのは目の前の相手をかみ砕く時だけだし、そんなに大きなデメリットでもないかな。
ただ、実際にやってみてわかったけど頭部の口を開くのは腕の口を開くのとは違って溜めが必要なようだ。具体的には1秒くらい硬直が入る。
これは対人相手の奇襲で使うか口を開いてから攻撃するかくらいしか使い道無さそう。
さて、今自分ができることの確認はおおむね終わったし、外に出よう。
初期地点がダンジョンだし、他のプレイヤーの存在はあんまり期待できないよな~、なんて考えつつ外へ向かう道を半分くらい上ったところであることに気づく。
なんだか息苦しい。酸素が薄い感じがする...気のせいか?一旦ダンジョンのセーフエリアに戻る。すると明らかに呼吸が楽になる。うーん?
もう一回外への道を上り、明らかに息苦しさを感じ始めたところでステータスを確認してみる。特に異常はなし。状態異常判定はされてない。
一回無理やりにでも外出てみるか。死ぬかもしれないけどまだなんもしてないし、デスペナルティで失うものがない今のうちに死んどいたほうが良いでしょ。
という訳で、駆け上がるように一気に外へ飛び出すと、そこは森だった。何だか暗くて雰囲気が悪い感じの森だな、という感想が出てくる程度にはギリギリ余裕が残っている。
大分息が苦しい、具体的にはストローだけで呼吸しているような感じだ。だけどこれなら死ぬことは無さそうかな?まともに活動できるかは別として。
と思ったのもつかの間、異常な脱力感を感じたのでステータスを確認したらHPとMPが一秒1ペースで削られているのを目撃。活動限界は80秒ってことかな。
つまりまだ地上でまともに活動することは想定されてないってことだ。となるとこれを解決する方法がダンジョンにあるはずだ。どうしよう、一回ダンジョンに戻ろうかな?
でもデスペナルティも気になるし、一回死んどくか。という訳で暫く待機。自然回復を加速させる呪いを取得したはずなんだけどそれが発動する様子がなかったのが気になる。
この状態だと呪いの効果がないのかな、それともHPMPの自然回復自体が阻害されているのか。なんて疑問を抱えながら一瞬意識が消えうせる感覚とともに無事死亡。これが初デスだ。
そしてセーフティールームでリスポーン。と同時にポップアップが二つ出現。デスペナルティについてと、呪階について、というものだ。
デスペナルティはレベルが一つダウンするのと、所持してる装備やアイテムが一定確率でドロップする、というもの。
この会社にしては結構重いなあ。割と死ぬゲームデザインなのにレベルダウンは辛い。これが呪人特有のデスペナルティの重くなる内容ってことだろうか。
思ってたよりデカいな。まあレベル上げる前に知れてよかった。そして気になる呪階についてだけど...簡単に言うと、場所や生物の持つ呪いの強さ、というコトらしい。
そして自分よりも10以上違う呪階にいると重篤なデバフが発生する。装備をつければ10以上の呪階の変動にも耐えられるようになるから、呪階が10以上違う場所に行きたい場合は装備を作ってね!とのことだ。
なるほど?そもそも自分の呪階がいくつなのかが分からないんだけど、と思いながらステータスを開くと記述が増えていた。
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名前:黒い聖職者
種族:呪人
称号:《呪人》
LV:1
呪階:10
HP:80/80
MP:111/111
満腹度:100/100
スキル:N/A
加護:N/A
呪い:不死の呪い
頭部異形化(口) 舌異形化(腕)
腕部異形化(口)×3 強酸性胃液
不浄なる肉体(剛力)不浄なる肉体(不滅)
耐性:酸(微弱)
弱点:火(極大) 光(極大) 聖(極大)
称号:《呪人》NEW:《階層違い》
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どうやら僕の呪階は10らしい。ということは単純に呪いの数が呪階の数で良いのかな?
ついでに称号も増えていた。説明も見ておこう。
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《階層違い》
初めて自身の呪階と10以上の差がある場所に足を踏み入れたものに与えられる称号。
ここはあなたが住む世界とは階層が違うのだ。
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まあ、名前通りって感じだ。呪階が10以上違う場所に踏み込むためには装備が必要らしいが、どんな感じなんだろうか。
潜水服とか宇宙服みたいな感じで呪階専用の装備を作らなきゃいけないのか、それとも普通の装備でも1とか2ぐらいの変動になら対応できたりするんだろうか。
できれば後者だと嬉しいな。流石に何日も蟻の巣に閉じ込められるのはごめんだし。
というか、地上って呪階が0なのか。だって呪階が10の僕がダメージを受けて死んだってことはそうなるよね?
呪いに塗れた世界っていうくらいだから1ぐらいはあってもよさそうだけど。それともここが初期地点である聖域に近い場所だから特別なのか。
まあ聖域に近いって言うのは一応同じプレイヤーなんだしそんなに初期地点は離さないでしょう、というメタ読みだから確信はないんだけど。
あと、僕が特にダメージを受けてないってことは、ここは呪階が1以上20未満というコトになる。
呪階の説明が出てからステータスに追加されてたしダンジョンの鑑定結果にも追加されてたりは...してた!
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《鑑定結果》
種別:ダンジョン
名称:獰猛なる黒蟻の巣(未踏破)
呪階:3
説明:獰猛なる:魔物の攻撃性が高くなる。
黒蟻の巣:黒蟻種に属するモンスターのみが出現する。
制限時間:N/A(固定ダンジョン)
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どうやらここの呪階は3らしい。分かったからと言って何かがあるわけではないんだけどね。
他にやれる事もないし、ひとまずこのダンジョン、獰猛なる黒蟻の巣を攻略していくことにしようか。
...雑魚敵一体すら倒せずに詰む、なんてことがありませんように。