この呪われたゲームで人外幼女ロールプレイ   作:黒猫と白蛇

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3話

さて、セーフティーエリアからダンジョンの奥に進んで一分ほど、そろそろモンスターが出てきても良い頃かな、とは思うんだけど。

お...来たな。現れたのは当然、黒蟻だ。だが、当然ただの黒蟻なわけもなく、体高30cm前後、体長は80cmちょっと。大体中型犬くらいの大きさだ。

相手はこちらを見るや否や、ギシャーっと、威嚇するような声をあげながら突っ込んでくる。もうちょっと様子見とか...と思ったが獰猛なる、なんてエンチャントが付いてたっけ、と思い直して納得した。で、取る手段は当然真向勝負!真正面からぶつかってこの"体"の性能を確かめておきたい。

 

右手の口を思いっきり広げ、相手の頭を丸のみにしてやる、という気概とともに、突進してくる黒蟻に合わせて右腕を思いっきり突き出し、頭に嚙みつく、勝った!

と、確信した同時に右腕に鋭い痛みが走る。

 

「痛ったぁ!ってか僕の声可愛い!ぐうぅ。」

 

な、何事?痛みの発生源を見ると、右腕の肘当たりから黒蟻の大顎が貫通して突き出していた。そ、そりゃ痛いわけですわ。

てか、ヤバい、まだこいつ生きてるし顎を動かして傷が広がってるしこのままだと腕が二枚に卸されちゃう。思いっきり嚙みついてんだからさっさと死んでくれ!

...いや、違う、この状況なら一番有効な攻撃方法は...

 

「振り回してっ!叩きつける!おらっ、とっとと死ね!」

 

右足を引いて腰を落とし、小さな体のまま回転で力を作る。右腕にぶら下がった蟻ごと円を描くように振り回し、壁へ、床へ、そして角度を変えて首の付け根を狙って叩きつける。甲殻が軋む音、石壁に当たる鈍い衝撃。二度、三度、四度目で――ぶちっと太い何かが切れる手応え。胴体が弾かれて数メートル転がり、脚が数度ばたついてから静かになった。

どうやら首がへし折れたらしい。ふう。初の実戦は僕の勝利だ。いや。このロリボディで僕っていうのはあれかな。

僕っ娘も割と好きだけど人外系幼女とかはどっちかというと敬語を使ってほしいタイプだし、一人称を私と改めることにしよう。

 

さて、そんなロールプレイ上の趣味は置いといて、今やらなければならないことが一つ。それは右腕の中に残った蟻の頭部を取り出すこと。

血がダバダバ垂れてきてるし、放置してるとヤバそう。あ、血の話が出たから言っておくがこのゲームはR18だ。

R15バージョンもあるけど、僕、じゃなくて私がプレイしてるのはR18版、と言ってもエロ要素はない、グロ要素だけなはず。

 

話がそれた。HPももう20しか残ってないし、さっさと顎を摘出しよう。えっーと、どうしよっかな。

右腕の口を開けて、左腕を突っ込む。若干の嘔吐感を感じつつ口内に残る頭を掴む。

普通に手で掴むのではパワーが足りなかったので、左腕の口も開けてガッチリ頭部をホールドしてから思いっきり引っ張る。

痛ッ。傷口が顎のカエシ状になってる部分に引っかかったせいで若干痛みがあったが無事摘出成功。残りHPは自然回復が機能して20から変動なし。

とは言えステータスには状態異常、失血(中)が表示されてる。この状態異常も詳しく確認したけど傷口から血がだくだく流れてる現状ではそんな余裕もないので一旦戦利品を回収してマイルームに戻ろう。あそこは回復速度も上がるらしいしこの出血も何とかなるはず。

 

という訳で、マイルームに戻ってきた。戦利品は蟻の頭と体。新しいアイテムを入手したら鑑定するのがお約束。という訳で鑑定結果がこちらだ。

 

 

───────────

 

《鑑定結果》

 

種別:生物

 

名称:フォレストアント・ワーカー(黒)の頭部

 

呪階:1

 

説明:森にすむアント種の中で最もポピュラーなもの。そのうちのワーカータイプの頭部。

   主に巣作りや食料の確保、育児などを行うが有事の際は戦闘も行う。

   その甲殻や牙は高い硬度を誇り軽量なため、道具や武器、防具にも使われることがある。

───────────

 

───────────

 

《鑑定結果》

 

種別:生物

 

名称:フォレストアント・ワーカー(黒)の胴体

 

呪階:1

 

説明:森にすむアント種の中で最もポピュラーなもの。そのうちのワーカータイプの胴体。

   主に巣作りや食料の確保、育児などを行うが有事の際は戦闘も行う。

   その甲殻は高い硬度を誇り軽量なため、道具や武器、防具にも使われることがある。

   また腹部には酸がため込まれている。

───────────

 

こんな感じだ。特筆するべきことはそんなに見当たらないかな、とは思うけど。ワーカータイプってことはソルジャー的な奴もいるってことだね、くらい?

まあそれくらいは蟻型モンスターって時点で予想はしてたけど。何気に素材が武器防具に使えるって明言されてるのが嬉しいか。

 

さて、それじゃあ解体するか。ここまで死体が残ってる時点で予想はしてたけどこのゲーム、自動で素材に変換されたりはしないタイプみたいだ。

中々ゲーム体験的に面倒だから自分で解体するのが必要なタイプはAAA級タイトルには少ない。ぼ、私は完全にこのシステムの肯定派だからカスドがこの方式なのは嬉しい。

嬉しい、んだけど。せめて解体ナイフ的なものは初期装備にあるのが普通なのではないでしょうか?いや、まあ。虫だし、素手で解体できないって訳ではないけどさ。

 

他の呪人は素手で哺乳類系モンスターを解体しなきゃいけない状況だったりするのかな。それは結構きつそうだけど...人によっては虫も無理か。

私はぜんぜん平気だ。えー、まずは、解体ナイフとしても使えそうな大顎が欲しいな。とりあえず片側を両手で掴んで外側にレバーを引くように引っ張ってみる。

指が切れそうだけど、マイルームだし大丈夫だろう。という訳で、よいしょ!ブチブチッっと筋繊維らしきものがちぎれる音と共に大顎の一方が外れる。

 

結構力が要りそうなやり方だったけど呪いバフのおかげでごり押しできた感がある。そしてこうなってしまえばあとは楽だ。この大顎をナイフ代わりにしてバラしていくだけ。

私はこの解体システム搭載のゲームが大好きだったので経験はそれなりにある。虫をバラした経験はあんまりないけど。

 

ふう。終わった。結構綺麗にできたんじゃないかな?丁寧にやってたら15分くらいかかっちゃったけど。

それはさておき鑑定結果だ。

───────────

 

《鑑定結果》

 

種別:素材

名称:黒蟻の大顎(小)

 

呪階:1

 

説明:アント種の大顎。その中でも小ぶりなもの。

   獲物の肉や骨を断ち切る力強さと鋭さは人間にも良い武器になる。

───────────

───────────

 

───────────

 

《鑑定結果》

 

種別:素材

名称:黒蟻の甲殻(小)

 

呪階:1

 

説明:アント種の甲殻。その中でも小ぶりなもの。

   その堅牢な甲殻は人間にも良い防具になる。

───────────

 

───────────

 

《鑑定結果》

 

種別:素材

名称:黒蟻の腹膜(小)

 

呪階:1

 

説明:アント種の腹膜。その中でも小ぶりなもの。

   蟻酸をため込んでいた腹膜は布代わりになり、酸に対する耐性を持っている。

───────────

 

ちなみに腹膜の中に入ってた蟻酸は解体途中で流れ出てもうない。まあ液体を保管できる容器もなかったししょうがないんだけどね。

今や腹膜は一枚の布のようになっている。質感は布ってよりビニールとかそっち系だ。

さて、せっかく良さそうなアイテムが手に入ったので、アイテム制作をやってみようと思う。

何を作るのかというと、武器だ。というかそれしか作れない。あと攻撃手段が噛みつきだけってのはやっぱり辛い。なにせひと噛みで殺せなかったら確実に反撃を食らうのだ。しかも防具のない体内に!

 

カスドのアイテム製作には二種類の方法がある。なぜ知っているかって?紹介映像を見たから!

はい。で、一つ目が祝福。六大神とその眷属神たちに祝詞を奉じて、祝福を与えてもらう方法。

手動でおおむね形を整えたら、最後に祭壇に乗せて祝詞を唱えると、祝福が与えられ、ひとつアイテムとして確立する。

こちらのメリットは付ける効果を選べることと、狙ったアイテムを作りやすい、祝詞を唱えるだけだから簡単、ということ。

 

ひとつずつ説明しよう。まずつける効果を選べること。これは単純で、どの神に祝詞を奉じるかどんな祝詞を奉じるかでつける効果を色々選べる。

祝詞とその効果はメニュー画面から確認できる親切仕様。

二つ目、狙ったアイテムを作りやすい。一つ目と似てるけど、これは例えば、あるプレイヤーが鉄の剣を作ったとする。

だけどその出来栄えが酷くて、もはやただの鉄の塊で何も切れない、ってなった場合でも剣として奉じる祝詞を唱えればシステム上は剣として扱われる、ということ。

3つ目は説明しようがない、その通り祝詞を唱えるだけだから二つ目の方法に比べれば楽だ。とのこと。

 

これは公式が紹介映像で言ってたから間違いないはず。で、二つ目が自身で呪うこと。

これについてはほとんど説明がなくて、祭壇にアイテムを乗せて意思を送れば呪えるよ。とのこと。

ただそれだと祝詞で作ったアイテムの劣化版にしかならないからいろいろな方法を試してみてね!とのこと。

 

ほとんど説明なしである。まあ祝詞のメリットとして楽っていうのが挙げられてる以上祝詞以上の効果を出すのは簡単ではなさそう。まあやり方によっては祝福以上のメリットをだせるんだろう。

で、どっちの方法を使うかなんだけど、祭壇に近づいた私にまたもや二つのポップアップが出てきて答えを教えてくれた。アイテム制作についてと、呪人のアイテム制作について、だ。

前者のものについては先ほど私が説明したような内容が書いてあった。2つめは簡単に言えば呪人は祝福によるアイテム制作はできないよ、とのこと。

 

加護すら与えられてないんだからそりゃそうか。という感想だ。別に元から呪うつもりだったしいいけど。

で、作る武器だけど、黒蟻の大顎に柄として黒蟻の腹膜をぐるぐる巻いただけの至極単純なものだ。

これで短剣がわりにはなるだろう、武器としての性能は腕を貫かれたのと蟻を解体した際に実証済みだし、フォレストアント・ワーカー相手なら十分な武器になる。

 

問題はどうやって呪うのか、というコトかな。説明通り祭壇に乗せて呪うだけでもいいんだけど、折角だからより強いアイテムにしたい。

どうやったらより強力に呪えるか、って言うと、定番としては血をぶっかけるとか?あとはまあ祝詞と被るけど呪文的なのを唱えたり、儀式をしたり。生贄を捧げるってのもありかな。

 

うーん、今この場で思いつくのはこれぐらいだ。その中で今出来そうってなると、血をかけるのと呪文詠唱くらいか。となると、なんかいい感じの厨二詠唱を考えないとな。

これで効果が全くでなかったら悲しいけど、やれるだけやってみよう。

 

僕――いや、私の目の前には、祭壇の上に置かれた黒蟻の大顎と、それを巻きつけるように配置した黒蟻の腹膜がある。これが私の最初の武器になる。

じっとそれを見つめていると、祭壇の縁に薄く光る刻印のようなものが浮かび上がってきた。ぼんやりと、しかし確かに脈動している光。それは何かの「要求」なのか、それとも「呼び声」なのか。分からない。ただ、分かるのは、ここに「意志」を込めなければならない、ということだった。

 

「ふう……やるしかないか。」

 

思わず息を吐き、祭壇の前で正座のように腰を下ろす。まずは血だ。自分の指先を噛み切り、滴る血を祭壇の上の素材に落とす。

血が腹膜にじわりと染み込むと、まるでそれを歓迎するかのように、素材全体が淡い黒い靄を帯びた。

次に詠唱だ。

 

「――漆黒の牙よ、我が意思に応え、

 敵の肉を削ぎ喰らう刃となれ。

 我、ここに呪いを捧げ、血を注ぎ、

 その存在を定めん――」

 

言葉を吐き切った瞬間、祭壇の光が一気に収束し、黒い靄が素材全体を包み込む。そして、黒蟻の大顎は、まるで生き物のように振動し、わずかに形状が変化していく。

 

───────────

 

《鑑定結果》

 

種別:武器

名称:黒蟻の牙剣

 

呪階:3

 

説明:アント種の大顎を加工し、呪い、武器としたもの。

   製作者により敵の肉を削ぐ呪いをがかかっており、

   斬りつけると対象の肉体をひどく傷つけ、回復をわずかに阻害する。

───────────

 

完成。処女作にしてはそれなりの出来なのではないだろうか。

敵の回復阻害っていう追加効果もついてるわけだし。

 

とりあえず黒蟻の牙剣を手に取り、感触を確かめてみる。

腹膜の質感が手に馴染み、ほんのりと冷たい。握りやすさは思った以上のものだ。

どうやら、わずかな形状の変化の影響が思ったよりも大きいらしい。

マイルームの効果で先ほどの戦いの傷も完全に癒えたし。

さて、試し斬りと行こうか。

 

マイルームの扉を押し開ける。湿った土の匂いと、どこか遠くで小さく響く脚音。セーフエリアから斜路を上がり、巣道の曲がり角の陰に身を寄せる。右手には黒蟻の牙剣。

曲がり角の向こうから、光を吸うような黒い殻が滑り出る。体高三十センチ、体長は八十ちょっと――さっきと同じワーカーだ。

こちらを見た瞬間、顎を開いて一直線に突進してくる。獰猛特性の影響だろう。

 

正面から・・・はやめておく。いくら呪ったとはいえこいつの頭殻を正面から勝ち割るのは難しいだろう。

というわけで狙いは関節、甲殻の隙間だ。突進を横にずれて交わし、蟻の背に飛び乗る。

そうして黒蟻の牙剣を喉・・・首?ともかく頭と胴体の接合部を切り裂く、即死はせずしばらく暴れたけど、

どうも背中への攻撃手段がないらしく全く問題なく勝利した。

 

うん、まあ悪くはないかな。あっさり勝っちゃったせいであんまり使用感を試せなかったのが残念・・・もう少し狩っていくかな。

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