何でもかんでもカードバトルが解決してしまうのでバトルを避けて今日もカード開封して美少女を愛でたいだけの一般TS転生者   作:農田林

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プロローグ

 

ホビーアニメの世界に転生した。

 

昨今良くある物(女神談)らしいからそれは置いとくとして。そこは前世の世界とは違い、カードバトルの勝敗で全てが決まる世界らしい。勝てば、学校の給食の残り物から世界まで手に入ってしまう。勿論もし本当にやるとしたら世界とかは正式な手続きや、見守り人とかが必要だし大々的になるだろうけど。

 

僕はそんな世界に転生して思った。怖過ぎって。

 

いや、怖く無い?突然バトルふっかけられてそれで勝ったら勝者の総取りって。やってる事は現代の山賊か追い剥ぎじゃん。

 

だから僕は決めた。この世界でカードバトルはしないって。自分が嫌な事は他人にするなって昔教わったし一番良いのが無干渉だから。それにカードゲームそもそもやった事無い。やりたいとは思ったけど相手が居なかったし。……別に悔しく無いし。

 

そんな世界で僕が今ハマっている事がある。それはね。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました」

 

聞き慣れた店員さんの声を背中に受け、僕は店を後にする。さて、買う物は買ったし後は祈るだけだ。神に。

 

この世界ではカードゲームが頻繁に行われている。だから、そこら辺にカードショップがあるんだ。前世のコンビニより多いかもしれない。それで僕は今カードショップに寄った訳だけど、何を買いにきたのかってそりゃあカードショップに買う物なんて一つしか無い。

 

『またカードパックを買ったのか主よ』

 

「クソ長ネームドラゴンさんいたんだ」

 

『我はいつでも主の元にいるぞ。何か不満か?』

 

「いや、びっくりしただけ」

 

一旦話が終わり、ぬいぐるみみたいにデフォルメされたドラゴンが僕の肩に乗っかった。

 

『で、今回は出そうなのか?既に同じ奴を何回も買ってる様な気がするが、正直金の無駄じゃないか?そんなに買っても意味は無いだろう』

 

「ドラゴンさん、目当ての物が出るまで買えば今までの出費は全て無かった事になるんだよ。出た時の脳汁により全てが帳消しになるんだ。それにこの世界で多くカードを持ってるに越した事は無いし、きっといつか先の未来で必要になる筈。多分、恐らくきっと。うん、これは無駄な買い物じゃなくて輝かしい未来に対する投資だよ!分かった?ドラゴンさん」

 

『わ、分かった。分かったから、その光の無い目で急に早口にならないでくれ。怖いから』

 

アイツに怒られても我は知らないからなと言った後ドラゴンさんは静かになった。

 

「そっか、怒られるかもね」

 

カードパックを買えた高揚感は既に消え、待っているのは悲しい現実だけ。泣きそうになりながら僕は帰宅した。

 

そして家に帰れば。

 

『お帰りなさい。それは何ですか?マスター』

 

「えっと、いつもの?」

 

こっそり入ればバレないんじゃないかと思って、慎重にドアを閉めてもガチャッと音がした。その音を聞き漏らす事無く、彼女はおかえりと言って来た。

 

『エルフだからどんな小さな音でも聞こえたと思うがな』

 

そんな事をクソ長ドラゴンさんが言うけど知ったこっちゃない。僕は必死に怒られない為に脳のアクセルを全開にして言い訳を考える。

 

『いつもの、へー。私言いましたよね、今月はお金が足りないからカードパックは控えて下さいねって』

 

「はい、存じております」

 

彼女から溢れ出るオーラに、半ば強制的に正座になりながら僕は答える。

 

『じゃあそれは?』

 

「カ、カードパックです」

 

『……。いや分かりますよ?ええ、私はちゃんと分かってます。マスターの仕事は配信者。主にカードパックの開封動画や配信が主な仕事ですよね。だから、仕事の為に買った。そうですよね?』

 

「そ、そう!!!!」

 

良い流れには乗っかる物。僕は首が外れそうになるぐらい同意した。

 

『決して私利私欲の為、欲しいカードを引き当てて乾いた脳ミソに脳汁をドバドバ出したいなんて言う常日頃から言ってる低俗な願いの為じゃないですよね?』

 

「そ、そう……です

 

こっから良い流れ来ないかな、逆転は。

 

『別にカードパックを買うのを辞めろって言ってる訳じゃないですよ。まだ開けてない未開封のパックだってありますし、それを開ければ新たなパックを買わなくても良いんじゃないかなと思う訳です。動画用なら』

 

「はい」

 

『でもそれは個人用ですよね』

 

「はい」

 

『何で買ったんですかって言うかそのパック前も買いましたよね』

 

「欲しいカードがまだ出てないから買ってしまいました」

 

僕は正直に答えた。きっと強い情熱さえあれば伝わるんだと信じて。

 

『普通は諦めるんですよ。そんだけ引いて出なかったら』

 

「諦めたらそこで試合終了だと言う有名なデータがあります」

 

「いやそれは知らないですけど」

 

はぁと深いため息をつかれた。まるでどうしようも無く救い様の無い物に対して、見る様な目でこちらを見てくる。

 

「どうしてもって言うなら返品して来るよ」

 

『良いですよ、そこまでしてまで面倒臭い。そもそも返品するなら買うなって話ですし。今回だけですからね』

 

「え?」

 

『だから!今回だけは許すって言ってるんですよ!』

 

そうキレると、エルフは何処かへ消えてしまった。まぁ、良いか。許されたし。

 

長い前振りになったけど、僕はこの世界でカードを収集する事にハマっている。俗に言うカードコレクターって奴かな。カードバトルはやらないコレクション専門だ。それを仕事にして、今は配信者としてお金を稼いでいるんだ。

 

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