何でもかんでもカードバトルが解決してしまうのでバトルを避けて今日もカード開封して美少女を愛でたいだけの一般TS転生者 作:農田林
『ヨォ、アンタもアバターカード持ってるんだろ?クレヨ!』
……黒いフードを被った不審者がそんな事を言っている。って言うかどっから入ってきた?突然現れた様にしか見えないんだけど。
『ってクレネエヨナア!だからバトルダァ!!』
「いや、アバターカードが欲しいならあげる。バトルしないんだったらほら」
ノリツッコミみたいな感じで勝手にバトルを始めようとするので慌てて止める。危ないなぁ、そもそも何者なのかも分からないし。分からなくて良いか。そのままお引き取りしてもらってもう二度と会わないんだったら。
『ハ?ドウイウコトダ?お前ラはカードバトルが大好キナンダロ?ナンデ』
「それには例外もいるんだよ僕みたいにね」
誰もがそんなバトルジャンキーだと思わないで欲しい。僕みたいな何の変哲もない至っていたいけなTS転生美少女だっているのだから。
え?普通の美少女は転生はしないし、TSもしないし、カードを舐めない?それは……また別の話にしよう。今は忙しいから。あー忙しい忙しい。
「カードあげたから、話してよ。君達は一体何者?」
何か物語が始まったみたいでワクワクする。僕の失われし、冒険心って言うのかな?いや少年心か。このシチュエーション、なんかワクワクしない?敵に対して目的を尋ねるこのシーン。まるで主人公みたいだ。
『クックックッ……ドウセ遅カレ早カレ知ルだろうし教えてヤロウ。オレタチハACA。アンチカードバトル協会のモノだ』
因みに配信はまだ終わっていない、まだ継続中だ。もしかして配信してるの気付いてないのかな?お馬鹿か?それとも、神が意図的に……おっと、本当に消されそうだから辞めとこ。
いや、それより気になる単語が出てきた。もうちょっと長引かせて単語を引き出そう。気になってきたし、ここで終わらせたら多分眠れない。
「アンチカードバトル協会!?」
『ナマエの通り、カードバトルにハンタイするグループだ。滑宮灯花、オマエもカードバトルヲシタクナインダロウ?』
成程。僕に対しても調べがついてるって事か。あ、待って。僕の本名さりげなく、ネットの海に放流された。絶対に許さない、後でボッコボコにするから。ドラゴンさんが、カードバトルで。
『今回ハオマエと戦う気はナイ。寧ろスカウトシニキタンダ』
スカウト?おっとぉ、きな臭い話になって来たね。もう展開読めたから早送りしようか。
「どうせ、アレでしょ?カードを捨てて俺ら側に来いって話でしょ?」
『ハナシが早くて助カル。全てのカードを捨テレバ世界が開け、スベテノ生物はまた一段階先のステージへススムのだ』
カルト集団の演説聞いてるみたいだ。悪いけど、僕の答えは決まってる。
「お断り。やっと手に入れた美少女カードもぺろぺろしてないのに捨てるなんて、許されないからね」
『ヤレヤレ……ワカラナイノカ、己のオロカサが。なら、仕方ナイ』
『コノ世界ノルールに従い、オマエを負かしゼツボウサセテ自らアヤマチを認メサセルマデ!』
そう言って黒フードはカードを取り出した。だから、僕もカードを取り出す。それはずっとそばにいると言ってた彼のカードだ。
「じゃ、頼んだ!クソ長ドラゴンさん!世界の命運は君に掛かってる!」
『期待が重いぞ、主』
ブツブツ文句を言いながら、渡したデッキから器用にカードを取り出すドラゴンさんを見て、僕は。
勝ったら速攻でアバターカード全部返して貰ってあの子をぺろぺろするんだと強く誓った。やっぱり後先考えないでその場のノリでやる事じゃないね。