静筆の魔術師 ~音と秩序の辺境譚~ 作:Magical forest
「この辺で、疑問は解けたかい?」
「はい。そう言えば、最初に僕の魂を借りて来たと言っていたのですが、僕は地球に帰れるのですか?」
「君が死んだ後に望めば帰れるよ。でも私は君にずっとマテリオンと共に居て欲しい。今日の話で私自身が君をとても気に入ったよ。」
「そう言っていただけると光栄なのですが、まだ先の話なので後で考えます。それに、この星は、僕も失敗するとじり貧なのでは・・・。」
「つれないねぇ。」
そう言って、マテリア様は僕を抱き寄せると、僕の心臓の位置にキスをした。
「一体何を・・・。」
「心臓の位置に私のお気に入りのマーキングをしただけだよ。」
「それって一番強い加護の位置・・・。アルノルト兄さんでも左手だったのに。」
「これなら私の加護もあるって事は他の人にも分からないでしょう? それにルミエール公爵家で騒動にならないように先にお兄さんに加護をあげておいたのだから、私を褒めて欲しいぞ。」
「あっ、みんなの狩の最中にみんなの前に現れて加護をあげたのってそう言う事! マテリア様ありがとう。」
「せっかく、私の加護をあげたのだから、今度からシュウと呼んでもいいかい?」
「いいですよ。」
「お父様の加護と私の加護をあげた子なのだから、シュウはもうお父様と私の子供と言っても過言ではないね。」
「過言です。」
そう言って、マテリア様は僕の顔に手を添えて、うっとりと僕の顔を眺めた。
「カイル・アリディアや、エリシア・ヴァルトなどの元からマテリオンの人間に、お父様が加護を与えた人には会ったけれども、ただの人間にお父様の力が乗っかっているだけで、何か不完全な違和感があったけど、シュウはその違和感が全くないな。シュウは地球でも元々黒髪黒目だったのだろう?」
「そうです。」
なにかヤバイ気配がし始めた暇神に僕は答える。
「やっぱりお父様にシュウを認知してもらって、家族みんなで楽しく暮らさないか?」
「どこからそんな超展開の話が出て来たのですか!? あと、マテリア様と家族になった記憶はありませんよ!」
ヤベェこの女神様。明らかに僕の容姿を見て、ゼルナヴァス様への愛が抑えられなくなっている。ヤンデレファザコン女神の名は伊達じゃない。
「とりあえず、事情は分かりましたから、微力は尽くさせていただきます。」
僕は、なんとかヤンデレファザコン女神の腕から逃れた。
「そう言えば、あのパイプオルガンの曲は素晴らしかったよ。地球でエルデザル母様のための作られた曲だとしても、この世界では私のために捧げられた曲である事に間違いはない。何かお礼をしてあげたいと思うのだけど、何かしてあげられる事は無いかな?」
「それだったら・・・・・・・。」
僕は女神様にある事をお願いをした。
「はははっ。面白いね。いいよやってあげる。あと、たまにこうやって頭を撫でて可愛がりたいのだけどいいかな?」
完全に愛玩動物扱いである。よほど僕はゼルナヴァス様に似ているようだ。
「節度ある頻度と程度なら良いですよ。」
「つれないね。そう言う訳だから、この世界をよろしくね!」
そう言って、この世界の創造神は帰って行った。 まさに嵐のような女神様だった。