静筆の魔術師 ~音と秩序の辺境譚~ 作:Magical forest
「シュウ様、本当に自分で冒険者協会に行くのですか?」
「そうだよ。ちゃんと依頼を正確に伝えて、指名依頼を出せる冒険者グループを探さなくてはいけないからね。」
僕は冒険者協会を目指していた。
あの日の、女神様との話でこの世界の疑問点はかなり解消したけど、結局この世界の問題は何一つ解決しないどころか、この世界の問題解決に、あの暇神女神様は全く役に立たない事が判明してしまった。
そんな訳で、僕は僕として動く事にした。
まずはお金稼ぎだ。 お金稼ぎは割と簡単で、エリシアおばあちゃんがパイプオルガンの演奏を聴きたがっていたので、ヴァルト公爵領に行って、女神教会本部で、大司教様の前でパイプオルガンリサイタルを開催。 感動のコンサート中にまたも女神マテリア様が降臨。教会本部は大きな驚きに包まれて、それはもう大騒ぎ。
そんな訳でヴァルト公爵領の女神教会本部にもマテリア様がご降臨されて、エリシアおばあちゃんも大満足。
ついでにマテリア様が「シュウがこれからも自由に生きる事を願っています。」という神託まで残してくれて、教会に捕まってからの司教ルートも完全回避。マテリア様はありがたいなぁ(棒)。
教会の正統性も示せて、ヴァルト公爵家やルミエール公爵家への寄付も倍増。そんなお金の一部をおばあちゃんなどからお小遣いとしてもらって、僕の懐はプチバブル状態だ。
あと、ルミエール公爵領の教会のパイプオルガン演奏も毎週日曜日に演奏するようになった。そこからも、ある程度の寄付をもらっているので、定期収入もバッチリだ。
ちなみに、この日曜日の定期演奏会は、もはや教会に人が入りきらないぐらい溢れて、教会の周囲に人の輪ができるほどの人気行事になりつつある。まさしく芸は身を助くだ。
今日の僕は、こうして儲けたお金を使って、冒険者に依頼を出すつもりだ。
冒険者協会の支部は、ルミエール公爵領の公都アルヴェリオンには、3つほど存在する。中心部には、貴族や商人向けの依頼を受ける中央支部、住宅街側に住民用の依頼を受ける一般支部、そして外郭側に、採取や狩って来た獲物を捌く獲物市場(えものいちば)支部。獲物市場支部は外郭側の獲物市場と一体化しているね。
一般の家事手伝いから日雇い業務、そして本来の魔獣退治や採取業務に至るまでを手広く手掛ける総合人材派遣業者、冒険者協会。 今日の僕は中央支部を目指している。
中央支部を見ると、中心部にあって非常に小綺麗な建物だ。
「清潔な建物だね。僕のイメージでは荒くれ者が出入りして、酒場もあってもっと汚いイメージがあったのだけど。」
「それは、獲物市場支部の方ですね。あちらならシュウ様のイメージに近いと思いますよ。」
「なるほどね。依頼者の層によって行く支部をを分けているんだ。」
そう言って、僕と護衛の騎士は冒険者組合の中央支部に入って行った。