眠りについた俺はこの時人生において最も大変なことがこの後起こるとも知らずにいた‥‥
次の日、いつも通り学校に行った俺。
家には珍しく風邪を引いて寝込んでいる父さん、父さんを看病する母さんが2人でいた。
俺は妙な胸騒ぎを感じた。嫌なことが起こらなければいいが‥‥
事件が起きたのは俺が学校にいる昼食の時間だった。
先生に呼び出され話を聞かされた。
「叢雲、実は…お前の家が火事になっていると近隣の方から連絡があったんだ」
「え…」
その時俺の思考が停止した。
すぐに止まった思考は動き出したが唯一考えれるのは家族のことだけ、それを思い出し先生に問いかけた。
「先生‼︎父さんと母さんは無事なんですよね⁉︎大丈夫ですよね⁉︎」
「……」
「答えてくださいよ‼︎」
「お前の家が火事になっていること以外情報はまだ入ってないんだ…」
「‼︎」
聞いた瞬間涙が溢れてきた。
なんで‥‥なんでだよ‥‥なんで父さんと母さんを失っちまうのかよ‥‥まだ…‥‥なにも親孝行をしてもいないのに‥‥
そして俺は学校を飛び出し急いで家へと向かう。
バイクを飛ばして10分ほどで家に着いた。
「嘘だろ…」
先生の言ったとおり家は火事になり、消防車と警察車両が数台きていた。
駆け寄ると警察官に止められた。
「君‼︎危ないから離れていなさい」
「どけよ‼︎父さんと母さんはどこにいるんだよ‼︎」
俺はしばらく警察官ともみ合いになった。
懸命の消火活動が行われるが火は弱まる気配もなかった。
火事から2時間ほど経った頃に火は鎮火したが家は全焼、残骸だけがそこに残されている。
消防士が瓦礫の中を探している。
俺はそれを見守ることしか出来なかった‥‥
瓦礫の中を探している消防士の1人が声をあげた。
「身元不明の遺体が2体見つかりました‼︎」
「すぐに運び出すんだ‼︎」
まさか、本当に父さんと母さんを失ってしまうなんて‥‥
遺体の身元は俺の両親であることが分かった。
「なんでこうなるんだよ‼︎俺は‼︎俺はこれからどうしたらいいんだ‼︎」
ボロボロと大粒の涙が流れ地面を濡らした。
「うわぁああああん‼︎」
泣き崩れている俺のところに1人の女性が現れた。
その女性は見たこともないドレスを着て傘を差し口元を隠すように扇子を広げていた。
突然のことに涙は止まり動揺を隠せず後退りをした。
「だ、だ、誰だ‼︎どこから現れた‼︎」
「あなた、ここの家の子ね。残念ね。両親が亡くなってしまって」
「くっ‼︎」
俺は睨んだ、とても鋭い目で。
「そんなに警戒しなくてもいいわよ、あなたに危害を加える気はないから」
「そんなこと言っても無駄だぞ‼︎知らないやつがそんなこと言ったって信憑性が全くない‼︎」
「はぁ、あなたは自分の立場がわかってないようね」
「なんだと⁉︎」
「あなたに帰る場所はもうない。これは事実、だから私があなたを連れて行くのよ」
「名前も名乗らずにそんなことを言うのか」
「名乗るわよ。私は八雲紫、妖怪よ」
「なっ⁉︎まず妖怪なんているわけないだろ、それに事実だとしても妖怪になんかついて行くわけないだろ‼︎」
「…仕方ないわね、無理矢理でも連れて行くしかないのかしらね」
八雲紫は何をしたのか分からないが一瞬で俺の目の前まで移動してきた。
「あなたを連れて行くわ。幻想郷へ」
「お、俺は行かねぇぞ‼︎」
八雲紫は指を動かしていたが俺には何をしているのか理解出来なかった。
「それじゃ、行くわよ」
勢い良く押された俺は後ろに転がる様にして穴のようなものに落ちていった。
「うわぁああ‼︎」
体がうまく動かせずなにも出来ずに落ちる感覚だけが体を支配した。
そして俺は意識を失ってしまった。
ようやく幻想入りしました。
とりあえず、現実世界でのお話は終わりになります。
次からは幻想郷での話になります。